バイクはカーブの途中で進路変更がムズカシイ!

バイクに絶好のシーズン到来。山々に色づく紅葉を見にツーリング……
でも山へ近づくと右に左にとカーブが連続。いつも警戒心が先に立って怖々走るので、苦手意識が消えずに楽しめない。
怖がらずにそこそこ楽しめる、そんなペースってどうすれば?

という方々に向けて、ワインディングを攻める腕自慢向けではなく、マイペースだけどイイ感じに走れるメソッドをまとめてみた。

キャリアが浅いと、カーブは曲がりきれなかったら大変という壁が立ちはだかる。
かといってあまりにゆっくり走るのも楽しくない。
ではカーブの曲がり方に、どうすればシンクロさせた走り方ができるのだろう?

カーブでどのくらい曲がっているのかを確認するのは、センターラインがひいてあればまずそれを見るのが掴みやすい……そう思いがちだが、これがなかなかうまくいかない。
なぜならバイクは急に曲がり方を変えたりできないからだ。

つまりクルマのように、カーブの途中で曲がり方がきつくなったら、そこからハンドルをさらに切って対応するということができない。
バイクはバンク角を途中からさらに増やしても、曲がり方がほとんど変わらないという厄介な乗り物。

同様にカーブの外側、つまり道路の縁を見るのもうまくいかない。
いちばんのネックは、曲がり方が変わった地点ですぐ対応できないという基本的な部分だ。
対応が遅れるとカーブの曲がり方に合わなくなり、当然アウト側かイン側のあらぬ方向へ進路が向いて曲がり切れなくなり慌てる……ということになってしまう。

バンク角を深くしない走りに徹して、直立からリーンするときにいちばん曲がれる特性を利用する!

バイクは真っ直ぐ直立した状態からリーンをはじめたとき、クルマでいうと真っ直ぐからハンドルを最初に左右30°ほど切るとき、進路を「くの字」を描くように明確に変える瞬間がある。

この真っ直ぐから20~30°までのリーンの後、それ以上バンク角が増えていく間は、サーキットのような路面コンディションであれば深くバンクして強く旋回する曲がり方になるが、一般公道ではリスクが高まるだけなので安全を考えればやめるべきだ。

つまりリーンは常に20~30°ほどしかバンクしない走り方に徹するのが先決。
そしてこの明確に曲がれるこのときの特性を利用すれば、カーブの途中から曲がり方が変わる複合コーナーに対応できるというわけだ。

ご覧のようにカーブの先のほうで曲がり方が強まっているのを発見したら、軽くフロントブレーキをかけると反力で車体が真っ直ぐ起き上がろうとする特性を使い、一旦直立もしくはそれに近い状態へスクッと立てて、すぐさまブレーキをリリースしてリーンすれば「くの字」を描いたように進路が変わる「向き変え」をして次の旋回をはじめる。

これはいきなり高度な走りに感じるかも知れないが、初めは僅かに10~20°までしかリーンしない乗り方に徹し、ゆっくりしたペースで試してみれば必ずできるはず。
たとえば曲がり角を直角に曲がろうとするときなど、リーンを曖昧にせず軽くブレーキをかけてサクッとリーンをすると「くの字」を描いた感じで曲がれるのがわかる。

この常に浅いバンク角でリーンを止める乗り方は、安全上はもちろんのこと、このように「向き変え」を組み込みながら走る、自由度の高い操り方を身につける入り口でもある。
サクッ、サクッと浅いバンク角でキメていく走りに徹するのが、実は上達への近道にもなるのだ。

カーブの入り口を見て、何速で走るかを事前に決める訓練を!

次にリスクを冒さず、イイ感じのペースでカーブへ進入するメソッドに移ろう。
カーブは遠くから見ても最初の曲がり方に角度があって、大雑把ではあるが120°ほどの浅い曲がり方なのか、90°くらいきつく曲がっているのか、もしくは入り口で既にヘアピンのように曲がり込んでいるのか、ある程度は予想がつく。

この入り口のアウト側の縁で角度を見る習慣は、意識をして繰り返していくと徐々にそこそこの判断ができるようになる。
そこでギヤは何速にしておくのか、速度もどの程度まで減速するのか、もちろん充分なマージンをもって走るのが前提なので、決して慌てることのないペースで先読みする練習を積み上げていこう。

これは何となく想像する程度だと訓練にならないので、カーブを見てヘルメットの中で「90°で4速」とか「ヘアピンで3速」というように声に出すくらい自分に言い聞かせ、近づいたら違っていたのがわかった段階でまた言い直すというように、意識が集中するよう自分で仕向けるのが大事。

そんなことまでして……と思うかも知れないが、慣れてくるとマージンもあってイイ感じのペースで走れる、そんな世界を手に入れられるので、ぜひお試しを!

どんなブラインドコーナーでも、入り口へ近づくほど先がわかるし、コーナー途中でも先を常に見ておく

右に左にとカーブが続くワインディングは、イン側が山肌や木々で隠れた先の見えないブランドカーブであるのが基本。
しかし、ここまで積み上げてきた経験を活かすと、カーブは遠めには見えなかった部分が、近づくほどにどんどん見えてくるといったように、リスクが減ることになるわけだ。

視線はどこを見ておくのが良いのか、向き変えは先のどのあたりでリーンしてはじめるのか、その都度にキメながら組み立てていく。
バイクはこのように、その時々に如何に対応できるか、そこが操るすべての基本でもある。
いわばどれだけ状況対応できるかを楽しむ乗り物ということもできる。

ブレーキのリリースを利用したクイックな「向き変え」など、さらに高度なライディングもあるが、そうした上を目指さなくても、ゆっくりとしたペースでここまでのメソッドをこなせていれば、楽しく安全なツーリングで、もっと遠くへと新たな世界が拡がるに違いない。

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