名品には数々の効力がある。

身に着けることで日々のモチベーションアップにつながったり、自分に自信をくれたり――。

まさに、大人たちのお守り的存在だ。

本連載では人々から愛され、流行に左右されることない一生モノの“ファッション名品”にフォーカス。

今回登場するのは、大手IT企業に勤める原千春さん。彼女が紹介してくれるアイテムとは?

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今回、お話を聞いたのは原千春さん


1986年生まれ、神奈川県出身の37歳。Web広告代理店勤務を経て、IT企業に勤務する。

よく行くエリアは広尾、恵比寿。趣味はワーケーション、ホームパーティー。現在1児の母。



ジルサンダー出身のデザイナーが手がけるブランド


大人の女性になったら、ただ可愛いだけのファッションはしたくない。欲しいのは少しの艶感と洗練された佇まい。

これに共感する読者がいたとしたら、ぜひ押さえておいてもらいたいブランドがある。今回、原さんが紹介してくれる「ハルノブムラタ」だ。

ハルノブムラタとは、2012年に誕生した日本のブランド。ディレクターの村田晴信氏は、過去にジルサンダーのレディースデザインチームに所属していたことでも知られ、コスメブランド「アディクション」の店員ユニフォームをデザインするなど、国内外で幅広く活躍する注目の若手デザイナーだ。

コレクションの特徴は、シンプルなカットに上質な素材が使用されていること。モード感を漂わせながらラグジュアリーな世界観を持つ。



ハルノブムラタのブラックワンピース「HAZEL」。今年春に約10万円で購入

特別な1日を彩る、名品の魅力とは?


原さんとハルノブムラタの出合いのきっかけは身近なところだった。

「実は、デザイナーの村田晴信さんは友人なんです。元々私がアウトドア好きというのもあり、キャンプ仲間で。ただ彼はキャンプにも、ジルサンダーの白シャツにお洒落なベージュのスニーカーを履いてくるような、ちょっと変わった人(笑)。

最初は友達のブランドを応援する気持ちが強かったけれど、デザインが本当に素敵で質も良いので、すっかりコアファンになりました」

芸能界でも着用し始める人が出始め、今ではすっかり人気のブランドに。発売後すぐに売り切れるアイテムも多いのだとか。



40〜50代のマダムが着ても美しく見えるシルエットになっている


それではお気に入りのポイントとは?

「何年経っても飽きがこない洗練されたシンプルさと、シルエットの美しさ。そして、程よい肌見せができて、品はあるけどいやらしさがない。彼の作るドレスはどんな女性でも美しく魅せてくれます。

あとは…さりげなく付いている金属のパーツも、あまり見ないデザインで。金具1つとってもデザイナーがこだわって海外から仕入れていたりして、そこも魅力ですね」と原さん。

彼女が今回セレクトしてくれたのは、胸元とウエストのカッティングが特徴的なワンピース。ドレッシーな印象を与えられるが、実際の着用シーンが思い浮かばない、と頭を悩ます人もいるかもしれない。しかし、意外と日常シーンに溶け込む魅力がある。

「仲良しの女友達5人組で、『たまにはお洒落して遊びたいね』とホテルで集まる企画を立てていて。そのときに着るのが楽しみです。あとは、夫とのデートや旅行、もちろんパーティーやカジュアルな結婚式参列でも着ています」

ちょっと特別な日で大活躍の一着。お洒落をしてお出かけする時間が、日々の仕事や子育てを頑張るエネルギーになっていた。



同じデザインのバッグを「仕事用」と「子ども用」で使い分ける賢さ


続いて紹介してくれるバッグも、同ブランドのものだ。

出合いのきっかけはコロナ禍に開催されていたオンラインのファッションショー。画面越しに「このバッグ可愛い!」と一目惚れだったとか。



ハルノブムラタのバッグ「ACHILLE」。2020年に約14万円で購入


「ちょうど仕事用のバッグを探していたのですが、気に入るものがあまりなくて。そんなときに、“シンプルだけど個性的なデザインで、耐久性のある丈夫な素材”という100点満点のものが現れ、即決でした」と原さん。

そして、バッグ底面に付いている4つのピンで自立するというのも実用的であり面白い。ハンドルは持ち方によって長さを調整でき、肩掛けできるのも嬉しいポイントだ。

「あまりに気に入ったのでサイズ違いで購入しました」と当時のことを振り返るが、もう二回り小さいミニサイズはマザーズバッグとしても使っているという。

「ミニサイズには、おむつ2枚とおしりふきと哺乳瓶の3点セットがちょうど入るサイズで(笑)、子どもが1歳を過ぎたあたりからはそういった使い道も増えましたね」と、ママとしての一面をのぞかせた。


女性のライフステージが変わっても……


実は現在、第2子を妊娠中で、取材時は6ヶ月の妊婦さんでもあった原さん。子育てやマタニティーライフと並行してファッションを楽しむ秘訣とは何なのだろうか。

「ファッションを楽しむにあたり、子どもがいるとかいないとかは、私にはあまり関係なくて。子どもと一緒だと洋服が汚れてしまうかもしれませんが、それでも、自分がお気に入りのものを着ています。その方が、私自身が幸せな気分になれますから。

私にとってファッションとは、自分をご機嫌にしてくれるもの。例えばパーカ1つでもお気に入りのものを身に着るだけで、その日中はハッピーな気持ちになれますよ」






妊娠中のママとは思えないスタイルで、自立した女性の雰囲気をまとう彼女は「どうしても日々の主語は自分以外の子どもになってしまうんですけどね…」とはにかむ。

「でも、お気に入りのアイテムが1つでもあれば、忙しくて髪型やメイクが適当だったとしても自信を持って外に出かけられる。同時に『これらのアイテムに似合うような理想の女性であり続けたい』と思わせてくれる。そんな親友のような存在と、毎日を過ごしています」

女性は年齢に応じてライフステージが変化していく。しかしそんな女性たちに寄り添うように、お洒落はいくつになっても人生を彩るものなのだ。

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写真/品田健人