牛たん専門店、たんや利久の行列ができるモーニングをご紹介(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第54回となる今回、訪れたのは「仙臺 たんや利久」です。

飲食チェーンが密かにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。もうすぐ冬休みということで、12月は家族や友達、恋人など、誰かと一緒に行きたいモーニングをピックアップ。今回は東京駅のエキナカ施設「グランスタ」の地下にある、牛たんの専門店「仙臺 たんや利久(せんだいたんやりきゅう)」の朝限定メニューをご紹介します。

実は新幹線の停車駅はモーニングの穴場なんです。早朝から駅を利用する人が多いため、「東京駅」「品川駅」は早朝から営業している飲食店が多数あり、ラーメンやカレー、生ハムにお寿司など、バラエティ豊かなモーニングメニューを販売しています。冬休みの旅行や帰省のタイミングで、駅モーニングはいかがでしょうか?

たんや利久の朝メニューは平日・休日の2パターンあり


北は北海道から、南は鹿児島県まで。たんや利久の系列店は日本全国に47店舗(筆者撮影)

「仙臺 たんや利久」は日本全国14都道府県に、約50店舗を展開している飲食チェーンです。朝メニューを販売しているのは、駅ナカにある「仙臺 たんや利久 東京駅店」と「利久BOWLS エキュート大宮店」の2店舗。

当記事では「仙臺 たんや利久 東京駅店」のモーニングをご紹介します。提供時間は、開店(朝7時)から10時までで、モーニングメニューは2パターン。平日限定と土日祝限定があります。


左が平日限定の朝ごはん、右が土日祝限定の朝ごはん(筆者撮影)

まずは土日祝限定の朝メニューから。

・もつ煮定食 税込770円
・麦とろ定食 税込550円
・金華さばのみそ煮定食 税込880円
・朝の牛たんカレー 税込660円


もつ煮定食税込770円は、平日・土日祝ともにオーダーOK(筆者撮影)

※朝メニューとして記載されていますが、「牛たん定食」と「牛たん極定食」はレギュラーメニューと価格・内容共に同じものになっています。

平日限定メニューは土日祝限定メニューに

・朝の牛たん定食 税込1056円
・朝のたんとろ定食 税込1276円

が追加されます。

行列ができる朝ごはんのお店

朝メニューの受付時間は本来10時までですが、あまりのお得さに「並んででも食べたい」と思う人が続出し、9時半すぎには「本日の朝定食は受付終了致しました」と書かれた用紙が貼り出されることも。


とある土曜の朝9時33分。「本日の朝定食は受付終了しました」の張り出しがありました(筆者撮影)

オーダーしてから提供までの時間はいつもあっという間なので、入店してしまえばこっちのものなのですが、店内には20席ほどしかないため、その日の客層に回転率が左右されます。グループ利用が多く回転率が悪いときは、長時間並んだ挙句に新幹線の時間が来てしまい、諦めて離脱する人もたまに見かけます。

つまりは、「仙臺 たんや利久 東京駅店」のモーニングは、時間に余裕を持って利用するのが鉄則です。

「どうしても食べたい!」という方は9時すぎまでに受付を済ませておくことをおすすめします。

平日限定の朝の牛たん定食


平日限定の朝の牛たん定食1056円。朝から専門店で牛たん焼を食べる贅沢を満喫できます(筆者撮影)

平日限定で販売している「朝の牛たん定食」税込1056円は、朝メニューのなかで最も高いようにみえて、実は一番お得です。

「朝の牛たん定食」のセット内容は以下。

・牛たん焼2枚4切
・麦飯(大盛り無料)
・カップテールスープ
・白菜の浅漬け
・南蛮味噌


炭火で焼いた牛たんは、外側はこんがり香ばしく炭の香りが漂い、内側はしっとりソフト(筆者撮影)

牛たん焼は単品注文すると、2枚4切で税込1342円。「朝の牛たん定食」は、単品の牛たん焼2枚4切に、麦飯とカップテールスープがセットなっているにもかかわらず、286円も安いんです。

レギュラーメニューの「牛たん定食」税込1837円と比較しても、「朝の牛たん定食」には「牛たん定食」についている和菓子と小鉢がないだけで、781円も安いんです。

もしかしたら「朝ごはんに1000円超えはちょっと高すぎる」と思っていた方もいるかもしれませんが、この値引額をみると「1000円以上払ってでも食べたい」というお得さが伝わったのではないでしょうか。


牛たん焼の単品価格は、2枚4切で税込1342円。朝の牛たん定食はあれこれついて単品よりも安い、お得すぎる価格設定です(筆者撮影)

朝から大満足!厚切り牛たんの歯ごたえと旨味

牛たんといえば、薄切りのものを網でサッと焼いてレモンをしぼって食べるという「たん塩」が主流ですが、仙台の牛たんは厚切りが身上の「牛たん焼」です。


麦飯に牛たんと南蛮味噌をのっければ、ごはんがどんどんすすみます(筆者撮影)

