ANAが2024年度をめどに、利用者によるスタッフへのいわゆる「カスハラ」の対策を本格化する方針を固めたと報じられています。このANAの判断には、SNSでも賛同が多数寄せられています。

「50代〜60代の男性の威圧的で理不尽なクレームが多い」

 共同通信が2023年12月23日、ANAが2024年度をめどに、利用者によるスタッフへの迷惑行為、いわゆる「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の対策へ本格的に乗り出す方針を固めたと報じました。一部の乗客から発せられる不当な要求・クレー厶に対し、約款にのっとった搭乗拒否などの手段を講じられるようになるとしています。この報道をうけSNS上では、今回のANAの判断に賛同する声が多く集まっています。


ANAの旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。

 以前から航空業界では、スタッフに対するカスハラが問題になっていました。

 航空・鉄道・バス・タクシー・観光業など、おもに交通運輸や観光産業で働く約60万人が加盟する労働組合「交運労協」は2021年、カスハラの悪質クレームに関するアンケート結果を発表しています。航空業界では、アンケート当時「直近2年以内に『カスハラ』を受けた」との声は全体の約42%にものぼるとのこと。受けた事例として同組合では次のような回答をあげています。

・お客様からの盗撮や、呼ばれる際に臀部や腰を触られることが多々あります。CA(客室乗務員)の同僚との会話の中で、同じ経験をしている者が10名近くいました。
・航空業界は接客をしているのが若い女性が多いこともあり下に見られやすいのか、クレームを強く言われることが非常に多いです。特に50代〜60代の男性の威圧的で理不尽なクレームが多く、それが非常に苦痛になっています。
・「この前は良かった」「今までそんなこと聞いたことない」など、威圧的に「こっちは客」という態度をする人が多くいます

 また回答者のなかには、会社側の対応に改善を求める声も聞かれており、「カスタマーハラスメントに対して諸外国のような法の整備、搭乗拒否、警察通報などを積極的にすべきだと思う。日本はカスタマーが優先される事に問題があるのでは」という声も聞かれていました。

最新の「カスハラ」対策は? SNSでも「ANAよくやった」の声

 なお現状でも、国内においても旅客機内で乗員の指示に従わない・機内の秩序を乱す行為などは、航空法に抵触し、機長指示により強制降機、そして逮捕につながります。実際に過去にもこれが適用されたケースは多く存在します。

 また、先述の「カスハラ」の1種である盗撮行為については、2023年7月より、「機内でCA(客室乗務員)のスカートのなかを盗撮する」といった行為が発覚した場合、ANAをはじめとする国内航空会社の機内では「撮影罪」が適用されるように。国内海外問わず、違反者は3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金が科されるほか、撮影データについても没収(消去・廃棄)が可能となりました。


羽田空港でポスターを掲出する様子(乗りものニュース編集部撮影)。

 今回のANAのカスハラ対策は、このほかの一部乗客による不当なクレームから、スタッフを保護する目的があると見られます。SNSユーザーからは同社の対応に対し、次のような声が聞かれています。

・素晴らしい!利用する側ですが徹底して欲しい。
・迷惑な客がいて出発できないとか最悪なのでしっかりお願いしたいです。
・ANAさん強い!
・良いね良いね。近年増え続けている迷惑客をいちいち相手してたら、全体のサービスの質が低下してしまう。
・そもそも乗客と従業員は対等ですし、良いサービスを受けたいのであればそれに見合う態度でいたいものです。
・他の領域にも広がって欲しい。

 ちなみに、このように運送約款の変更で、乗車拒否などのケースを明確化させる事例は、航空業界に限らずタクシーなどでも相次いでいます。