昨年の紫苑S(撮影:下野雄規)

写真拡大

 9月9日(土)に中山競馬場で行われる紫苑ステークス(3歳牝・GII・芝2000m)。重賞になったのは16年のことだが、僅か7年にしてGIIに格上げとなった。ところで、重賞の格付け、格上げについてのルールはご存知だろうか。

 JRA発行の令和5年度重賞競走一覧日本グレード格付管理要綱から引用したところによると、現在はJRAやNAR、アジア競馬連盟の担当者などにより、格付管理委員会を組織。同会において、JRAのオープン以上およびNARのダートグレード競走を格付けしているという。

 基準、ルールは多岐にわたる。競走数はGI<GII<GIIIの順で、GIIIが最も多くなるようにしなければならない。加えて、本賞金額は1着◯万円以上・総額◯万円以上にしなければならないといったことが、2歳、3歳、古馬まで詳細に定められている。一例を挙げれば2歳GIは、1着3200万円以上かつ総額5440万円以上。3歳GIIは、1着3000万円以上かつ総額5100万円以上といった具合だ。

 またレーティングも重要。4着までに入線した馬のレーティングの平均値=年間レースレーティングを求め、その直近3年間の平均値=パターンレースレーティングを算出(過去2回しか行われていないレースは2回のみ)。両者の数値を元に格付けを行う。こちらも年齢やグレード別に詳細に基準が定められている。

 以上の基準を満たし主催者(JRAや大井など)からの申請をもって審査を行う。その上で下記5点を満たせば、無事昇格となる。

・同条件下で2年以上施行される
・昇格年度の賞金条件を満たす
・パターンレースレーティングが基準値以上
・直近の年間レースレーティングが基準値以上
・格付管理委員会で全会一致の承認を得る。ただし、GIへの昇格はアジアパターン委員会(以下、APC)の追承認が必要。

 紫苑Sを基準に当てはめて見てみる。2年以上、中山芝2000mで実施されており、1着賞金5200万円で賞金総額は約1億円なので、先に記した3歳GIIの基準もクリア。レーティングは20年が108.25、21年が106.75、22年が110.75、平均108.58なので、3歳牝馬GIIの基準106をパターンレースレーティング、直近のレーティングともに上回っている。

 もちろん、格下げもある。賞金額を下回ったら降格。または、2年連続して年間レースレーティングが基準を3ポンド下回り、そのうえで翌年も3ポンドを超えて下回った場合は、APCによって当該競走の降格が審査される。GIII、リステッドに関しては競走条件の変更を提案しなかった場合は降格。提案があった場合は、1年間の猶予ののち、再び3ポンド基準値以下なら降格となる。

 以上が、重賞の格付けに際しての詳細なルールだ。紫苑Sは近年、秋華賞での活躍馬が目立つ。オープン特別時代は同レースから秋華賞に進んだ馬が【1-0-2-60】と壊滅的だったが、重賞格上げ後は【3-4-0-26】と好相性。今後はGII格上げとなり、ますます注目度、重要度は増していくと思われる。今年も熱戦を期待したい。