飲食店が元日に休業するメリット、デメリットは?

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 近年、ファミリーレストランやカフェなどの飲食店が、元日に休業するケースが増えています。初詣の帰りに食事をしようとしたら、休業している店が意外と多くて困ったという経験はありませんか。

 そもそも、元日に休業する飲食店が増えているのは、なぜなのでしょうか。元日に休業することでどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

人材確保による顧客サービスの向上が目的

Q.近年、ファミリーレストランやカフェなどの飲食店が、元日に休業するケースが増えていますが、なぜなのでしょうか。休業により、どのようなメリットがあるのでしょうか。

成田さん「理由はいくつかありますが、やはり人手不足に伴う働き方改革が大きな理由と言えます。元日に店舗を休業することで、従業員が家族や知人と一緒に過ごすことができるため、労働環境の充実化につながります。それにより、従業員の離職率を下げ、人手を確保することで顧客サービスを向上させることができるようになります」

Q.飲食店が元日に休業することで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

成田さん「デメリットは、元日に休業すると収入が大きく減ることです。なぜなら、飲食店は基本的に平日の夜や土日・祝日に来店客が増える傾向にあるからです。元日も例外ではありません。近年は元日に休業する飲食店が増えており、その分、営業している店舗に顧客が集中しています。そのため、ファミリー向けの飲食店の中には、元日に行列ができる店があります。

元日に家族でおせち料理を食べる世帯が少なくなっている一方、『家族で外食』を楽しみにしている世帯が増えています。顧客から見れば、飲食店が元日から営業していれば、家族や友人と外食を楽しむことができるので、うれしいのではないでしょうか」

Q.では、飲食店が元日に営業した場合、収入が大きく増えるということでしょうか。

成田さん「飲食店によって立地条件や取り扱うメニューなどが異なるため、元日営業で収入が大きく増えるかどうかは一概には言えません。事業者がさまざまな条件を総合的に考慮して、元日営業や元日休業を判断するでしょう」

Q.飲食店が元日に休業する傾向は、今後も続くのでしょうか。それとも、景気の変動などによって元日営業を再開する店が出てくる可能性はありますか。

成田さん「新型コロナウイルスの流行が落ち着き、多くの飲食店では、客数がコロナ前の水準に戻りつつあります。また、外国人観光客も増えており、年末年始に営業したいと考える事業者は増えるでしょう。

しかし、人手不足の状態が続いており、そこが解消されない限り、今までの方針を大きく変えることは難しいでしょう。近い将来、大手チェーン店などで導入されている調理ロボットや配膳ロボットの性能が高まり、飲食店の無人化がほぼ実現すれば、大手の飲食チェーンが全店舗で元日営業を再開するかもしれません。それどころか24時間年中無休になると私は考えます」