今年の忘年会はどうなる?

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 【外食業界のリアル・3】 コロナを乗り越えた外食業界は一番の盛り上がりを見せる忘年会シーズンに入った。相変わらず企業の大宴会は減っているものの飲み会は活気を取り戻し、インバウンドも追い風となってコロナ前の売上を越えた店舗も増えている。そこで今回は忘年会シーズンの中でお店をどのように選ぶべきか、さまざまな視点から考えていきたい。

●外食業界における忘年会とは



 外食業界の忘年会商戦は概ね10月から予約が入る。席数の多い店が限られる名古屋などの一部の地域では9月から予約が埋まり始める場合もある。もちろん忘年会のメインとなる鍋コースの選定などは夏に決まり、販促物の準備が9月に終わるという段取りとなる。

 10月になると早めに顧客を確保するため、月末までに予約をすると特典がある早割を展開するチェーンが多い。コース料金の値段が安くなったり、飲み放題がプレミアムに格上げされたり、特定の焼酎が飲み放題に追加されたりと、何かしらの特典がつく。そのため大宴会となると席数が多い店舗が限られることもあって、すぐに埋まってしまうわけである。

 だが、コロナによってその傾向も変わってきている。

 まず企業の大宴会は以前のような形には戻らないだろう。社会的なルールとして大人数の飲み会は開催しても特に問題はない。だが、人々の中に大宴会をやらなくてはいけないという義務から解放された気軽さというものが染みついていると思われる。幹事は大宴会となると店の確保だけでなく、出欠の確認やお金の徴収、場合によって司会や出し物の手配などにも追われる。大宴会の成功可否が幹事の出世を左右するようなこともあったりなかったりする。もちろん大宴会によって社員の団結力が高まる、企画力が磨かれるなどのメリットもある。が、そういうものに抵抗感がある人もいるのも事実だ。そのため、気心しれた仲間内の小宴会を複数回やるような傾向は変わらず続くだろう。

 今年はインバウンド需要によって飲食店が盛り上がっている。円安ということも追い風となって繁華街や飲食店で団体客を見かけることも多く、その傾向はしばらく続くと思われる。インバウンドの場合、旅行代理店や斡旋会社が代わりにお店を確保することが多く、有名店や団体客が入れるような店舗は忘年会に関係なく予約で埋まってきてしまっているのである。

●飲みスタイルの多様化



 コロナ禍に普及したリモートワークという働き方は、ライフスタイルの一つとして定着し、オフィスから遠く離れた場所に住む社員も増えたことで、みんなで集まって飲むという宴会の在り方自体が変わってきている。それに伴い、以前にはなかったような飲食サービスが増えてきている。例えば、参加者が各自の家からオンラインで接続してビデオ越しに会話をするような宴会をサポートするサービスがある。各自の家にアルコールと簡単に食べられるような食事のセットが届けられ、宅飲みが簡単にできるのである。

 またケータリングも進化して、オフィスでの立食パーティ的な形で開催できるようなパックも人気だ。他にもBBQを食材や機材ごと全て出張で運んできてくれるサービスもある。そうすると、土日に自宅などで仲間内の忘年会として利用できたりもする。店で飲むというのは、あくまで選択肢の一つでしかなくなったわけである。

 だが、それでもやはり今年の忘年会は混雑が予想される。

 インバウンド客で賑わう中で少人数の仲間内の飲み会が複数会実施されることで、人が溢れていくと思われる。特に人数が多いような飲み会は、早めに店を確保しないとどんどん選択肢がなくなっていく。また忘年会シーズンは2軒目、3軒目と繰り出していくことも多く、2次会難民になる可能性も高い。最近は少なめの料理と飲み放題で構成された2次会向けのコースも人気なので、幹事は2次会用のお店を確保しておくことをおすすめする。

●外食業界からのお願い



 最後にお願いがある。

 これから忘年会を予約するケースも多いと思うが、必要がなくなった予約は必ずキャンセルの連絡をして欲しい。バックレは言語道断である。忘年会シーズンでは複数の店を予約しておくが、必要がなくなった店に連絡を忘れてしまうことが多い。幹事へ予約の事前確認をする店も多いので、この時期は知らない番号からかかってきたとしても電話に出ていただけると非常にありがたい。原材料が高騰している今、ノーショーが発生してしまうと食材を無駄にしてしまうだけでなく、貴重な席を無駄にしてしまうことで営業機会の損失にもなり、店舗のダメージは計り知れない。

 忘年会シーズンは早めに動く。必要がなくなった場合は、キャンセルを忘れないようにしよう!(イデア・レコード・左川裕規)