欧州CLグループリーグ第3戦が各地で行われた18日、インテルはホームでスパルタク・モスクワと対戦、2−1の勝利を収めた。優勝候補インテルはこの日の勝利で、欧州CL第3戦目にしてようやく勝ち点を獲得した。

左足の魔術師アルバロ・レコバ(30)の復活がインテルに勝利をもたらした。97−98季にセリエAインテル移籍を果たしたレコバに転機が訪れたのは98−99季後半。当時セリエB降格間違いなし状態のベネツィアにレンタル移籍したレコバは絶体絶命のベネツィアで孤軍奮闘、“奇跡のA残留”立役者としてその存在をイタリア中に知らしめた。翌年、無限の可能性を秘めたウルグアイ人に付いた年俸は当時異例の5億円と推測された。だがここ数年、負傷に悩み思うような結果を残せなかったレコバは先日、今季に賭ける意気込みを激白した。「今季こそ期待に応える。それが出来ないようならインテルを去る」・・・。

前半2分、距離のある位置からFKを任されたレコバは得意の左足を一閃。スペースに飛び込んだ味方MFビエィラが落としたところをFWクルスが左足で豪快にネットを揺らす待望の先制点をお膳立て。圧巻は直後の同10分、相手GKともつれながらも奪ったボールをエリア外左から無ステップで“ふわり”と中に放り込んだ。急激な回転を含んだボールは美しい放物線を描き、GKの手をかわしてFWクルスの頭に吸い込まれた。試合後、完璧アシストシーンのリプレイを見ながらインタビューに応じたインテル監督マンチーニは「このような芸当が出来る選手は世界中を探しても見当たらない」と唖然とした表情でコメント、かつてのファンタジスタが現ファンタジスタの完全復活に太鼓判を押した。

現在グループリーグ「B」組はバイエルン・ミュンヘン(9=3勝)が一人勝ちでスポルティング・リスボン(4=1勝1敗1分)、インテル(3=1勝2分)、スパルタク・モスクワ(1=2敗1分)の3クラブが熾烈な2位争いを繰り広げている。スタートダッシュに躓いたインテルの崖っぷち状態は変わらない。だがこの日、奈落の底から這い上がったレコバの左足が決勝トーナメント進出の扉を開いた。