山本由伸【写真:荒川祐史】

写真拡大

12年総額3億2500万ドル(約463億円)…金額に見合う活躍ができるのか

 オリックスからメジャー移籍を目指していた山本由伸投手が、ドジャースと12年総額3億2500万ドル(約463億円)の超大型契約で合意したと21日(日本時間22日)、米複数メディアが一斉に報じた。山本は超大型の契約に見合う成績を残せるのか。リスクを指摘しているメディアもある。

 米メディア「CBSスポーツ」は、ドジャース契約報道前に「この日本人エースとの契約にはリスクが伴う」と伝え、3つの理由を挙げた。1つは、山本が「まだMLBで1球も投げていない」ことだ。報じられている3億2500万ドルの契約は、二刀流の大谷翔平投手を除くと、9年3億2400万ドル(約461億円)でヤンキースと契約したゲリット・コールを抜いて投手史上最高額となる。

 著者のRJ・アンダーソン氏は、「MLBとNPBの重要な違い」として、ボールの違いやローテーションの登板間隔の違いに言及。「これまで(NPBからMLBへの)移籍が成功した例は十分にあるので、ヤマモトも大丈夫だろう、と考えることもできる。とはいえMLBの一流先発投手だけに許される契約を結ぶ前に、彼のパフォーマンスを見届けたいと考える人がいるのも理解できる」と指摘した。それでも、NPBの投手が成功した例が多いことや、WBCでの好投を挙げ、「その論点は誇張されすぎている」と問題ないとしている。

 2つ目は、多くのメディアが言及している身長178センチという体格の問題だ。「歴史的に、球団は堂々とした体格の投手を好む。6フィート2インチ(約188センチ)以上の身長で肩幅の広い投手を好むことが多い」と指摘。その理由としては、「1シーズンで30試合以上先発登板する肉体的な厳しさに耐えられると考えられている」「身長が高ければ、投げ下ろすピッチングができ、有利である」と2つの定説を挙げる。

 今シーズン、身長6フィート(約183センチ)未満、体重200ポンド(約91キロ)未満と記載された投手で、10試合以上に先発した投手はマーカス・ストローマン、ソニー・グレイ、JP・シアーズの3人だけで、「The Hardball Times」が10年ほど前に実施した調査によると、6フィート未満の投手は、全体と比較して負傷者リストに入る確率が「2倍」高かったという。

近年は“フラットなリリースポイントを持つ投手”も好まれる傾向

 しかし、角度がつかなく不利、という点については、最近ではスペンサー・ストライダー(ブレーブス)などに代表される、フラットなリリースポイントを持つ投手が球界では好まれていることを挙げ、「ヤマモトはこの特徴を持っているうえ、彼の速球には伸びがあってゾーン内で勝負できる」とポジティブな面にも触れている。

 3つ目は山本が「投手であること」が挙げられている。投手というポジションは野手よりも故障が多く、「ヤマモトは投手であり、投手でしかない。したがって、彼がどれほど優秀で、彼のパフォーマンスがMLBでどれほど通用するはずであっても、彼と超巨額の契約をすることに、球団側が少なくとも多少の不安を感じるのは当然である」と説明した。

 それでも、記事では「ヤマモトは最高の投手であるという基準に合致する」と高評価で締めくくられている。MLBでは1球も投げていない投手には異例ともいえる超大型契約でのドジャース入りが決まったが、日本のエースは金額に応える投球を見せることができるだろうか。(Full-Count編集部)