大谷翔平、ドジャース移籍の舞台裏 球団幹部が米誌に明かした極秘面談の内情「我々にはアドバンテージがあった」

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ドジャースで大谷と山本が共演となれば、日本のファンは楽しみが増えそうだ(C)Getty Images

 規格外すぎる契約に列島が沸いた。現地12月9日、今オフにエンゼルスからフリーエージェント(FA)となっていた大谷翔平が自身のインスタグラムでドジャース移籍を発表。10年総額7億ドル(約1014億円)のスポーツ史上最高の超大型契約が話題を呼んでいる。

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 23年シーズンの開幕時から注目を集めてきた二刀流スターのFA動向がついに決着した。本人とネズ・バレロ代理人が秘密裏に進めた交渉には複数球団が参戦。熾烈を極めたレースは、花巻東高校時代からスカウティングを続けてきた西海岸の名門ドジャースだった。

 もっとも、常勝軍団にとっても大谷獲得は容易な決断ではなかったはずだ。すでにムーキー・ベッツやフレディ・フリーマン、クレイトン・カーショウなど高額年俸のスーパースターを抱えるチームの財政状況からして、契約金の高騰が見込まれた偉才を集中に収めるネゴシエーションが、骨の折れる作業だったと考えるのは想像に難くない。

 それでも最終的にドジャースは、サッカー界が誇る大スターであるリオネル・メッシが17年11月にバルセロナと結んだ6億7400万ドル(約977億円)を大幅に更新する衝撃的な契約を締結。文字通り世界を驚かせた。

 では、舞台裏では何が起きていたのか。米老舗誌『Sports Illustrated』のトム・ベルドゥッチ記者によれば、ドジャースは、「オオタニがトロントに向かった」「まもなく決断を下す」とブルージェイズ移籍を予想する報道が流れた12月8日に球団幹部のみによる緊急会議を実施。結果的に報道は誤報だったと判明したものの、大谷獲得に向けたミーティングの雰囲気は「快適ではなかった」(ドジャース幹部談)という。

 ただ、ドジャースには手応えがあった。今月1日に本拠地ドジャースタジアムで秘密裏に行った大谷との面談で好感触を得ていたからだ。

 ドジャースは貴重な面談の場において、選手育成の取り組み方や若手有望株が揃うマイナーの状況など、大谷が長期契約を結ぶうえで気にしていた部分を徹底的にレクチャー。チームとして長期的な黄金期を築ける土壌があると示し、見事に口説き落としたという。

「彼はお金が1ドルでも多いかどうかを最高の条件だとは考えていなかった。我々としては、これからの10年間でポストシーズンにどれだけ出られるかが重要なのであれば、実績のうえでは、明らかにブルージェイズよりもアドバンテージがあったと考えていた」

 そう自信を口にした別のドジャース幹部は、「私たちは衝撃も受けた」と伝説的な契約が生まれた面談を振り返っている。

「とにかく会った時のショウヘイは爽やかだったんだ。年齢よりもはるかに若々しく見えたのは、野球に対する愛情が純粋だったからだろうね。我々は彼のモチベーションを知りたかったのだが、それはとてもシンプルで、『ただ野球をすること』だった。当然、彼をブランドとしてアピールに使いたい人もいるだろう。でも、ショウヘイは爽やかだった。彼と契約について話し合った後、我々は全員がより良い気持ちで終えていた」

 大谷を受け入れるための準備を入念に進めたドジャース。「彼のような選手は一生に一人だ。だから契約するチャンスがあるならできる限りのことをやらなければならない」(幹部のコメントより)と意気込んだ彼らは、見事に一大プロジェクトを成功させた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]