3日間開催となる今週、牡牝の3歳三冠レース最終戦に向けたステップレースが東西で行なわれる。西では牝馬三冠のGI秋華賞トライアル、GIIローズS(阪神・芝1800m)が9月17日に行なわれる。

 昨年までの3年間は京都競馬場の改修工事の影響を受けて、中京競馬場の芝2000mで施行されてきたが、今年は4年ぶりに本来の舞台である阪神競馬場での開催となる。中京開催では2020年に3連単で100万円超えの配当が飛び出すなど波乱が続出したが、そもそも同レースは阪神が舞台であっても"荒れていた"一戦だ。

 事実、過去10年の結果を振り返れば、阪神開催の7年間も3連単はすべて万馬券。10万円超えの高配当が5度も飛び出している。その7年間で1番人気は3勝、2着1回とまずまず成績を残しているが、一方で6番人気以下の伏兵が毎年馬券圏内(3着以内)に突っ込んできている。それが、そうした波乱の結果を生み出しているのだろう。

 その要因について、日刊スポーツの太田尚樹記者はこう分析する。

「近年は、有力馬が秋華賞へ直行したり、GIIへ格上げされた1週前の紫苑S(中山・芝2000m)に向かったりするケースが多く、率直に言えば、出走メンバーのレベルが下がっていることで、波乱が起こりやすくなっているのではないでしょうか。

 そうした状況ゆえ、3年前には前走で1勝クラス2着だったムジカ(14番人気)が2着入線を果たしました。2年前にも前走で2勝クラス4着だったエイシンヒテン(12番人気)が2着に、昨年も前走で1勝クラスを勝ったばかりのエグランタイン(7番人気)が3着に入り、下級条件を走っていた馬が穴をあけるケースが続いています。

 そして今年も、重賞勝ち馬はラヴェル(牝3歳)1頭だけ、というメンバー構成。GIオークス(5月21日/東京・芝2400m)出走馬も他に2頭いるぐらいで、"シンデレラガール"の台頭が期待できそうです」

 そこで、太田記者は波乱の使者として2頭の馬をピックアップした。

「まず気になるのは、コンクシェル(牝3歳)です。春にはリステッド競走のアネモネS(3月12日/中山・芝1600m)で13番人気ながら鮮烈な追い込みを見せて2着に入りましたが、その後は先行するスタイルに変更。ここ2戦は逃げて連勝を飾って、新境地を開いた印象があります。


ローズSでの勝ち負けが期待されるコンクシェル

 2走前の1勝クラス・鞍ケ池特別(7月15日/中京・芝1600m)では5馬身差の圧勝で、勝ち時計は1分32秒3。同タイムは、翌週に同じ舞台で行なわれたGIII中京記念の勝ちタイムをコンマ7秒も上回りました。

 前走の2勝クラス・不知火特別(8月19日/小倉・芝1800m)も5馬身差の完勝。小回りコースでの逃げ切りでしたが、管理する清水久詞調教師は『広いコースのほうが競馬はしやすそう』と言って、さらなる飛躍を見込んでいます。

 また、先週から始まった今開催の阪神・芝は、例年以上に前が止まらない傾向が見て取れました。トラックバイアスも同馬に味方しそうで、ますます楽しみです」

 太田記者が推奨するもう1頭は、マスクトディーヴァ(牝3歳)だ。

「強烈な追い込みで名を馳せた祖母ビハインドザマスクを思わせる末脚の持ち主。年明けの新馬戦(1月15日/中京・芝2000m)を勝った時から注目していましたが、管理する辻野泰之調教師は『デビュー戦から素質を見せてくれたのは、うれしい誤算』と、当時から同馬については"遅咲き"と見ていました。

 ここまで適度に間隔を空けながら使われてきて、今回が4戦目。唯一の敗戦(7着)となった2走前のリステッド競走・忘れな草賞(4月9日/阪神・芝2000m)は、4コーナーで外へ振られる不利が大きすぎました。

 前走の1勝クラス(6月11日/阪神・芝1800m)は、今回と同じコースで快勝。まだ底を見せていませんし、一発あっても不思議ではありません」

 二冠牝馬リバティアイランドへの挑戦権をかけたレースで躍動するのはどの馬か。ここに挙げた2頭を含め、新たなヒロインの登場に注目である。