阪神の本拠地・甲子園球場

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プロ野球の現役ドラフトが2023年12月8日に行われ、セ・パ12選手の移籍が成立した。現役ドラフトは出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化するための制度で、昨年から導入された。2回目となった今回はドラフト1位で入団した3人が他球団に移籍して話題となった。楽天でヘッドコーチを務め、巨人、ヤクルト、西武でコーチを歴任した橋上秀樹氏(57)はJ-CASTニュースの取材に、環境を変えることで「大化け」する可能性のある選手を挙げた。

「各球団とも積極的に補強のポイントとして重要視し始めている」

セ・パ両リーグで次の12選手の移籍が成立した。

セ・リーグは、阪神・漆原大晟投手(前オリックス、27)、広島・内間拓馬投手(前楽天、25)、DeNA・佐々木千隼投手(前ロッテ、29)、巨人・馬場皐輔投手(前阪神、28)、ヤクルト・北村拓己内野手(前巨人、28)、中日・梅野雄吾投手(前ヤクルト、24)。

パ・リーグは、オリックス・鈴木博志投手(前中日、26)、ロッテ・愛斗外野手(前西武、26)、ソフトバンク・長谷川威展投手(前日本ハム、24)、楽天・桜井周斗投手(前DeNA、24)、西武・中村祐太投手(前広島、28)、日本ハム・水谷瞬外野手(前ソフトバンク、22)。

橋上氏は「今回の現役ドラフトは、過去にドラフト1位で指名された選手が何人かいました。昨年の現役ドラフトでの成功例があるので、各球団とも積極的に補強のポイントとして重要視し始めているのかなと感じます」との見解を示した。

昨年の第1回現役ドラフトで移籍した選手の中で、DeNAから中日に移籍した細川成也外野手(25)とソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎投手(28)が新天地で躍動した。細川は140試合に出場して打率.253、24本塁打、78打点。大竹は21試合に先発して12勝2敗、防御率2.26でチームの日本一に大きく貢献した。

「巨人にとってはありがたい話だったと思います」

橋上氏はチームを移籍することで「大化け」する可能性のある選手として阪神から巨人に移った馬場を挙げた。仙台大学出身の馬場は17年ドラフトで阪神から1位指名されて入団。6年目の今季は19試合に登板して2勝1敗、3ホールド、防御率2.45だった。

橋上氏は「現役ドラフトの選手を現状で評価するのはなかなか難しいが、馬場投手は巨人の投手事情を考えれば十分に戦力になり得るでしょう。若手とは言えないが、ちょうど脂が乗ってくる年齢。今季も1軍で投げていましたし、まだまだこれから。阪神は投手陣が充実しているということなのでしょうけど、巨人にとってはありがたい話だったと思います」と分析した。

さらに「阪神にいるよりは出場機会が圧倒的に増えるでしょう。馬場投手が自分の持っているものをしっかり出せれば巨人で頻繁に起用されると思います。1軍の戦力としては十分に力がある。どのように起用されるかは分からないが、ブルペンの方が心許ないのでそこを担ってもらえればという思いがあると思います。1年間、1軍に帯同できれば巨人にとって大きなプラスになる」とした。

巨人は昨季、チーム打率はリーグトップの数字を残したものの、チーム防御率3.39はリーグ5位。投手陣が安定感を欠き、チームは4位でクライマックスシリーズ(CS)進出を逃した。2年連続Bクラスとなり、投手の補強が急務だった。

橋上氏は「馬場投手は起用される機会が増えれば自ずと成績は残すと思います」と評価し、「巨人はまさか馬場投手を取れるとは思っていなかったと思います。各球団、馬場投手が現役トレードのテーブルに上がるとは思っていなかったかもしれません。驚いたのではないでしょうか」と語った。