江戸の城下町として栄えた日本橋界隈。そのため昔から食への関心も高く、いまもなおその傾向は色濃い。

そんなグルメな大人たちが集うこの街で、しっかりと美食を堪能するデートが叶う、人気の4軒をご紹介!

食通をも唸らすディナーに、彼女も喜ぶこと必至だ!


1.美味なる上海ガニを通年楽しめる、ラグジュアリー中華の最高峰
『蟹王府』@日本橋室町



かめの中に生きたままのカニを漬け込む「上海蟹の紹興酒漬け」3,080円。カラメルのようなコク深い紹興酒が身の芯まで染み込む

上海ガニの特性を知り尽くした名手による、多彩な料理に唸る


中華におけるご馳走のひとつが上海ガニ。日本では秋から年末までと旬が限られているゆえ、時期を逃すこともしばしば……。

そんな上海ガニを通年味わえるのが、「三井二号館」にある『蟹王府』だ。

驚くのはその品質の高さ。中国の自社養殖場で捕れる、厳正な検査をクリアした安心安全な上海ガニが生きた状態で空輸される。そのため鮮度のいい上質な上海ガニを、通年提供することが可能なのだ。

また専門店ならではの多彩なアレンジで、上海ガニをくまなく楽しませてくれるのも魅力。




「雄蟹の爪肉入り特製ワンタンスープ」。




雄と雌の白子やカニ身、味噌を詰めてオーブン焼きにした「上海蟹の甲羅詰め淡雪仕立てキャビア乗せ」はメインの一品(「雄蟹の爪肉入り特製ワンタンスープ」とこちらのお料理は30,000円コースより)。



モダンなデザインのシャンデリアが光るテーブル席のほか、4つのラグジュアリーな個室も用意


何より、青とゴールドを基調にした、ラグジュアリーな空間とサービスも唯一無二で、贅沢な気分を高めてくれる。




ブランケットやクッションなどはすべてエルメス。

「エルメスのような最上級の品質と体験を」というオーナーの信念が込められている。


入り口にセラーが置かれた中国方式に高揚する

入口にはボルドーのグランヴァンをはじめ、貴重なワインが並ぶセラーが鎮座。入店後、すぐにワインをオーダーしてから席へと着くという中国の風習に習った作り


中国が誇る贅を尽くした一軒で優雅な夜を体験して欲しい。


料理長に聞く!日本橋の歴史を感じる瞬間
〜上海の旧市街を思い出す景観〜


「日本橋には、歴史ある古い建物が残っていてすごく景観がいいですね。『蟹王府』の本店がある上海の旧市街にとても似ていて、来日した時から親近感を感じていました」


■店舗概要
店名:蟹王府
住所:中央区日本橋室町2-1-1 三井二号館 1F
TEL:03-6665-0958
営業時間:ランチ 11:00〜15:00
     ディナー 17:00〜23:00
定休日:施設に準ずる
席数:テーブル54席、個室4(26席)



2.老舗精肉店の裏手に、6席だけの特別な和牛の楽園がある
『WAGYU日山』@日本橋人形町



人形町の風情漂う一角に看板を掲げる。品のある日本家屋が外観からも高級感を放っている


大正元年から人形町の地で精肉店を営む『日山』。その裏手に、ひっそりと灯りがともる扉がある。

『日山』といえばすき焼きが有名だが、それとは異なる「和牛の現代料理」を提案するべく、2020年に『WAGYU日山』が誕生した。


フレンチのシェフが和牛に相対し導き出した、洗練の味わい


料理長の小西智也さんは、『ジャン・ジョルジュ トウキョウ』、『ドミニク・ブシェ トーキョー』をはじめ、『よろにく』で和牛を勉強し、富山『レヴォ』なども経験。

小西シェフから生み出される、ジャンルレスな和牛料理は緻密で斬新だ。



コースの一品目に登場する「牛香茶」。水と黒毛和牛の脛、骨、テールのみで作る、肉の旨みを凝縮させた“飲む和牛”


例えば、サイフォンで仕立てるブイヨンスープや、まるでつくね串のビジュアルの山形牛ネックのハンバーグなど。




山形牛のネックを使ったハンバーグ。

中に鮑を忍ばせ、ネックの旨みとのハーモニーに悶絶。




つべつ和牛の内ももは燻製キャビアを合わせてタルタル仕立てに。




メインの「栃木産黒毛和牛のサーロインステーキ」は鉄板で焼き目をつけた後、備長炭でじっくりと火入れしながら香りを移す。

最後に強火の炭火で外側を炙り、クリスピーな食感に。すき焼きの割下で作ったソースや青ヶ島ひんぎゃの塩で味変しながら楽しめる。

すべて一期一会コース(27,830円)より。


お肉に合わせたワインのセレクションも流石


ソムリエが厳選した和牛に合うワインをラインナップ。ローヌ、ブルゴーニュの代表的なボトルを主軸に約100種をストック。

ワインペアリング(+16,000円〜)も人気。



鉄板を囲むクラシカルなカウンターは、以前あったビーフステーキ専門店の名残り。元々12席あったスペースを6席にして、ゆったりと贅沢な空間に


遊び心あるプレゼンと、和牛のポテンシャルに感動する、老舗の新たな挑戦がここに。


料理長に聞く!日本橋の歴史を感じる瞬間
〜お客様との世代を超えたお付き合い〜


「『日山』へ三代にわたって通ってくださるお客様も多く、地元の味や街への愛着を感じます。瀬戸物市があったり、下町らしい人情味が残っているのも魅力です」


■店舗概要
店名:WAGYU日山
住所:中央区日本橋人形町2-5-1
TEL:03-6661-2904
営業時間:18:30〜
定休日:日曜、祝日、第1・2・3月曜
席数:カウンター6席



