ユーロ2008予選のイングランド対クロアチアの一戦(11日)を前に、人種差別問題が浮上している。この試合で問題となっているのが、クロアチア代表の過激なサポーターだ。8月16日に行なわれたイタリアとの親善試合では、スタンドのサポーター200人が人文字で「かぎ十字」を作り、問題となった。さらに遡れば、ユーロ2004で、フランス代表の黒人選手に人種差別的な野次を飛ばした挙句、スタンドに白人至上主義的なメッセージを掲げたため、同国サッカー協会が罰金処分を受けた過去がある。

 悪名高いクロアチア・サポーターについて、欧州サッカー連盟(UEFA)のウィリアム・ゲイラードは、強い懸念を表明している。

「我々は人種差別を許さない。東欧では人種差別の問題が頻発してきたが、なかでもクロアチアは最悪の部類に入る。彼らに同じことを繰り返させてはならない。イングランド戦で問題を起こさないよう、我々はクロアチア・サッカー協会に厳しいメッセージを送るつもりだ。国際サッカー連盟(FIFA)は、新たなルールを設けた。行き過ぎた行為が認められれば、勝点剥奪や大会からの締め出しといった処分を課すことができる」

 グループEの行方を占う一戦で、イングランド代表の黒人選手に対する差別行為が発覚すれば、クロアチアがユーロ2008から追放される可能性もある。スリーライオンズにとっては有利に働くが、差別の当事者となる選手には決して許せる話ではない。サッカー界には、人種差別に対する厳しい対応が求められている。