なぜ他人の悪口を言ったり、嫉妬をしてしまうのでしょうか(写真: beauty-box / PIXTA)

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周りで愚痴や、文句、嫉妬など、とにかく物事を批判的に見る人が多くて対応に困っています。自分より出世した同期や成功者を見れば「どうせコネだろ」とか、高級車を見れば「どうせ残価設定ローンだ」とか、タワマンの話には「本当のお金持ちは、閑静な住宅街の低層マンションだ」とか、とにかく何かにつけて文句を言いたがります。そのくせ自分はたいした努力もせず、周りへの批判だけは一丁前という具合で心底疲れます。

こういった人たちはどうして自分のプライドだけは高い一方で、他人を認めないという傾向があるのでしょうか。またこういった人たちは将来成功する可能性はあるのでしょうか。現在お付き合いしている男性もそうなのですが、私に見えない何かが見えているのか、それともたんにひねくれ者なのか、よくわかりません。

OS 会社員

他人を批判しても、自分は成功できない


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他人に対する嫉妬の背景にあるのは、嫉妬される側の落ち度ではなく、嫉妬する側の至らなさです。

言うまでありませんが、どんなに他人を批判しても、どれだけ他人に嫉妬しようと、自分自身が成功できるわけではありません。

他人の足を引っ張ったところで、今現在自分が置かれた状況が変わるわけでもありませんし、自分が偉くなるわけでもありません。

つまりは、嫉妬や批判というのは、自分自身にとっては何のプラスにもならない負の感情でしかない、ということです。

そういった方たちはOSさんに見えない何かが見えているわけではなく、見えている現実から目を背けているだけです。

その見えている現実というのは、個々人にとって望ましくない現実なのでしょう。

ですから、目を背けてしまい、見えないふりをすることで安心し、他人を批判したりすることで自分のプライドを維持し、心の平安を保っている、ということかと思われます。

「他人を認めないという傾向があるのでしょうか?」とOSさんは問われていますが、実は心の底では他人、つまり嫉妬する対象や批判する対象を認めてしまっているのです。

嫉妬の構図は非常に簡単で、自分ができていないことができているヒトや、手に入れられない物を持っているヒトを妬む、ということです。

つまり、他人に嫉妬するヒトは、自分に足りない部分や欠点を実は理解しており、自分とは真逆のヒトを恨む、ということなのです。

したがって、嫉妬をしないようになるには、嫉妬される側が変わるのではなく、嫉妬する側=自分が変わる必要があります。

同期や同僚への嫉妬、友人や知人、有名人への嫉妬。仕事関係、恋愛関係、経済的なこと、家族や友人関係。すべて同様です。

自分の至らなさを認め、努力をする必要がある

嫉妬や批判といった負の感情を周りに対して持たないようにするには、自分自身の至らなさを認め、そのうえで工夫や努力をし、克服していくしかありません。

繰り返しですが、どんなに他人を批判しても、嫉妬しても、自分自身が成功できるわけではありません。

そして自分自身でつねに努力や工夫をすることが大切です。自分自身の人生を生きているヒトは、他人を嫉妬したり、批判するような真似はしません。

そのような行為は時間の無駄だと理解していますし、何よりもそうしたところで自分の今現在の状況や将来の人生が変わらないことを理解しているからです。

自分は自分、他人は他人、です。

詳細はわかりかねますが、頂戴した相談を拝見するに、OSさんの周りの方たちはやはりそういったことを理解せずに、現実逃避の手段として自分以外のすべてを批判する、嫉妬する、という行動に出てしまっているように思われます。

理想の自分がある程度わかっており、でもその自分に近づけない自分に対するもどかしさなんかを他人を批判することで隠しているのでしょう。

そういった嫉妬や批判をするヒトというのは、本当はその嫉妬されている側に回りたいのです。

それでも、そうできない自分がいて、そこに至れない自分がいて、そのことが悔しいし、羨ましいから嫉妬や批判をするのです。

これは一種の自己防衛の本能なのでしょう。

嫉妬している相手を認めてしまうと、自分が小さく思えてしまうし、自分の至らなさを認めてしまいかねないから、それを隠す意味で嫉妬や批判をするのです。

そして「将来成功する可能性はあるか?」との問いですが、非常に残念ながらその可能性は低いと言わざるをえません。

もちろん成功の定義は個々人によって違いますから、断定的なことは言えませんが、仮にそれを「現状よりもよい方向に将来いける可能性があるか否か」や「理想と思う自分の姿に近づけるか」で考えても答えは同様です。

現状を変えられるヒトや、理想の自分に近づける可能性のあるヒトというのは、口を動かす前に頭と手を動かします。

成功するためには、批判や嫉妬より行動です。そういった行動力があるか否かが、わかれ目です。

人生において成功できるか否かは、ひとえに自分との闘いであり、自分の夢や理想にどれだけ真剣になれるか、です。

ようは自分自身なのです。

自分自身を深く理解し、自分にあったやり方で一歩一歩前に進む。これに尽きます。

そしてそういったことに真剣であればあるほど、他人に対して嫉妬したり批判したりしている暇も時間も自ずとなくなるはずです。

嫉妬は自分の人生の役に立たない

そんな自分の人生にとって何の役にも立たないことに、時間とエネルギーを費やしている場合ではないからです。

そんなことをしている暇があるならば、頭と手を動かす。そして理想とする自分自身の姿に少しでも近づこうとする。それが本来のあるべき姿です。

頂戴した相談によれば、OSさんのそういった周りの方たちは「自分は大した努力をせず」とありますから、少なくとも創意工夫をして現状を変えようと行動しているわけではないのでしょう。

つまり、批判や嫉妬だけで行動がない。

そのような状態であるとすると、当然現状を打破することはできませんし、嫉妬される側に回ることも難しいと思わざるをえません。

もっとも、人生のある段階において、他人に対する嫉妬や批判をすることの意味のなさに気がつき、時間とエネルギーを自分のために費やすように変わることができればその限りではありません。

プラスの方向に考えるようにする

仮にそういった方向性にもっていくように周りがサポートするとなると、マイナスではなくプラス方面に、当の本人の目が行くようにする必要があります。理想とする姿や将来の夢の話などを聞き、そのうえで今現在本人がどこにいて、目標達成に向けて今日何をして、来週や今月、今年はどこまで成し遂げたいのか、そういった方向性の話を中心にしたほうがよいでしょう。

人間の持っている時間もエネルギーも限りがあります。その時間をマイナスではなく、プラスの方向性に費やしたいですね。

そのような考え方で、OSさんが周りの方たちと接して、そのうえで周りによい影響を少しでも及ぼせるようになるであろうことを応援しております。

(安井 元康 : 『非学歴エリート』著者)