マイカーは行動範囲を大きく広げてくれますが、誰もが年中お出かけしているわけではありません。もっとも長く置かれているのが「自宅ガレージ」である場合も多いでしょう。

「自宅の駐車場が狭く、愛車を擦ってしまった」など、安心できるはずの我が家でトラブルに見舞われるケースも少なくありません。今回は「自宅の駐車場で困った経験」についてのエピソードを紹介します。

自宅駐車場で妻の車に…もう少しで人身事故に

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自宅は多くの人にとって「もっともくつろげる空間」だといえます。しかし、たとえ家の敷地内であっても事故のリスクはゼロではありません。

「自宅の駐車場で妻に轢かれかけたことがあります。うちの駐車場は建物を囲ってL字になっており、道路と並列に1台、垂直に1台が止められるようになっています。その日は休日で、私は午前中にディーラーで点検を終え、いつものように並列側に車を止めました。

ちょうどそのとき仕事の電話が入ったので、車内でしばらく話し、そろそろ終わりそうなタイミングで玄関に向かったのですが……ちょうど建物の角から出た瞬間に、妻の車が突っ込んできたんです。もう、ほとんどバンパーが太ももに触れていました。

思わず『ほわっ』と情けない声が出て、電話先の相手は動揺していますし、運転席の妻は魂が抜けたような顔をしてこっちを見ていますし……。

おそらく、車内にいたので妻が家から出てきたことに気づかず、また電話していて車の音にも気づけず、いろいろタイミングが重なってしまったんだと思います」(40代男性)

なんとも奇跡的なタイミングにより、あわや夫婦間で人身事故が起きるところだったとのこと。自宅の敷地内では気が緩みやすいこともあり、家族がいつもと違う動きをしている可能性について考えが及ばないケースも考えられます。

なお一般に、親子間や夫婦間での事故は、任意保険において対人・対物賠償の対象とはなりません。任意保険がカバーするのはあくまで「被保険者が負担する他人への賠償」であり、親子や夫婦など社会通念上「被害に対する賠償請求が発生しない」と想定される間柄のなかで生じた事故については、保険会社は関与しないものとされています。

隣人の洗車、高圧洗浄機の水が……

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人口密度の高い日本では、戸建てでも「隣家との距離が近い」というケースは珍しくありません。そのような場合、たとえ敷地内であったとしても、自身の行動が隣人に影響を及ぼしてしまうことがあります。

「お隣さんが車を買い替えてから、頻繁に洗車をするようになりました。洗車自体は敷地内でやっているので全然いいのですが、高圧洗浄機まで使うようになり、うちの車にもかなり水がかかってきてしまって。

『まぁ水くらいならいいか』と思う反面、『自分の車さえキレイになればいいのか』とモヤモヤする部分もあります」(40代女性)

自宅ガレージにおける洗車についてはさまざまな意見があり、上のようなケースのほか、汚れた水が周辺の道路に流れることを嫌う向きもあります。とくに近隣に田畑がある場合など、洗剤が用水路に入ることを懸念する声もあるようです。

こうした問題は人によって許容範囲がさまざまであり、またケースごとに勘案すべき事情は異なるため、一概に結論を出すことは難しいといえます。もちろん、小さな問題の積み重ねが隣人トラブルに発展する可能性もありますので、自身の行動が周囲に及ぼす影響を鑑みつつ、必要に応じて隣家とのコミュニケーションを図ることが大切なのかもしれません。

狭い駐車場、車選びの大きな制限に

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カーライフのなかで駐車する機会が多いのは、やはり自宅の駐車スペースでしょう。なるべく気を遣わず、余裕をもって駐車できる物件が望ましいですが、家選びにおける優先順位はさまざまです。なかには駐車スペースを妥協せざるをえないケースも少なくないと考えられます。

「15年ほど前、30代半ばで家を買いました。駅からのアクセスや子育て環境がよさそうな分譲住宅を見つけたのですが、予算的に手が届きそうなのが旗竿地の物件だけだったんですよね。

案の定駐車場はやや狭かったものの、当時の車はステップワゴンで、左側を思い切り寄せれば運転席は開きますし、どうにか自転車も出し入れできるくらいのスペースは空けられたので、『なんとかなる』と購入を決めたんです。

これまで住み心地には大きな文句なくやってきたのですが、最近車を買い替えるにあたって、駐車場の問題から車種がかなり限られてしまうことに気づきました。当時は車幅が1.8mを超えるような車は高級車ばかりだったのに、最近はことごとく大きくなってしまって……。

流行りのSUVにも乗ってみたかったですが、カローラクロスでも乗り降りがキツかったので、結局シエンタに乗っています。車の幅がこれだけ大きくなるとは思わなかったですね」(50代男性)

道路に接する出入り口が狭く、奥まった敷地にある旗竿地は、駐車スペースの面で苦労しやすいことで知られています。たとえば間口が2.5mほどの土地で車幅1.8mの車を維持しようとすると、片側をギリギリまで詰めたとしても70cmほどしか余裕がなく、乗り降りや自転車の通行がやや窮屈に感じられるでしょう。

近年ではクラウンに代表されるように、これまで国内向けだった車種が世界戦略車としてサイズアップする例も見られ、全体としてサイズの大きな車が増えている傾向にあります。今ある土地の形状は簡単には変えられませんから、今後家を購入する方は駐車スペースにも十分注意を払いながら物件を選ぶ必要がありそうです。