イタリア伝統の堅守カテナチオ(錠前)を統率する代表主将DFファビオ・カンナバーロ(33=レアル・マドリー)が「ナポリでキャリアに終止符を打ちたい」と胸中告白をした。月刊誌「Max」11月号の表紙を上半身裸で飾ったカンナバーロは、インタビュー記事文中で「弟パオロと一緒にサン・パオロ・スタジアムでキャリアに終止符を打ちたい」と衝撃告白、92−93季にセリエAデビューを果たしたナポリで引退したいと表明した。

ナポリ弁でのCM出場経験もある生粋のナポレターノ(ナポリ市民・サポーター)の偽らざる本音だった。プロデビューを飾ったナポリからパルマ、インテルへと順調にステップアップしたカンナバーロは04−05季、悲願のスクデット(セリエA優勝)獲得に向け名門ユーベ(ユベントス)に移籍。04−05、05−06季と2季連続優勝に貢献したカンナバーロを待っていたのは、クラブ幹部陣の不正発覚による「スクデット剥奪、セリエB降格」の判決だった。悩める代表主将は今季開幕前、優勝請負人カペッロに引き抜かれる形でレアル・マドリーに移籍。だが、一部のユーベ・サポーターはカペッロ監督をはじめ、ユーベを去った選手達を許さなかった。「自分のサイトに送られてくるメールを読むとユベンティーニ(ユーベサポーター)の傷心がよく分かる。人生において“理由付け”が重要だとも理解している(カンナバーロ)」。裏切り者扱いされながらも、彼らを理解しようと務める姿は理想の代表主将像そのものだった。

代表、ユーベで同僚のFWデル・ピエロ(31)は「審判が見ていない時に削ってくるような汚い選手とは違う。彼とは常に真剣勝負だった」と文中でコメント、共に過ごした徴兵時代を懐かしみながら語っている。優勝を飾ったドイツW杯全7試合で、イタリアの失点はわずかに「2」。DFザッカルドのUSA戦オウンゴールと決勝戦ジダンのPKによるものであり、流れの中からの失点は許さなかった。超人的な活躍を見せたカンナバーロへの評価は高く、バロンドールに値するとの声も多い。

愛する街、クラブ、サポーターに囲まれながらの引退を口にしたカンナバーロ。76000人収容と国内最大級を誇るサン・パオロ・スタジアムに、弟パオロと一緒に降り立つ日まで体を張り続ける。