アメリカ政府が2024年2月29日、中国メーカーが製造した自動車における国家安全保障上のリスクに関する調査を行うことを発表しました。

Statement from President Biden on Addressing National Security Risks to the U.S. Auto Industry | The White House

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2024/02/29/statement-from-president-biden-on-addressing-national-security-risks-to-the-u-s-auto-industry/



Citing National Security Concerns, Biden-Harris Administration Announces Inquiry into Connected Vehicles  | U.S. Department of Commerce

https://www.commerce.gov/news/press-releases/2024/02/citing-national-security-concerns-biden-harris-administration-announces



U.S. investigates Chinese vehicles for security risks - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/technology/2024/02/29/us-investigation-chinese-vehicles/

センサーやカメラなどのハイテク機器を数多く搭載した「コネクテッドカー」と呼ばれる自動車が広く普及していますが、コネクテッドカーに搭載される各種機器は機密データの収集や車両の妨害などに悪用される可能性もあります。アメリカ政府は中国製のコネクテッドカーが国家安全保障にもたらす影響を懸念しており、商務省に対して中国製のコネクテッドカーがアメリカの国家安全保障にもたらすリスクを調査を行うように指示しました。



そこでアメリカ政府は商務省に対し、中国製のコネクテッドカーがアメリカの国家安全保障にもたらす懸念に対処するため、調査を行うように指示しました。政府の指示を受けて、商務省は中国メーカーが製造したコネクテッドカーを中心として、国家安全保障上のリスクを調査するための規則制定案に関する事前通知を発行します。その後、コネクテッドカーが機密データを収集する可能性や遠隔操作が行われる可能性についてのパブリックコメントなどが求められ、情報通信技術サービス局(OICTS)主導での行動を起こすかの判断が行われる予定です。

アメリカ政府の産業・安全保障担当次官のアラン・エステベス氏は「私たちは、デジタル化されたコネクテッドな世界から大きな恩恵を受けていますが、こうした技術は、スパイ活動や破壊工作への新たな道を生み出します。コネクテッドカーに存在する潜在的な脆弱(ぜいじゃく)性を含め、これらの脆弱性を特定して保護するための警戒を怠らない必要があります。今回のアメリカ政府の決定は、中国製のコネクテッドカーがアメリカの国家安全保障にもたらす懸念に対処するために、政府が積極的な措置を講じていることを示しています」と述べています。



政府当局者によると、アメリカ商務省が主導する今回の調査は、中国製自動車の輸入や販売をただちに制限するものではないとのこと。しかし、当局は中国製のコネクテッドカーに深刻なリスクを発見した場合、自動車の販売を禁止または制限する権限を持っていることを強調しています。

アメリカのジョー・バイデン大統領は声明の中で「なぜ中国のコネクテッドカーが安全対策なしにアメリカ国内で運行されることが許されているのか」と強く非難しています。また、ジーナ・レモンド商務長官は「もし、何千台もの中国車がアメリカの道路を走行している最中に、北京にいる攻撃者によって走行不能にされる攻撃を受ける可能性があるとしたら、と想像してみてください。考えるのも恐ろしいことです。そのために我々は、中国製のコネクテッドカーがアメリカで広まり、国家安全保障を脅かす可能性が生じる前に調査を行っています」と述べました。