ローコスト住宅とは? 1,000万円台から建てられる住宅の特徴・注意点など解説
費用をなるべく抑えて注文住宅を建てたい場合、1,000万円台から建てられるローコスト住宅は選択肢の一つになるでしょう。この記事では、ローコスト住宅の特徴や注意点について解説するとともに、ローコスト住宅を建てられる代表的なハウスメーカーを紹介します。
ローコスト住宅とは
ローコスト住宅とは、一般的な相場よりも安く建てられる家を指す言葉です。坪単価は30~50万円前後で、35坪程度の家を本体価格1,000万円台で建てられるケースもあります。注文住宅は以下のように「フルオーダー住宅」「セミオーダー住宅」「規格住宅」の3タイプに分かれます。ローコスト住宅は規格住宅に該当するケースが多いかもしれません。
規格住宅はシンプルなデザインになることが多く、2階建ての場合は1階と2階がほぼ同じ面積の「総2階」になるのが一般的です。家づくりの自由度はほとんどありませんが、その分、一定の品質を保ちつつ建築費用を抑えた家づくりが可能になります。フルオーダー住宅に比べて工期が短いこともメリットといえるでしょう。
ただし、仕入れの工夫や広告費削減などでコストカットを図り、低価格ながら設計の自由度を高めているハウスメーカーもあります。メーカーごとに特徴が異なるため、まずは情報を集めることが大切です。
ローコスト住宅の注意点
ローコスト住宅は家づくりに強いこだわりがなく、できるだけ建築費を抑えたい人におすすめの住宅といえます。ただし、いくつかのデメリットもあるので、建ててから後悔しないために抑えておきましょう。
住宅プランの自由度が低い
ローコスト住宅は、間取りや設備などを自由に選ぶことできず、ハウスメーカーによって規格化されたプランから選ぶスタイルがほとんどです。細部まで希望をかなえた家には向いていません。また、変形地や傾斜地など、家の規格に合わない土地には建てられない可能性があることに注意してください。
部材や設備のグレードが低いことがある
部材や設備に耐久性の高いハイグレードなものを使用すると、費用はかかりますが劣化しにくく、メンテナンス費用の節約が期待できます。一方、ローコスト住宅では、コストを抑えるために一般的なグレードのものが使用されているケースがほとんどです。立地や使い方にもよりますが、劣化しやすく、メンテナンスの頻度が高くなる可能性があります。安く建てられるものの、維持費を含めたトータルコストは割高になるかもしれません。
住宅性能が劣る場合がある
耐震性や断熱性は住まいの安全・快適さに関わるため、慎重に検討する必要があります。建物を建てるときは建築基準法の耐震基準をクリアする必要があり、ローコスト住宅も一定の耐震性が保たれていますが、より丈夫な家を希望するなら耐震性を重視したハウスメーカーを選ぶようにしましょう。また、性能の低い断熱材や標準的なサッシを使用した家は断熱性が低く、冷暖房の費用が高額になりがちです。家の本体価格のみに着目するのではなく、性能もしっかりチェックすることが大切です。
オプション費用がかかる場合がある
ローコスト住宅の価格は標準仕様における価格であり、建材や設備をグレードアップする場合は基本的にオプション費用がかかります。物足りなさを感じて「あれもこれも」とグレードアップした結果、想定したよりもはるかに高額になってしまうケースは少なくありません。まずは標準仕様のグレードを確認し、予算内に収められるようにグレードアップしたい対象の優先順位を決めましょう。
ローコスト住宅を建てるときのポイント
ローコスト住宅はメーカーによって選べるデザインや仕様が変わってくるため、まずは好きなデザインがあるかどうか、必要な設備が標準仕様に含まれているかどうかをチェックしましょう。オプションで追加すると予算をオーバーするかもしれません。長く住み続けることを考えると、耐震性や断熱性などの性能はもちろん、耐久性やメンテナンスのしやすさも確認するべきです。
そのほか、アフターフォローや保証内容、施工実績、評判なども比較してハウスメーカーを選ぶようにしてください。会社のカタログや公式サイトには好意的な感想だけが掲載されていることもあるため、インターネット上の口コミやSNSでも検索してみましょう。実際にそのメーカーで家を建てた人の体験談は、特に参考になるはずです。
1,000万円台から建てられるローコスト住宅のメーカー
数あるハウスメーカーの中から信頼できる1社を選ぶのは簡単ではありません。そこでここからは、1,000万円台から建てられるローコスト住宅を提供している3社を選び、それぞれの特徴を紹介します。
アイフルホーム
アイフルホームは大手住宅設備メーカーのLIXIL(リクシル)が運営するハウスメーカーです。全国250店以上の工務店が加盟するフランチャイズ制度を敷き、「住宅設備メーカーの商品開発力」と「地元に密着した工務店の機動力」という両方のメリットを併せ持つ家づくりが強みです。
ローコスト住宅ではさまざまなプランを提供していますが、近年注目を集めているのが「i-Prime7」です。これは、施主がインターネット上でプランを選ぶという新しい仕組みを取り入れた家で、打ち合わせにかかる経費を削減することにより、さらなる低価格化を実現しています。
アイダ設計
アイダ設計はローコストから高級志向の住宅まで幅広く手掛けているハウスメーカーで、坪単価は35~65万円程度です。木材の仕入れ・加工・管理をはじめ設計から建築まで自社一貫体制で行い、外注にかかる中間マージンを削減することによって大幅なコストダウンを図り、低価格化につなげています。さらに、キッチンやユニットバスなどの設備は一括大量仕入れによって単価を下げるといった工夫がなされています。「正直価格」をモットーとしており、価格設定が分かりやすいことも特徴です。
タマホーム
タマホームは、おしゃれで快適な住宅を低コストで実現できるハウスメーカーとして定評があります。坪単価30~60万円ほどで、本体価格1,000万円台の家を建てることも可能です。耐震性・耐久性に優れた家づくりに取り組んでおり、住宅性能表示制度の耐震等級では最高の「等級3」を取得しているほか、強度を重視した「ベタ基礎工法」や床を強化する「剛床工法」などを採用。なるべく安く建てたいものの性能にはこだわりたいという人におすすめのハウスメーカーといえるでしょう。
まとめ
ローコスト住宅は仕様を規格化することで低価格を実現していることが多く、デザインや間取り・設備選びの自由度は低めです。建材や設備は一般的なグレードのものが使われるため、グレードアップしたい場合には別途費用がかかることに注意してください。標準仕様のグレードが低い場合、耐震性や耐久性、断熱性に不安を感じることもあるでしょう。
しかし、材料の一括大量仕入れや広告費削減などの企業努力で、住宅の性能を維持しながらコストを抑えているハウスメーカーもあります。ローコスト住宅を検討する際は、複数の会社を比較して選ぶようにしましょう。