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【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆3歳世代優勢の構図か

 現地時間2日(土曜日)に、ニューヨーク州のサラトガでG1ジョッキークラブゴールドC(d10F)、カリフォルニア州のデルマーでG1パシフィッククラシック(d10F)という、ダート中距離路線の中核となる一戦が行われた。11月4日にサンタアニタで行われるG1、BCクラシック(d10F)まで、まだ2カ月近くあり、各地区の最終プレップを残してはいるものの、戦線の輪郭が徐々に明らかになりつつある。

 見えてきたのは、「3歳世代優勢」という構図だ。

 やや手薄な顔触れによる争いとなったのが、東海岸で行われたG1ジョッキークラブゴールドCだった。

 今年4月から6月にかけてこの路線のG3を3連勝後、前走エリスパークのG1スティーブンフォスターS(d9F)が2着だったラトルンロール(牡4、父コネクト)が、オッズ2.65倍の1番人気に推された。道中6~7番手を追走したラトルンロールは、持ち前の末脚が不発で6着に敗退。

 道中2番手を追走した2番人気(4.75倍)のブライトフューチャー(牡4、父カーリン)が、4コーナー途中で先頭へ。昨秋のG1クラークS(d9F)勝ち馬で、前走G3モンマスC(d9F)を制し3度目の重賞制覇を果たしての参戦だったプロクシー(牡5、父タピット、5.1倍の3番人気)が、道中4番手追走からゴール前で猛然と追い込んだが、これを鼻差退けてブライトフューチャーが優勝。G1で重賞初制覇を果した。

 前走、サラトガの条件戦(d9F)を4.3/4馬身差で快勝しての参戦だったのが、ブライトフューチャーだ。ここを制し、BCクラシックの優先出走権を手にした同馬だが、管理するT.プレッチャー師はレース後、「今日は素晴らしいレースを見せてくれた」としながらも、「BCで戦うには、さらなる進化を遂げる必要がある」とコメント。BCクラシックの出否に関しては、言葉を濁した。

 一方、3歳・古馬ともに骨っぽい顔触れが揃ったのが、同じ2日に西海岸で行われたG1パシフィッククラシックだった。

 3月に行われたG1サンタアニタH(d10F)勝ち馬スティレトボーイ(セン5、父シャックルフォード)、5月に行われたG1ハリウッドゴールドC(d10F)勝ち馬ディファンデッド(セン5、父ダイアルドイン)、前哨戦G2サンディエゴH(d8.5F)の1.2着馬セニョールブスカドール(牡5、父マインシャフト)スローダウンアンディ(牡4、父ナイキスト)と揃った古馬勢を尻目に、ファンが上位人気に推したのは、3歳世代の2頭だった。

 オッズ3.1倍の1番人気に支持されたのが、B.バファート厩舎のアラビアンナイト(牡3、父アンクルモー)。デビューから無敗の2連勝でG3サウスウェストS(d8.5F)を制し、ケンタッキーダービーの有力候補となったが、3冠戦を前にして戦線を離脱。半年ぶりの復帰戦となった、7月22日のG1ハスケルS(d9F)で3着に敗れ、連勝がストップしての参戦だった。

 続いて、オッズ3.2倍の2番人気に推されたのが、R.マンデラ厩舎のゴーロケットライド(牡3、父キャンディライド)。1月にサンタアニタパークのメイドン(d6F)を制しデビュー勝ちを果たすと、続いて出走したG2サンフェリペS(d8.5F)で、その後G1サンタアニタダービー(d9F)を勝つプラクティカルムーヴの2着に好走。春3冠は回避し、2カ月の休みを挟んで出走したLRアファームドS(d8.5F)を制し特別初制覇。そして前走G1ハスケルSを快勝し、G1初制覇を果たしていた。

 レースの主導権を握ったのはアラビアンナイトで、半マイル=46秒60という平均的ラップを刻んで逃走。直線に向くと二の足を使い、一旦は後続を2馬身引き離した後、道中3番手にいたゴーロケットライドが猛然と追い込んだが、これを首差退けてアラビアンナイトが優勝。G1初制覇を果たした。

 人気通り、3歳馬同士の決着となったわけである。

 この結果を受け、ブックメーカーの多くは、BCクラシックへ向けた前売りでアラビアンナイトとゴーロケットライドを、オッズ6.5倍~11倍の2~3番人気に浮上させている。

 それでは、この両馬を眼下に見て、オッズ4.0倍~4.5倍の1番人気に推されているのがどの馬かと言えば、1週間前の8月26日にサラトガで行われたG1トラヴァーズS(芝10F)を快勝し、G1ベルモントS(d12F)に続く2度目のG1制覇を果たしたアルカンジェロ(牡3、父アロゲイト)なのである。

 冒頭に記したような、3歳勢が上位人気を占める形になっているのだ。

 ちなみに、ここに日本から参戦予定のウシュバテソーロ(牡6、父オルフェーヴル)は、オッズ13~17倍の6~8番人気、デルマソトガケ(牡3、父マインドユアビスケッツ)は、オッズ17~21倍の11~14番人気となっている。

 11月4日の本番まで、情勢がどう変わって行くか、注視したいと思う。

(文=合田直弘)