イタリア代表MFアンドレア・ピルロ(27=ACミラン)がついに悲鳴を上げた。クラブ、代表で唯一無二の存在として君臨する世界最高レジスタ(演出家=中盤底からゲームメイク)が9日、「試合数が多すぎる。国際大会の日程変更が不可能な今、国内リーグ・セリエAの試合数を減らして欲しい。数年前のようにチーム数を削減すべきだ」と悲壮感漂う表情で過密日程見直しを訴えた。

ガゼッタ・デッロ・スポルト紙調べによると、05年8月から06年10月までの14ヶ月間にピルロがこなした試合数は「77」、総出場時間は「6290分」に上るとの事。イタリア人選手では他にガットゥーゾ「75」、カンナバーロ「73」、グロッソ「72」がフル稼働している。冷静沈着な天才肌ピルロは対戦相手から削られる事は多いがやり返す事はなく、累積警告による出場停止が少ない点も過労に繋がっている。ACミランのプレパラトーレ(練習準備係)カルミナーティは「確かにピルロの言う通りだ。まずはセリエAを16チームに戻す必要がある」と壊れつつあるクラブの至宝を擁護している。

現在セリエAは20チームで構成されているが、チーム数削減を訴える関係者は多い。チーム数とレベルが反比例するのはどの世界でも同じ。プロリーグである以上、スタジアムが盛況ならばチーム数が多くても我慢出来るだろう。だが、一部のスタジアムを除き全体的に観客離れが進むイタリアの現状を考慮すると、チーム数削減は最優先課題ではないだろうか。

セリエAが「世界最高峰リーグ」と謳われたのも過去の話。カンナバーロ、ザンブロッタなど現役代表の選手が他国リーグへ移籍した今夏、関係者は国内リーグレベル低下の現実から目を逸らしてはならない。スタジアム離れは単に「危険だから」との理由だけではなく、「料金に見合わない内容」も一因している。「A昇格」が比較的容易になった今、プレミア度は急速に下降している。翌11日に控えたユーロ予選対グルジア戦に向け現在グルジアで代表合宿中のピルロだが、気管炎により出場が微妙な状態と発表された。