この店、入口どこ!?2階に小さな看板が出る自由が丘の町中華。探検気分で行ってみた

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自由が丘といえば、東京でも指折りのセレブな街として知られていますが、ちょっと駅から離れると昔ながらの住宅街が立ち並んでいます。そして、昭和時代から続くような渋い店もあり、散策に楽しいエリアでもあります。

この自由が丘の小さなテナントの2階に「萬珍軒」という小さな看板がかかげられた店があります。アパートのような雰囲気ですが、聞けば、町中華店でなかなか絶品らしいとのこと。ただし、肝心なことに、その入口がどこにあるのかまったくわかりません。

▲アパートの2階のようなテナントに小さく掲げられた「萬珍軒」の看板。通りに面した1階部分は別のテナントがあり、入口はありません

しかし、窓の奥には電気が灯っており、そして窓の下にはセイロが干されているので、確かに町中華店であることが想像できます。

今回は、ちょっとした探検気分で、この「萬珍軒」の入口を探しつつ行ってみることにしました。

■建物を回りこむように裏側に入っていくと…

▲裏路地を入ります

▲この先に入口があるのでしょうか

▲回りこむように建物の裏側に行ってみると、生活感あふれる洗濯機などの奥に、確かに「萬珍軒」の文字が!

まずは建物を回りこむように、その入口を探します。建物と建物の間の小さな路地を回り込み、建物の裏側に辿り着くと、いかにも「勝手口」といった雰囲気となり、ビールケースに入った飲み終わった酒や、どこかの民家のものなのか、洗濯機なども置いてありました。

そして、その一番奥に「萬珍軒」の提灯がぶら下げてあります。ここが入口なのか! そう思ってそのドアを開けてみると、今度は倉庫のような雰囲気で、店員さんなどはいません。

▲「萬珍軒」の入り口ドアを開けたところ

あれ? ここも入口ではないのかな…と思ったところチャイムがピロリロリロ〜ン♪ と鳴り、その脇の階段の上から誰かが覗いていました。

▲チャイムに合わせて階段の上から誰かが見ている!

 

■そこはまさしく「ザ・町中華」だった

階段の上で筆者を見ていた人は実はこの「萬珍軒」の店主。その階段を上がっていくと「いらっしゃいませ!」と声をかけてくれ、確かにそこは町中華の店そのものでした。

▲階段を上がると、確かにそこは町中華店でした!

店主が客から入るオーダーを受け、ちゃっちゃかちゃっちゃか調理しています。そして、筆者のほかにも客が続々と出入りし、思い思いのメニューをオーダーしています。

筆者はここでランチ限定の「ラーメン+半チャーハン」、そして「シウマイ」と「餃子」をオーダーしました。

▲ほどなくしてサーブされたランチ限定の「ラーメン+半チャーハン」(税込980円)

▲上品な出汁のスープに、緩やかなウェーブの入った白い麺がよく合います

▲卵の風味がお米に全体にやさしく馴染んでいる半チャーハン

 

■今や希少価値の町中華のド定番メニューが絶品!

ラーメンのスープはあっさりと上品な口当たり。真っ白の麺との相性も抜群で、なかなかの味わい。そして卵の風味が優しく広がる半チャーハンも美味しくて、今日の東京では希少価値を感じるほどの「ザ・町中華の味わい」そのものでした。

▲「もう一品」にピッタリの「シウマイ」(税込600円)と「焼餃子」(税込500円)

また、別途オーダーした「シウマイ」「焼餃子」もかなり美味しく、それぞれ餡のフレッシュな印象と皮とのバランスが最高。いずれも食事の際の「もう一品」にもちろん最適ですが、お酒のおつまみにもバッチリ合うと思いました。

 

■先代が47年続けた店を息子が復活させた

▲「萬珍軒」店主の加藤友也さん

▲先代の父と、子どもの頃の友也さん

聞けば、この「萬珍軒」、実はここ自由が丘で47年間続いた店で地元の人たちに絶大な支持を受けながらも2019年に閉店。その後、4年の時を経て、かつての店を父と一緒に守ってきた現店主の加藤友也さんが「萬珍軒」を復活させたのだそうです。友也さんに聞きました。

「閉店後、さまざまな経緯を経て、店を復活させることにしました。しかし、資金の都合上、道路に面していない、この物件でしか再出発することができませんでした。ただし、先代の父から『お前のやり方でやってみろ』とも言われていましたので、ここでカッコつけるのではなく、ある条件の中でできることをそのまま実践することにしました」(友也さん)

しかし、先代からの常連客や友也さんの友人らの間で、「萬珍軒」の復活は口コミ的に広がります。そして、大々的な宣伝なども打っていないにも関わらずの連日の大盛況。土日や夜間は予約ナシでは入れないこともあると言います。

結果的に、この「萬珍軒」の味を求めて多くの客が「建物の裏側を回って」この店に来店しているというわけです。

「本当にありがたいことです。ランチで食事していただくのも良いですし、個人の方での晩酌や宴会などにも対応しています。確かに入口が分かりにくいことは申し訳ないですが(笑)、ぜひ一度ご来店いただければ嬉しいです」(友也さん)

 

■まとめ

自由が丘の「萬珍軒」の入り口は建物の裏側にあり、さらに入って2階へと上がる。そこには昭和時代から受け継がれた絶品町中華が味わえるのだった!

▲「萬珍軒」の店内の様子

新出店の飲食店のほとんどが「映え」「バズる」ことを目指すのに対し、「見た目や流行りは二の次」とばかりに、先代から受け継いだ味と「自分にできること」を最優先に再出発したことで、結果的に人気となっている「萬珍軒」。その入り口のわかりにくさもまた、「自分だけが知る店」といった悦に浸れることウケアイです。自由が丘来訪の際にぜひ立ち寄ってみてください!

【SHOP INFO】
店名:萬珍軒
住所:東京都目黒区緑が丘2-16-19
TEL:03-6826-0302
営業時間:11:30〜14:30/17:00〜22:00(平日)、11:30〜21:00(土・日・祝)
定休日:水曜日

<取材・文/松田義人(deco)>

松田義人|編集プロダクション・deco代表。趣味は旅行、酒、料理(調理・食べる)、キャンプ、温泉、クルマ・バイクなど。クルマ・バイクはちょっと足りないような小型のものが好き。台湾に詳しく『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)をはじめ著書多数

 

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