(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第96回は元旦に勉強をしたほうがいいのか、しないほうがよいのか、について解説します。

元旦に勉強はしたほうがよい?


1月1日というのは、新年の日でもありますが、受験がもうすぐ行われる真っ只中でもあります。

そんな中で、よく受験業界で議論になる言説に、次のものがあります。

「元旦でも勉強するべきだ」と、「元旦ぐらいは休んだほうがいい」です。

世間が休みである1月1日にも勉強するくらい勉強している受験生のほうが合格しやすいのか、それとも1月1日には勉強せずにしっかり休む受験生のほうが合格しやすいのか、どちらが正しいのか?という議論です。

これについて東大生たちにアンケートを取ったところ、元旦は勉強を休んでいたと答えた人が4割を超えました。「元旦に勉強するべきだ」という人の中にも、「休むのが理想だが、身体が勝手に勉強してしまっていた」「とはいえ午前中は休んでもいいと思う」というように、多少の休みを取るべきだと考えている人が多い結果になりました。

また、漫画「ドラゴン桜」でも、元旦は勉強を休んだほうがいい、と推奨しています。なぜ1月1日は勉強を休んだほうがいいと考えている人が多いのでしょうか?

まずは、漫画『ドラゴン桜』の1月1日のシーンを見てみましょう。

※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください





(漫画:©︎三田紀房/コルク)




(漫画:©︎三田紀房/コルク)



(漫画:©︎三田紀房/コルク)

漫画では、「元旦は勉強しないほうがいい」と言われていましたね。そして、「スイッチを切り替える必要がある」とも。

勉強を必死にやっている人であればあるほど、視野が狭くなることがあります。前は解けていたはずの問題が解けなくなったり、つまらないミスをしてしまったり。

これは、勉強だけをしているとよく発生することです。目の前の1問を解くのに必死になって、心の余裕がなくなってしまうのです。

例えば、国語の文章を読んでいるとき、視野が狭いと「早く読まなきゃ!」と考えてしまい、大事な部分を読み飛ばしてしまうことがあります。

でも、心に余裕がある人は、「そもそもなんでこの文章が出題されたんだろう?」と考えたり、「これ、どれくらいの分量なのかな?どれくらいで解こう?」と試験問題を広い視野で考えることができます。

そうすると、見えてくることも多いです。「おそらく、筆者や問題を作った人は、こういうことを意図しているに違いない」とか「あ、結構分量が少ないから、じっくり読んでも大丈夫だな」など、そんなふうに考えて問題を解くことができて、いい成績になりやすいのです。

休むことが、勉強につながることも

そして、その「心の余裕」というのは、適切なタイミングで休むことで得られるものでもあります。

休んで、ちょっと家族で話す時間の中で勉強につながることもあるでしょう。ニュースを見ることが、時事ネタを確認することにもつながるでしょう。1人でゆっくりする時間があれば、頭の中を整理することにもつながります。

元旦くらいは頭の中を休ませようとすることには、大きな意味があるのではないでしょうか?

そのうえで、「それでも勉強したい」と考えてしまうこともあると思います。実際、元旦には勉強しないほうがいいとわかっていたけれど、午後にはなんとなく勉強をしてしまった、というシーンが漫画でも描かれていましたよね。それはまったく悪いことではないのだと思います。

義務感で「勉強しなきゃ!」と思うのではなく、ただ「勉強したいな」と思っているのであれば、効果は変わるはずです。

その時におすすめなのは、去年までの勉強とは少し違うことをやってみることです。普段あまり勉強しない科目の勉強をしてみたり、ノートを整理したり、あまり読まない本を読んでみたり。ぜひ、参考にしてみてください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)