スーパー銭湯で聞き慣れた声のカップル、男性の正体はなんと夫!離婚を決めた“相手女性の一言”とは
たった今傷つけられてショックを受けているはずなのに、キチンと身体はきれいにしておきたい率直さと、自分を騙した男の妻にまで丁寧に接する彼女の人の良さに、史奈さんは胸がギュッとなってしまいました。
「話を聞いたらまだ26歳だっていうんですよ。友成は彼女に自分は30歳だと嘘をついていて『いずれ結婚しよう』とまで言っていたそうで、もうドン引きですよね。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまって」
「そしたら『奥さんの方こそ傷つけられて辛いのに、そんなことする必要ないですよ』と受け取らないんですよ。その瞬間に『なんで私も彼女もあんな男に傷つけられないといけないわけ?馬鹿らしい』というモードに頭が切り替わったんです」
◆離婚を決意
もう友成さんと顔を合わすのも嫌になってしまった史奈さんは、その晩はビジネスホテルに泊まりLINE電話で離婚したいと告げました。
「友成は、とにかく話し合おうと言ってきましたが『私はもう一緒にいるのが無理なので、明日荷物をまとめてとりあえず実家に帰ります』となんとか別居まで話を持っていったんです」
そして翌日、友成さんは出社日だったので史奈さんひとりで引っ越しの準備をしている時に…。
「ただ出ていくだけでは癪なので、友成の大事にしている家電を出来るだけ持って行っちゃおうと思いついたんです。友成はとにかく無類の家電好きで、特に高級な家電を思い切って買うことが快感らしく、そしてその使い心地の素晴らしさをSNSにアップすることに生きがいを感じているので」
掃除機や炊飯器に空気清浄機、電子レンジにトースターにドライヤーなどを次々に箱詰めして実家に送ったそう。
◆泣きながら電話してきた夫
「冷蔵庫とか洗濯機は大きすぎて面倒臭いのでやめておきました(笑)。そして、そんな事態に気がついた友成が半狂乱で泣きながら電話をかけてきたので『家電がそんなに大切なんだ?私と彼女を傷つけても涙ひとつ流さなかったのに…』と嫌味を言ってやったらぐうの音も出なかったみたいで、ガチャ切りしていましたね」
その瞬間、やっと史奈さんの気持ちがスッと晴れたそう。
「友成は時間が自由な仕事なこともあり、ずっと好き放題浮気をしていたんじゃないかなと思います。今では無事に離婚して平穏な毎日を過ごしていますよ」と微笑む史奈さんなのでした。
<文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop