コンビニ大手3社「パン部門」で“圧倒的な存在感を放つ1社”。他2社との差を解説
 コンビニパン、レベル上がってます。

 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットやスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。

 コンビニエンスストアが絶好調です。インバウンド消費に加えて、各社が独自の差別化戦略を打ち出したことで、2024年4月に発表された大手3社の営業利益(事業利益)は過去最高を更新しました。

 お弁当、お惣菜、スイーツ、アイスなど、商品を見ていくと、驚くほど魅力的に進化していることに気がつくでしょう。しかも最近はコスパを実感するオリジナル商品も多く登場し、“スーパーよりも高い”という印象もかなり薄れているのではないでしょうか。

◆ファミマのパンの“圧倒的存在感”

 そして今回特に注目したいのが、ベーカリーコーナー。お手頃な総菜パンや菓子パンがずらりと並び、おにぎり以上に売り場面積がぐんぐん広がっています。

 そしてその実力を3社で比較していくと、ファミリーマートの圧倒的な存在感に気がつきました。えっ、そんなに違うの? セブンもローソンもおいしいのあるよ……と思っている人もいらっしゃるでしょう。

 そこで今回は、ファミマのパンにおける強みや魅力にせまり、そのスゴさがどこにあるのかを考えてみることにしましょう。

◆ファミマは「バター」と「生クリーム」で独自の世界を作っている

 はじめに結論から言いますと、ファミマのパンが愛される理由は、「バター」と「生クリーム」という2つの食材を生かし、それをわかりやすく打ち出している点にあります。

「えっ、パンだったら当たり前じゃない?」と思われそうなことかもしれませんが、単に使っているだけではありません。

 バターと生クリームによって“ファミマならではのおいしい世界観”を作りあげているのです。いったい、どういうことなのか、商品を紹介しながら説明していきたいと思います。

◆クロワッサンシリーズの本気度が高い

 クロワッサンが再びブームになりつつある今、ファミマではヤマザキとタッグを組み、さまざまなクロワッサン商品を生み出しています。

 例えば、メロンパン生地を組み合わせた「バタークロワッサンメロンパン」(145円)、バターがポイントの「焦がしバターのクロワッサン」(118円)、しっとりとした新しい食感が特長の「生クロワッサン ダブルチョコ」(145円)。

 目新しい素材を使っているのではなく、バターと生クリームでいつもとちょっと違う、しっかりおいしそうなクロワッサン商品を開発しているのです。

 クロワッサン生地を使った話題の商品は、ローソンにもあります。それは、「バター香るパンスイス チョコ&カスタード」(160円)。

 層が前面にくるようにクロワッサン生地を乗せて焼き上げる進化系クロワッサンとして昨年からじわじわ注目されているパンスイスをいち早く商品化しています。

 このパンは確かにおいしいのですが、世界観を作るまでに至っていません。

 ファミマのクロワッサンには、ユニークな商品も。

 チャーシューとたまごをサンドした「クロワッサンサンド チャーシュー&たまご」(198円)は、専門ベーカリーでは並ばないようなおいしいB級感ある商品。コンビニらしい発想の組み合わせでしょう。

◆「生コッペシリーズ」で新ジャンルを確立

 クロワッサン以上に大ヒットしているのが、生クリームを練り込んで焼き上げる「生コッペシリーズ」。2023年2月からの約1年で累計販売食数1億2千万食を突破した記録している、懐かしいけれど新しいコッペパンです。

「パンは“生”でうまくなる!」をコンセプトに開発され、“しとふわぁ” “しともちぃ” “しとむちぃ” の3種類の食感があり、それぞれパッケージに記載されています。