前澤友作氏
日本の民間人として初の宇宙旅行を果たした実業家・前澤友作氏のドキュメンタリー映画『僕が宇宙に行った理由』の完成披露上映会が、27日の都内で開催。そこでは、前澤氏と同じくロシアの宇宙船ソユーズに搭乗して、本作の撮影と監督を手掛けた平野陽三氏も登壇した。

この映画は、前澤氏と平野氏が、幾度に渡る検査や6カ月を要した過酷なトレーニングを経て宇宙に飛び立つまでの道のりや、2021年12月のこと、国際宇宙ステーション(ISS)での12日間の滞在、そして、地球に帰還した宇宙の旅を密着したドキュメント作。

実際に宇宙に渡航した人間が船内における撮影をして、それから監督まで務めた映画は世界的に極めて珍しく、日本初の作品でもある。

トークショーでは、ロケット発射の瞬間、船の乗り心地を話題にした。

前澤氏は「凄く意外だったことがあります」と話し始めて「全然揺れないし、静かだなという印象でした。例え話で言うなら、新幹線のように気づいたら動き出している感じです。今まで観てきた宇宙映画だとゴォゴゴォと大きな音とともに振動の中でロケットが打ち上がるような感じは全くしなかったです」と報告し、実際の乗り心地を想像させた。

「もちろん外は凄い音なんですけれど、中はやっぱり飛行士を守るためかも知れないのですが、宇宙服とヘルメットは被ってるし、(会話や交信する)ヘッドホンみたいものを着けているので、外の音が聞こえづらい。あと、体幹も揺れない感覚がありました」と思い出した。

極狭の船内に、アクションカメラのGoProを数台据え付けて撮影したという。平野監督は「幾つかのカメラは途中で止まっちゃったりとか、壊れたりもした。でも、一応残っていたものがあって良かった」と明かしつつ「やっぱり宇宙の映像は、フィクションに頼るものが多いかと思うので、実際の生の映像を使えたというのは、凄く嬉しいこと。あの瞬間が撮れていて、世の中に出るということはかなり珍しいと思うので、ちゃんと記録出来ていて本当に良かったです」としみじみ話した。

前澤氏の夢の挑戦から始まった作品。前澤氏は「お子さんに観てほしい」と願った。「皆さん、もうお分かりだと思うのですが、夢を諦めずにやっていると、いつか形になるんだということを表現できたらと思って今回の映画を作りました。宇宙から見た地球は本当に綺麗で、国境もなく、本当に綺麗に見えるわけです。そういう地球を皆さんで大切にして、一緒になって守っていけたらイイなと思っていますので、そういったことも伝わるよう願っています」とメッセージを残していた。

ドキュメンタリー映画『僕が宇宙に行った理由』は、現在のところ、全国80箇所での劇場公開が12月29日から予定されている。



▼ 平野陽三氏


▼ 映画『僕が宇宙に行った理由』予告映像


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