山崎、白州のハイボール缶以外には何があった?2023年のグルメとお酒で話題を席巻した5つのキーワード
2023年も様々なトレンドが世の中を賑わせましたが、本稿ではフードアナリストがグルメカテゴリーをプレイバック。本誌「GetNavi」で紹介したものもありますが、そこでは語りきれなかったモノも含め、5つのキーワードで解説します。
1:「ぼんご」インスパイアおにぎり
トップバッターは、昨年筆者が「ご飯ファストフード」のひとつで「ぼんご系おにぎり店」と予想したトレンドがしっかりきました。振り返ると、新宿の「おにぎり ぼんこ」(現在は「おにぎり まんま」へ改名)や、鬼子母神前の「山太郎」は特に大行列で、2023年のグルメシーンを象徴するブームに。
共通点はいくつかありますが、大きなところを挙げれば「具材多めでおにぎりもデカい」「ふんわりにぎる」「カウンターがあって職人が目の前で握る」といったポイントがあります。そして、こうしたおにぎりトレンドは別業界にも派生。例えばタカラトミーアーツは、ふわふわ食感のおにぎりを作れるフードトイ「究極のおにぎり」を8月に発売しました。
また、コンビニ業界では大手3社がおにぎりをリニューアル。特にファミリーマートは約20億円をかけておむすび工場に(同社は「おむすび」と呼称)新しい成型機を導入。手作りのような、ふっくら食感にアップデートしました。
なお、同社がおむすびと呼ぶ理由は“人と人を結びたい”という想いからですが、実は2024年度後期の連続テレビ小説は橋本環奈さん主演の「おむすび」! 最近のファミリーマートはコンビニウェアなど攻めた展開が多く、きっと2024年の「おむすび」でも話題性の高い商品を発売するはず。今後はおにぎりだけでなく、おむすびにも注目です!
2:謎系グルメ
2023年は、特徴や魅力をあえて語らない“謎”なモノやコトがヒットしました。映画では「THE FIRST SLAM DUNK」(公開日は2022年12月3日ですが、2023年も継続して大反響)と「君たちはどう生きるか」が好例ですが、フードでは田中みな実さんがCMで「何味?」とつぶやく缶チューハイ「こだわり酒場のタコハイ」が大ヒット。
また、商品名そのものに“謎”を付ける「謎うなぎ」と「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」もメガブレイクしました。
「謎うなぎ」は、日清食品お得意のユニークな商品であり、“謎”はカップヌードルでおなじみの「謎肉」からきているものだと思いますが、「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」はありそうでなかった、目の付け所がナイスなフードです。
あえて特徴を語らないマーケティング手法は、今後も積極的に採用されそうな予感がします。「謎うなぎ」は2024年の土用丑の日に向けても発売されるでしょうし、謎系グルメは引き続き注目です。
3:超有名人監修フード
フードは売れすぎて入手困難なモノが話題になりやすいジャンルですが、2023年を代表する激レア爆売れ食品といえば、HIKAKINさん監修の「みそきん」です。
一連の流れを解説すると、発売前に活動の小休止を発表して、後日「みそきん」の発売告知とともに休止理由が商品開発だったことを述べたり、もともと味噌ラーメンが大好きであることを発表したり。こうした情報によって期待値が高まり、5月の発売時には品切れが続出するほど話題となりました。
もうひとつ、大ヒットした有名人監修フードが、ダウンタウンの松本人志さん初の食プロジェクト「マッチャン ウマミリッチソース」です。こちらは9月に受付を始めた通販向け商品で、第1弾は予約開始から4日で完売するほど売れました。
「マッチャン ウマミリッチソース」は限定商品ではないので現在も発売中。「みそきん」の再々発売は未定ですが、この商品は「HIKAKIN PREMIUM」というブランドの第1弾として発売されたので、第2弾もあるはず。期待して次回作を待ちましょう。
4:令和型もんじゃ焼き店
外食で2023年に最もブレイクしたジャンルのひとつが「もんじゃ焼き」です。ある種伝統的な料理なのでピンと来ない人もいるかもしれませんが、2023年に開業したもんじゃ焼き店は数知れず。それも、大手〜中堅の外食企業がこぞって出店しており、新設商業施設のポールポジション的場所にもオープンしたのは印象的でした。
急拡大している店舗のほんの一部だけでも、「月島もんじゃ もへじ」「月島もんじゃ おこげ」「元祖海老出汁 もんじゃのえびせん」「両国だしもんじゃ もんじ」などがありますが、なぜ人気なのか。それは、Z世代を中心とした若者と、インバウンド客にウケているからです。その証拠に、もんじゃ焼きの聖地である月島は国内外の観光客で連日賑わっており、浅草でも、もんじゃ焼き店の多くに行列ができている光景を見られるはず。
共通点は、豪華で映える盛り付けや、だしにこだわり差別化をはかっている点、店名にひらがなが多いことなどです。Z世代にとっては、エンタメ要素やレトロ感があることも惹かれるポイントでしょう。
最近は都内の下町やターミナル駅だけでなく、住宅街がある駅周辺や関西などにも拡大している、この令和型もんじゃ焼き店。参入プレイヤーが多いこともあり、今後いっそう増えていくことでしょう。
5:ジャパニーズウイスキー100周年
ラストはGetNavi webでも4回にわたって特集した、ジャパニーズウイスキー100周年。こちらは日本初のモルトウイスキー蒸溜所・山崎蒸溜所が、1923年に建設着手したことの記念であり、アニバーサリーとして夏季に限定発売された目玉商品「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」(白州蒸溜所は50周年)と「サントリープレミアムハイボール〈山崎〉350ml缶」はともに大ヒットしました。
また、キリンビールが運営する富士御殿場蒸溜所も操業50周年を迎え、アニバーサリーウイスキーを数量限定発売。5月にシングルモルト、11月にブレンデッドウイスキーを抽選販売し、それぞれ2万1780円、3万6080円という価格ながらも注文が殺到する盛況ぶりとなりました。
ジャパニーズウイスキーは数年前から世界的に人気が高まっており、今後もますます注目を集めるでしょう。そして2024年もニッカウヰスキーが90周年であるなど、アニバーサリーは続くので、引き続き要チェックです。
2024年のグルメトレンドはこれが来る!
本稿では2023年のグルメトレンドを解説しましたが、「2024年はどうなるの?」と気になる人も多いでしょう。今回紹介したキーワードは、どれも継続して人気が出そうなモノばかりですが、それとは別に注目しているトピックスももちろんあります。具体的には年が明けたら掲載しますので、2024年も頭からGetNavi webのグルメ記事を注目ください!