「狂牛病」の症状や予防方法はご存じですか?死亡率や人にうつるかなども解説!
狂牛病や、狂牛病との関連が指摘されている変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、世界的に懸念されている問題です。しかし、正確な情報がないと、これらの病気について適切に理解することが難しくなります。
この記事では、この2つの疾患についての基本的な知識・予防法・リスクの高い食べ物・感染源について解説します。
適切な予防策を取り、リスクを理解することで、私たちは自分と周囲の人々を守ることが可能です。本記事を通じて、狂牛病や変異型クロイツフェルト・ヤコブ病についての理解を深め、安全に対する意識を高めていただければ幸いです。
詳しく説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
狂牛病の症状
狂牛病とはどのような病気ですか?
狂牛病は主に牛に発症する神経系の感染症です。1986年にイギリスで初めて報告されました。狂牛病に感染した牛は脳の組織が、海綿状(スポンジ状)に変化するため、正式には牛海綿状脳症(BSE)と呼ばれます。原因は、プリオンというタンパク質が異常化したことで、組織の海綿状変化が引き起こされるという考えが有力です。狂牛病に感染した牛は、次第に神経症状を示すようになります。具体的には、異常行動や運動失調といった症状が現れ、その見た目から狂牛病と呼ばれるようになりました。
感染力も非常に強いため、世界中で厳重な監視と対策が取られています。
狂牛病はどのようにしてうつりますか?
狂牛病は、感染した動物の組織を、別の牛が摂取することでうつります。実際に、過去には感染した牛の脳や神経組織を含む肉骨粉を飼料として別の牛に与えた結果、英国などを中心に病気が広がりました。人間に関しては、感染している牛の肉や脳などの臓器を食べた場合に感染のリスクがあります。人間が感染した場合の病名は変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)です。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)は、狂牛病と同様に脳に異常なプリオン蛋白が蓄積し、神経細胞が破壊されることで進行します。
症状を教えてください。
牛においては、初期段階で奇声を発したり、神経症状を示したりします。神経症状には、歩行困難や恐怖反応などが含まれ、慢性的に進行します。発症すると必ず死に至る非常に深刻な病気です。人間が変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染した場合の症状は、うつ状態・不安症・自閉症状・異常行動などの精神的な変化が見られます。これらの症状は徐々に進行し、1年程度で運動能力が失われ、周囲に反応しなくなります。
発生状況を教えてください。
狂牛病は、1986年にイギリスで初めて報告され、その後イギリスなどを中心に世界中に広まっていきました。感染源となったのは、狂牛病に感染した牛の脳や脊髄などを含む飼料であったとされています。この飼料が別の牛へ与えられることで、その牛も狂牛病にかかり、感染が広がっていったのです。
現在では、家畜の飼料に牛の脳や脊髄などの組織を混ぜないように、規制が世界中で行われています。このような規制と監視の結果、狂牛病の新たな感染症例は大幅に減少しています。
狂牛病を発症しやすいのはどのような人ですか?
狂牛病の病原体は感染した牛の肉や内臓に集中しています。特に脳・脊髄・中枢神経系に関連する部位が集中箇所です。そのため、感染した牛のこれらの部位を食べると発症する可能性があります。加熱処理をした場合でも、狂牛病の病原体は熱に強いため、安全ではありません。日本では、これらの部位は生産過程で除去されるため、安心して食べられます。しかし、海外の旅行先などでは注意が必要です。感染を防ぐため、食事の際には、食べ物の出所と安全性を常に確認することが重要です。
狂牛病の治療
狂牛病の潜伏期間を教えてください。
狂牛病の大多数は4歳から5歳の成牛で発症します。そして、これらの牛は、ほぼ子牛の時期に感染していると考えられています。そのため、狂牛病の潜伏期間は、一般的には2年から12年との考えが有力です。人間が感染した場合の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)の潜伏期間は、正確には判明していません。個人差はありますが、感染から発症までの期間は、おおよそ8年から10年と考えられているようです。
治療方法を教えてください。
残念ながら、現時点では、狂牛病への有効な治療薬や治療方法は存在していません。人間の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)も同様です。現在、初期の段階で診断する方法や、病原体である異常プリオンたんぱくを減少させるワクチン開発の研究が進行中です。
死亡率はどのくらいなのでしょうか?
狂牛病は、一度発症するとその死亡率は100パーセントと非常に高いです。つまり、狂牛病に感染した牛は、症状が現れると必ず死に至ります。また、人が狂牛病にかかった牛の肉や組織を摂取し、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)を発症した場合も同様です。初期症状のうつ状態・不安症・自閉症状・異常行動などの精神的な変化が現れたのち、およそ1年で死亡します。
そのため、致死率は100パーセントです。先述した、初期段階で診断する方法や、ワクチン開発の研究の進行が期待されています。
狂牛病の予防
感染の危険性が高い食べ物を教えてください。
感染した牛の肉や組織は狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)の主要な感染源となります。特にリスクが高いのは脳・脊髄・その他の中枢神経系に関連する部位を含む肉製品です。これらの部位を含む食べ物の摂取は感染の可能性が高いため、危険性が高い食べ物となります。日本では、生産の過程で除去されるので安全ですが、海外では注意が必要です。食べ物の出所や安全性が確認されていない場合、できるだけ避けることが推奨されます。
狂牛病の予防方法を教えてください。
狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)は、発症すると治療法もなく、致死率100パーセントの病気です。そのため予防が非常に重要になります。主な予防方法は以下の通りです。家畜の適切な管理
安全な食べ物の選択
食べ物の出所と安全性の確認
家畜の管理については、適切な飼料選択が重要となります。牛の脳や脊髄などの組織を混ぜた飼料を家畜に与えないことが必要です。人に関しては、食べ物の選択が大切になります。
脳や中枢神経系に関連する部位を含む食べ物の摂取は避けるべきです。特に狂牛病の発生が報告されている地域では、注意が必要です。内臓・脳・骨付き肉・ソーセージ・パテなどの食べ物は食べないようにしましょう。
食べ物の出所と安全性の確認も重要になります。狂牛病の発生が報告されている地域の肉製品を避けることはもちろん、出所が不明な肉製品も避けるようにしてください。これらの予防策を実践することで、狂牛病とクロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)の感染リスクを最小限に抑えられるでしょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)は深刻な病気です。そのため、私たち全員が感染のリスクを理解して、適切な予防策を取ることが重要です。食べ物の出所を調べ、飼料や食用の肉などが、信頼できる供給元からのものなのか確認しましょう。また、旅行時には感染リスクの高い地域で肉製品を食べないように心がけることが大切です。
狂牛病は恐ろしい病気ですが、適切な対策を取れば防げます。実際、世界中の国々で対策を取ったことで、発生件数は激減しています。大切なことは、必要以上に恐れるのではなく、正しい知識を持つことです。
狂牛病や変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)が広がらないように、適切に対策を取り、世界中を守っていきましょう。
編集部まとめ
この記事では、狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)についての一般的な知識・症状・発生状況・治療方法・予防策について説明しました。
狂牛病と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)は致死率100パーセントの重大な病気です。この恐ろしい病気を避けるために、一人ひとりが正しい知識を持ち、適切な行動をとりましょう。
そのために、この記事が役立つことを願っています。狂牛病や変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vJCD)の広がりを防ぎ、世界をより安全な場所にしていきましょう。
参考文献
牛海綿状脳症(狂牛病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)(厚生労働省検疫所FORTH)
牛海綿状脳症(BSE)について(厚生労働省)
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関するQ&A(厚生労働省)