ジョゼ・モウリーニョの監督就任以来、プレミアリーグ2連覇を果たすなど、圧倒的な強さでイングランド・フットボール界を席巻するチェルシー。しかし、徹底的に勝負にこだわるその戦い方には、批判の声も少なくない。チェルシーとの対戦を21日に控えるポーツマスのFWアンディ・コールも、そのプレースタイルを「面白味がない」と酷評した。

 現在35歳のコールは、2001年まで在籍したマンチェスター・ユナイテッドでエースとして活躍。1999年にはプレミアリーグ、チャンピオンズ・リーグ、FAカップの3冠獲得に大きく貢献している。そんな元イングランド代表FWは、モウリーニョ政権下のチェルシーには、絶頂期のマンUが披露したスペクタクルが圧倒的に欠けていると断言する。

「僕が在籍した当時のユナイテッドは、本当に魅力的なチームだった。今のチェルシーとはまったく違う。失点も多かったが、1−0で満足する選手なんて1人もいなかった。とにかく相手よりゴール数で上回ることしか考えていなかったんだ。今のチェルシーが観ていて楽しいかって? それは何とも言えない。彼らはリードを奪った時点で、1−0で試合を終えることに専念するから。ただ、結果さえ出ていれば、ファンは満足するもの。別にチェルシーのスタイルが間違っているとは言わないよ。あれがモウリーニョのやり方なんだろうし、監督にはそれぞれスタイルがあるものだからね」

 一方コールは、チェルシー移籍以来、長期のスランプに陥っているFWアンドリー・シェフチェンコを擁護。ウクライナ代表FWの復活は近いと語る。

「すでにピークを過ぎた30歳のシェフチェンコを獲得したチェルシーは、3000万ポンド(約66億円)を無駄にしたと言われているけど、そんなのはバカげた話だ。彼がディナモ・キエフとACミランで残した実績を忘れちゃいけない。それに、プレッシャーの大きさもハンパじゃないんだ。まぁ、僕がニューカッスルからユナイテッドに移籍した時ほどではないだろうけど。とにかく、彼は近いうちにゴールを量産するはずさ。間違いなく、イングランドでもスターになるだろう」

 圧倒的な結果を残しながら、資金力を前面に押し出した補強策や結果至上主義的なプレースタイル、そして挑戦的な言動が物議を呼ぶ指揮官の存在など、なにかと批判の槍玉に挙がるチェルシー。イングランドの盟主としての地位を確立するには、90年代初頭から約10年間に渡り黄金期を築き上げたマンUの記録を、すべての面で上回る必要がありそうだ。