7日に行われたウクライナとのユーロ08予選に2−0勝利を収めたイタリア、W杯後初勝利にも新たな問題が浮上した。イタリアの首都ローマ、オリンピコ・スタジアムでドナドーニ体制初勝利を飾った直後、CONI(イタリアオリンピック委員会)会長ペトルッチが「今後も代表戦はローマで行うべき」と発言、関係者に波紋が広がっている。

イタリアスポーツ界の最高機関に君臨するCONI、そのトップの発言を伝え聞いたGKブッフォンは「今回のウクライナ戦に関して言わせてもらえば、“真のサポーター”が応援してくれていたとは感じなかった。前半28分にようやく声援を受けたが、それ以降は感じ取れなかった」と異論を唱えた。ブッフォンによると“オリンピコ”をホームスタジアムとする多くのラツィオ、ASローマサポーターが集結、一部のサポーターからは代表への声援ではなくスキャンダル判決(ラツィオ=マイナス11ポイント)に対する不満の声が終始乱れ飛んでいたとの事。また主将DFカンナバーロも「なぜ途中交代でピッチを後にするデル・ピエロに対してブーイングが起きたのか。ローマのみで代表戦を行う事は好ましくない」と一極集中化による弊害を訴えた。

ほとんど全てのスタジアムが自治体によって運営されているイタリアでは、代表戦は各地持ち回りで行われる事が通例となっており、特に「セリエA昇格を果たしたばかりの街」を選ぶケースが多い。各地を巡る事によるメリットとして、“開催地クラブ選手を優先的に召集”することで新戦力を発掘、“地域の活性化”、“新たなサポーター獲得”などが挙げられる。一方、“芝や観客席数などスタジアム環境の不備”、対戦相手にもイタリア代表にも“交通アクセスの悪さ”が付随、“おらが町の選手のみ応援・敵対クラブ所属選手を罵倒”などデメリットも多く存在する。最近では昨年パレルモで行われた代表戦で、当時パレルモからフィオレンティーナに移籍したFWトニに対して試合開始から終了までブーイングが鳴り響くなど代表の足を引っ張るケースも目立っている。

充分な議論を要する開催地問題を迂闊にコメントしたCONI会長。2012年夏季オリンピック候補地として名乗りを挙げた首都ローマ、発言の裏には間違いなく“オリンピック招致”に向けた意図が存在する。スキャンダル発覚で地盤沈下の進む国内状況の中、世界へのアピールを目論んだCONI会長。今のイタリアで、スポーツ界ピラミッドの頂点に立つ者に求められているのは「世界」ではなく「国内」の整備ではないか。欧州CLの行われた9月12日、ASローマ対ウクライナ・シャクタル戦開始直前にオリンピコ周辺でウクライナ人サポーターがナイフで刺された事件も未だ解決していない。