待ち続けたHONDA Super Mono 644!【このバイクに注目】(このバイクに注目)
1990年代の初頭、ヨーロッパではスーパーモノと呼ばれる600ccクラス単気筒のレースが盛んで、1991年にドゥカティはスーパーモノを発表、ビモータがBMW単気筒で参戦しつつ1995年に市販車デビューが見えていて、ヤマハもスーパーシングルSZR660を同じく1995年に市販するという、スーパーモノ気運が高まっていた。
ただホンダは、ビッグシングルといえばヤマハSR400/500だった状態へ、英国マン島T.T.レースをイメージさせるGB400/500を投入、その後にヤマハがトラディショナル路線ではなくスポーツモデルとしてのSRX400/600をデビューさせると、単気筒での対抗モデルは投入せず、水冷VツインのBROSを該当カテゴリーのモデルとして、趣味性を異にする別路線の開拓に取り組んでいた。
ホンダはスーパーモノ気運には加わらない……そう思わせていたタイミングに、このSUPER MONO 644がショーモデルとして展示されたのだ。
GB400/500でビッグシングル・ファンは育まれていた……エンジンはNX650ドミネーターのRFVC(放射状ラジアルバルブ)4バルブで、ビッグシングルとしてはSOS(サウンドオブシングル)で戦闘力の高さを多くが認める存在。
パイプフレームにリヤサスをエンジン下にマウントする、思い切った低重心化にシングルファンの心はときめいた。
デザインは他のスーパーモノが、モダンでパフォーマンスを感じさせているのに対し、ホンダはトラディショナルな雰囲気をベースにもつ、趣味性を強く漂わせている。
「これはすぐにでも市販化される」多くのシングル・ファンがそう確信して疑わなかった。
しかし翌年、そうした兆候はなく、その後もビッグシングルを匂わせる動きは皆無。
結局ホンダのスーパーモノが陽の目をみることはなかった。
ビッグシングル好きで、GB400/500を楽しんだホンダファンは、ヤマハSRがクラシカルな雰囲気を楽しむのに対し、マン島T.T.を疾駆するロードゴーイング・レーサー好き。
そうしたファンだけに、SUPER MONO 644に対する期待は並々ならぬものがあった。
ただビッグシングル・スポーツは、どのメーカーのモデルも一定数以上は増えないというジレンマに必ず陥っていたのも事実。
慎重に判断すると、なかなか手を出せないカテゴリーということになる。
とはいえ、スーパーモノに期待するファンは少なくない。
いまもSUPER MONO 644に憧れる気持ちを失わずにいるのは間違いない。