●中国恒大が米国で連邦破産法15条の適用申請

 中国不動産開発大手・中国恒大集団が17日、ニューヨークの連邦裁判所に米連邦破産法15条の適用を申請したと、ロイター通信などが報じている

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 中国恒大集団は2年前から資金繰りの悪化による経営危機が囁かれていた。

 先月には先送りにしていた2021年と2022年の通期決算を発表し、合算で約5800億元(約11兆円)超の赤字となっており、債務超過に転落。経営危機がさらに顕在化していた。

 負債総額も22年末時点で2兆4374億元(約48兆円)に上っており、いよいよ破綻リスクが懸念されていた。

 不動産市況の悪化が伝えられる中国で、中国不動産業界の象徴とも言える中国恒大集団の破産法申請のニュースは、市場に大きな衝撃となる。

●連邦破産法第15条とは?

 米国破産法第15条は、米国外で再建中の米国籍以外の企業が、米国内の資産を保護するための手続きである。債権者による強制的な差し押さえを回避できる。

 米国内での資産は保全されるが、本国でも法的整理を申請した国際倒産のケースで適用され、国際的な債務再編で必要とされることがある。

 日本企業ではかつて、三光汽船(2012年)やエアバッグの大量リコールで経営危機に陥ったタカタ(2017年)などが、連邦破産法第15条を申請している。

●心配される世界への波及

 中国では不動産市場はGDPの3割を占めているが、長引く不動産不況は景気回復の大きな足かせにもなっている。

 中国政府は不動産向けの貸出基準金利を引き下げるなどの打開策を講じてはいるが、少子高齢化・人口減が避けられない中国では、そもそも不動産市場は頭打ちだと言われている。

 値下げしても売れない、人が住まない「幽霊マンション」の存在など、不動産バブルの崩壊を象徴するような話も多い。

 今回の問題が中国恒大に留まらず、他のディベロッパーも同じようなことになるならば、債務返済問題も拡大する。

 不動産だけでなく、それに伴う資材価格や建設機械などにも影響を及ぼし、世界経済に波及しかねない。

 中国恒大危機が囁かれていた当初から、金融システムへの影響は軽微と見られていたが、ドル建てジャンク債のデフォルトのようなことになると、サブプライムローン問題の再来にもなりかねない。

 今後の中国不動産の動向を注視せざるを得ない。