3.滋味深き旬の味わいの数々と温かな接客で、何度も訪れたくなる
『川田』@日本橋人形町



料理は川田さんがワンオペで作るため、目の届く広さとしてカウンター7席にしている。シンプルで静謐な空間で、料理への集中度が高まる


ビルの地下にあるわずか7席のこぢんまりとした店内。白木のカウンターが際立つ温かでシンプルな佇まいが、店主の人柄と料理を表しているようだ。

日本料理の名店『井雪』で13年間修業し、4年前に独立した『川田』の店主・川田治司さん。「一番美味しい瞬間に味わってもらいたい」と、カウンター割烹の設えに。


料理の基礎を磨き上げた先にたどりついた、しっとりとした美味しさ


川田さんの料理は至って素朴。それは名店で培った日本料理の技術と、“素材を活かす”和食の基礎を実直に貫いているから。

派手さや驚きがなくとも、食べ手を喜ばせられる手腕があるのだ。



季節によって内容が変わる「お椀」。この日はホロリと甘い白甘鯛と聖護院大根の具材で。出汁は提供する直前に完成させ、提供する。出来立ての香りと一緒に楽しんでいただく逸品


丁寧に仕立てられた料理の滋味や出汁の香りは、正統派日本料理の美しい味そのもの。




蕪の味と香りを最大限に残して蒸しあげた「かぶら蒸し」。




「わらび餅」はゲストの前で作り立てを提供。わらび粉100%で作る濃厚さが特徴。



名物は〆の「土鍋ご飯」。ちりめん山椒、牛肉時雨煮、鯛胡麻などと楽しめる。白米はおかわり自由。すべて33,000円〜のコースより


〆のご飯を楽しみにするゲストも多く、柔和な店主の接客とともにほっこりと優しい余韻に包まれる。


柔和なスタッフたちの接客も評判が高い


料理以外を担当するサービスの野島さんと、ベトナム人スタッフのチュンさん。

ふたりの物腰柔らかで丁寧な接客も、居心地の良さに一役買っている。


店主に聞く!日本橋の歴史を感じる瞬間
〜歴史あるスポットがそこかしこに〜


「東海道五十三次の起点であり、水天宮や小網神社などパワースポットが多く、至る所に歴史を感じます。一角ごとに異なる風情があるのも散策していて楽しいですね」


■店舗概要
店名:川田
住所:中央区日本橋人形町1-5-5 B1F
TEL:03-6667-0329
営業時間:18:00〜22:00
定休日:日曜、月曜
席数:カウンター7席



4.日本橋を愛するベテラン料理人が作る、やさしい広東料理に心癒される
『Ino Cantonese 日本橋たかせ』@日本橋堀留町



個室、テーブル席、カウンターがあり、いずれもゆったりした広さ。卓上にはトラムなど香港の名物が描かれた可愛らしいナプキンが

現地の味を知り尽くしたシェフによる、進化を続けるスペシャリテに感嘆


人形町駅から2分。扉を開けると、ゆとりある上質な空間が広がる『Ino Cantonese 日本橋たかせ』。

腕を振るうのは広東料理一筋30年のオーナーシェフ・高瀬健一さん。

日本橋には昔から縁があり「マンダリンオリエンタル東京」の『広東料理 センス』で7年間、初代料理長を務めた経歴の持ち主だ。

「広東料理は中国料理の最高峰です」と胸を張るが、もっと気軽に食べて欲しいとの思いから、コースは13,800円〜とリーズナブルな設定に。そこにプラスオンでシグネチャーを変更できる。



「伊勢海老のオリジナルマンゴーマヨネーズソース」(+2,800円で変更可)は高瀬シェフが考案したシグネチャー。「常にアップデートさせている大切な一品です」という


たとえば、マンダリン時代に考案した伊勢エビのマヨネーズソースや、香港スタイルでいただくフカヒレがそれで、これを目当てに訪れる人が後を絶たない。




大きく貴重なフカヒレも名物。「大フカヒレ尾の金華ハム上湯とろみスープ」(+8,800円で変更可)。

たっぷりの金華ハムで出汁をとった香港スタイルの上湯でいただく。


コースの内容は2ヶ月ごとに刷新される


13,800円のコースは2ヶ月ごとに内容を刷新。

「上海蟹と大根細切りの餡入揚げパイ」など旬の海鮮が多く使われる。1〜2月は松葉ガニやブリ、ボタンエビが登場予定。




〆は麺もの、チャーハンなど3種を用意。

「3種全部食べる人が圧倒的に多いですね(笑)」とシェフ。




職人の逸品が気軽に楽しめるのだから、訪れない手はない。


店主に聞く!日本橋の歴史を感じる瞬間
〜いまも昔も東京の中心。舌の肥えた人がいます〜


「日本橋は江戸の城下町として発展した歴史があり、昔から東京のメイン。いまも老舗がどっしり構えています。そうした場所で店を出せるのはいい緊張感があります」


■店舗概要
店名:Ino Cantonese 日本橋たかせ
住所:中央区日本橋堀留町1-8-11 人形町スクエア 1F
TEL:03-6810-8883
営業時間:【月・木・金】17:30〜(L.O.20:30)
     【土・日】ランチ 12:00〜(L.O.13:00)
          ディナー 17:30〜(L.O.20:30)
定休日:火曜、水曜、不定休
席数:カウンター8席、テーブル6席、個室1(4席)


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