勉強や仕事のモチベーションがあがらないときに、まず見直すべきこととは(写真:Fast&Slow/PIXTA)

勉強や仕事でなかなか結果が出せない。そんなときは、1日のスケジュールを見直す必要があるかもしれません。現役東大生の西岡壱誠さんの新著『東大モチベーション 勉強のやる気がすぐ起きて→ずっと続く方法』では、東大生へのアンケートやインタビューの結果見えてきた、やりたくない勉強でもやる気を出す技術が紹介されています。本記事ではその中から、東大生の1日の具体的な勉強の流れをご紹介します。

東大生はどんな順番で勉強?

東大生は、毎日「どんな順番で」勉強をしていると思いますか?

僕は毎年300人以上の東大生にアンケートやインタビューをして、その勉強法やモチベーションの保ち方を調べている人間です。そんな中で、実は東大生たちの勉強の順番には、一定の法則性があることがわかったのです。今回は、東大受験生の具体的な1日の勉強を追いながら、「どんな順番で勉強すれば効果が出やすく、モチベーションが維持しやすいのか」についてお話ししたいと思います。

1 6時〜8時 まずは「ベッドの中で」勉強をする!?

まず、朝起きた時から東大生の勉強習慣はスタートします。朝、目が覚めた時点で、ベッドの中で何かしらの勉強をしている場合が多いのです。

起き上がって、机の前に座って勉強するわけではありません。横になった状態で、スマホやタブレットを使って勉強をします。

・勉強の動画を観る。寝そべった状態でいいので、YouTubeやスタディサプリなどで勉強になる動画を確認する。

・頭の中で、昨日勉強したことを思い浮かべてみて、きちんと覚えられているかどうか、暗唱できるかどうかなどをテストしてみる。

このように、寝ている状態でできることを実践していくのです。

例えば東大受験生の多くが観ているYouTubeチャンネルに、PASSLABOというものがあります。このチャンネルは、朝の時間に約10分間の、受験生に有益な情報や頭の体操のような数学・英語の問題を投稿しています。東大受験生は、このチャンネルを朝に観ることをルーティンにしている場合が多いのです。

そしてベッドから出た後も、何かしらの勉強をしながら朝食を食べる場合が多いです。まず朝の時点で勉強に触れていないと、その日1日の勉強のモチベーションの維持が難しくなってしまいます。「最初が肝心」とはよく言ったもので、朝起きてから最初の30分くらいの間で、YouTubeのような軽めのものでいいので勉強に触れていると、勉強のやる気が持続しやすくなるのです。

2 8時〜12時 「続きから」の勉強をする

次に、午前中の勉強です。意外に感じる人も多いかもしれませんが、午前中には本格的な勉強はしません。最初は、「昨日の続き」から実践します。

というのも、朝一発目から、過去問を解いたり難しい参考書を解いたりしようとすると、そもそも勉強のやる気がなくなってしまうのです。勉強を始めにくくて、なんとなくずるずるとスマホを見たり、だらけたりしてしまって、勉強のスタートが遅くなってしまうことが多いんです。

だからこそ、最初は「昨日の続き」から勉強をします。例えば昨日のノートを見返すところから始めたり、昨日解いた問題を見て答えが思い浮かぶかどうかをチェックしたり。

また、こんな東大生もいました。わざと、昨日の問題を解いたうえで採点をしないで取っておき、朝一番の勉強で採点してからスタートするのです。「今日も勉強か、やる気が出ないな」と思ったとしても、「昨日の問題の答え、気になるな」という気になれば、机の前に座るハードルは下がります。わざとキリが悪いところで勉強を止めておくことで、次の日の朝の勉強が捗るわけです。

15分程度の昼寝をする

3 12時〜13時 昼食と昼寝

お昼休みは、昼食を取るのと同時に、昼寝をしている人が多かったです。
午後になると眠くなってしまうので、ここで一度睡眠を挟むわけです。大体15分程度の睡眠をしている東大生が多く、それ以上の時間睡眠してしまうとそれ以降も眠くなってしまうため、スマホでアラームをセットして昼寝の時間を調整している人が多いです。こうすることで、心機一転、午後から頑張るために睡眠を取るのです。