1988年に仙台で営業を開始した「仙臺 たんや利久」の牛たん焼も、1cm近い厚みで、ボリューム満点。炭火で焼かれた牛たんは、表面はしっかり火が通って香ばしく中はしっとりジューシー。熟成された牛たんならではの、スッとかみ切れる柔らかさは感動ものです。

「朝の牛たん定食」で提供される牛たん焼は2枚4切とはいえ、厚みも歯ごたえもあるので、食べ応えは相当なもの。

コリコリと牛たん独特の歯ごたえは健在ながら、噛むとじゅわっと肉汁が溢れ、噛むほどに口のなかに牛たんの旨味が広がります。シンプルな塩味の味付けは、塩加減も絶妙で、素材そのもののおいしさを引き立てます。

優しい味のテールスープと大盛りごはんが伴走


テールスープの底には、大ぶりのテール肉がゴロリ(筆者撮影)

テールスープは大ぶりのカップスープにヒタヒタに入っていました。味付けはあっさり優しい塩味で、量が多いかとおもったけどするする飲めました。たっぷりの白髪ネギと、底には巨大なテール肉がごろり。口に放り込むと、ほろほろとほどけるほど柔らかく煮込まれていました。

麦飯は大盛りをオーダーしたのですが、想像以上の大盛りぶりでした。南蛮味噌で食べてもヨシ、牛たんを麦飯にのっけて頬張れば、思わず顔がほころびます。少しお行儀は悪いですが、テールスープにドボンして、雑炊風に食べてもおいしいんです。


南蛮味噌はごはんのお供にぴったり(筆者撮影)

麦飯のボリュームに恐れ慄き「こんなに食べられるかしら?」と最初は不安もあったものの、箸休めの間もなくどんどん食べ進み、ぺろりと食べ切れてしまいました。これぞパワーモーニング。朝イチで、ランチどころかディナーにも十分ながっつり定食をキメれば、お腹の底から力が漲ります。

土日祝の朝メニューも魅力満載のラインナップ

土日祝限定の朝メニュー(実は平日も食べられますが)「もつ煮定食」税込770円と、「朝の牛たんカレー」税込660円もご紹介します。


もつ煮定食770円。もつ煮は意外とあっさりで、朝からスルスル食べられます(筆者撮影)

「もつ煮定食」の内容はこちら。

・もつ煮
・麦飯(大盛り無料)
・カップテールスープ
・白菜の浅漬け
・すじこん

もつ煮は、とろみは控えめのサラサラした食感。甘すぎず辛すぎず、もつの旨味がしっかりわかる控えめな味付けです。具材はこんにゃくと大根とたっぷりのもつのみの潔さ。


たっぷりのもつが入った、ボリュームたっぷりのもつ煮。スープにももつの旨味が染み込んでいました(筆者撮影)

食材の品質と鮮度に自信があるからこそだなぁと関心しきり。れんげに麦飯をのせて、もつ煮にひたして食べると絶品です。トッピングされた水菜のシャキシャキした食感とのコントラストも楽しい。


朝の牛たんカレー660円。黄色がかったルーは爽やかな食べやすい味わい(筆者撮影)

「朝の牛たんカレー」はカレーライスに福神漬けが添えられています。ごはんは麦飯、カレールーは辛さ控えめで朝から食べても重くありません。香辛料たっぷりの本格的なカレーではなく、ヨーグルトと野菜を煮込んだ華やかな酸味の、老若男女に食べやすいカレーです。

具材は角切りのじゃがいもとにんじん、牛たんは小粒ながら分厚いサイコロ状でたっぷりと入っています。一口食べるごとに口の中に牛たんが飛び込んできて、ホロホロと口のなかでほどけていきます。


野菜よりもお肉が多い! 牛たんがたっぷり入ったカレールー(筆者撮影)

「もつ煮定食」は、単品価格が税込550円の「もつ煮」と、税込385円の「テールスープ」に、さらに麦飯と小鉢がついて770円。単純に計算して、純粋に安い。

「大きな牛たんカレー」は、朝の同じカレー系のメニューの「大きな牛たんカレー定食」が、カレーにサラダとテールスープがセットになって税込1815円であることを考えると、具材が違うため一概に比較はできませんが、税込660円というのは、かなりお安めの価格設定であるということが伝わるのではないでしょうか。


レギュラーメニューの大きな牛たんカレー定食は、サラダとテールスープがついて1815円(筆者撮影)

冬の朝でも、ちょっと早起きして食べたくなる

中価格帯の専門店のこだわりメニューを、朝ならではのお値打ち価格で食べられるからこそ、「仙臺 たんや利久 東京駅店」のモーニングは行列が絶えないのかもしれません。

仕事や旅行で東京駅を利用するときに、ちょっと早起きして食べたくなる味だな……。

筆者よりひと足早く、ホクホクとした笑顔で店を出ていく社会人たちの横顔を見ながら、心の中でエールを送りつつ、そんなことを思った朝ごはんでした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)