夜の渋谷スクランブル交差点

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東京都渋谷区は、渋谷スクランブル交差点のカウントダウンイベントを中止すると2023年11月21日に発表した。最盛期には10万人を集めたというが、この年末は実施されない。

渋谷スクランブル交差点はこれまで、大きなイベント時に大勢が集まって「お祭り騒ぎ」をする場所と化していた。だが2023年を振り返ると、3月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表が優勝した際には、大きな騒動は発生せず。10月のハロウィーンは渋谷区が「来ないで」と異例の呼びかけを行った。そしてカウントダウンイベントの中止。地元の渋谷センター街商店街は、こうした変化をどう捉えているか。

大みそか夜から元日早朝は路上飲酒禁止も

渋谷区のカウントダウンイベント中止の理由について、区土木部企画管理課を取材すると3点を挙げた。

1. 国による2023年4月の水際対策緩和によってインバウンド観光客が増えている状況で、イベント開催による混乱を避ける目的。

2. 若者が路上での飲酒やごみのポイ捨てをするなどマナーが良くなく、安心・安全な環境でのイベントの実施が難しいと判断したため。
3. イベントに参画する事業者がいなかったので、イベント実行委員会で中止を決定した。

カウントダウンイベントの中止は、コロナ禍だった2020年以来4回目となる。

併せて、渋谷区では2023年の12月31日18〜24時、24年元日0〜5時まで、道路・公園などの規制エリア内における路上飲酒を禁止する(図1)こととした。

カウントダウンイベントの中止について、渋谷センター街近辺の店主らに聞いてみると、

「そもそもカウントダウンイベントの場合、店は閉めているのであまり興味がない。営業にも影響はない」
「これまでは若者が大騒ぎするイベントが多く、朝になると捨てられたごみなどで迷惑していた。イベントが無くなることを歓迎する」

という意見が上がった。

「騒ぎたいだけの人」集まるのは迷惑

渋谷センター街振興組合の鈴木達治理事長を取材した。カウントダウンイベントやスポーツ大会の騒ぎに比べて、同組合として一番迷惑を被っているのは渋谷ハロウィーンであることを強調し、「渋谷が騒ぎたいだけの人の集まる場所になることは困る」と心情を吐露した。渋谷で騒げるというイメージは払しょくしていきたいという。

一方で、サッカーW杯やカウントダウンイベントの様子については、こう評価する。

「スクランブル交差点でハイタッチする一般の人もおり、外国人と交流する文化があるのはいいことだと思う。集まっている人たちも時間がたつと帰っていくのでそれほど問題視していない」

一部の迷惑な客が「バカ騒ぎ」するのが困る、というわけだ。鈴木理事長は「商店街としての通常の営業を続けたいというのが、我々の思いです」と話していた。