4 13時〜14時 テストを実施してみる

午後の勉強は、テストから始める東大生が多いです。過去問や単語テスト・参考書についている確認テストなどを、時間を測って解くところから午後の勉強をスタートするのです。

なぜ午後はテストから始めるのかというと、緊張感を持つためです。1日は長く、ずっと勉強しているとだらけてしまうことがあります。特に、昼休みが終わった後の時間は、眠くなってしまいがちです。

そこで、テストを解くのです。問題が解けるか解けないかをチェックして、頭をフル回転させます。題材はなんでもいいのですが、受験が近付いているなら大学入試の過去問を解き、本番さながらの緊張感を持って取り組む場合が多いです。

ほかにも、今まで勉強した単語や暗記事項の確認のためのテストに取り組む人もいました。とにかく昼休み後にはテストをすると、その後の勉強のモチベーションが維持できるのです。


東大生はどんな1日の過ごし方をしている?(撮影:梅谷秀司)

5 14時〜18時 テストをもとに、できなかったところを復習する勉強をする

テストの後は、そのテストで見えてきた「自分のできなかったところ」を勉強します。

成績は、できなかったところができるようになれば必ず上がります。そして、先ほどのテストで「どこができなかったのか」を把握しているので、やるべきことは明確です。解けなかった問題を対策し、忘れていた事項を復習すればいいのです。

この時のポイントは、「次に同じ問題が出題された時に、きちんと解けるように勉強をする」ということです。いくら勉強しても、同じ問題が解けないようでは、成績は上がりません。東大生の中には、実際に同じテストを解いて「解けるようになったのか」をチェックする人もいました。自分の知識の穴を埋めていくように勉強するのです。

脳スイッチをいったん切る

6 18時〜20時 夕食と風呂休憩

次は夕食と風呂休憩です。東大受験生でも、この時間はしっかりと休んでいる人が多い印象を受けます。スマホゲームをしたり、漫画を読んだり、勉強と関係のないことをしながら、しっかりと身体を休ませます。1日中勉強して疲れている脳のスイッチをいったん切るのです。

ただ、ここでしっかりと時間を決めて休むのがポイントです。「20時になったら勉強する」「20時になるまでは休んでいい」と、明確な時間制限を設けて、その時間になったら休むのをスパッとやめて勉強できるようにするのです。休む時は休む、勉強する時は勉強する。メリハリをしっかりと持つようにするのがポイントです。

面白いのは、「20時になったら勉強」と決めたら、東大生の多くは20時前には机の前に座り、準備をするということです。普通は、20時になったタイミングでゲームや漫画を読むのをやめて、机の前に移動すると思いますが、東大生は「20時」と決めたら本当に「20時」から勉強するようにしているのです。

7 20時〜23時 難問に挑戦or暗記の勉強

夜の勉強は、難問を解く場合が多いです。

自分の今の実力では解くことが難しいかもしれない問題に挑戦し、頭をフル回転させます。今日1日ずっと勉強してきた集大成として、難しい問題に挑戦し、自分の実力の限界ギリギリに挑むのです。

そして、こうして自分なりの解答を作った後で、採点せずに睡眠を取るというのもおすすめです。先ほどお話しした通り、キリが悪いと明日の勉強を「続きから」スタートすることができるからです。

または、暗記の勉強をしている東大生も多かったです。脳科学的な話ですが、何かを覚える時は夜寝る前に実践したほうが覚えやすくなる、というのは受験界隈でずっと言われていることです。寝ている時に記憶が整理されて忘れにくくなるからと言われています。

7時間以上の睡眠をとる

8 23時〜 就寝

こうして、23時〜24時には就寝します。「睡眠時間を切り詰めて勉強したほうがいいんじゃないか」と考える人もいるかもしれませんが、東大生にアンケートを取ると、受験生時代も7時間以上睡眠していたという人が多いです。睡眠時間を削ってしまうと、日中の勉強の効率が下がって、結局成績が上がりにくいんですよね。

いかがでしたか?以上が、東大受験生の具体的な1日のスケジュールでした。

勉強の順番を少し変えるだけで、勉強のモチベーションや効率は大きく変わります。みなさんもぜひ参考にしてみてください。


(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)