ソニーでゲームといえば真っ先に思い浮かぶのはPlayStationでしょう。しかし、これだけゲームが盛り上がりを見せている中で、家庭用コンソール機だけに注力しているわけではもちろんなく、ほかのカテゴリでも力を入れています。そのひとつがテレビです。

 

今回、ソニーがブラビアのゲーミング機能にフォーカスした体験会を実施。その様子をレポートしていきます。

↑大画面の有機ELブラビアでFF16を体験

 

高画質なブラビアでゲームを楽しむ新機能を公開

ブラビアといえば、高画質/高音質に力を入れてきたブランドです。2023年の主なラインナップは、赤・緑・青がそれぞれ独立して発色する「QD-OLED」パネル搭載のフラッグシップモデル「A95K」シリーズを含めた4K有機ELテレビ3シリーズ、miniLEDバックライト搭載の「X95L」を含む4K液晶テレビ6シリーズとなっています。

 

なかでも、4K有機ELテレビ3シリーズと、液晶テレビの上位モデルX95L、「X90L」、「X85L」の3シリーズには、独自のプロセッサー「XR」を搭載。人が映像を見るときに注視するポイントを検出し、カラーやコントラストといったさまざまな要素を個別にではなく、横断的に分析・処理することで、人の目が感じる自然な美しさを表現してくれます。このXR搭載ブラビアは、特に高画質なシリーズといえるでしょう。

 

こうして培ってきた高画質をゲームでも楽しめるように、ソニーは2023年に新機能として「ゲームメニュー」をリリースしました。利用できる機能に若干の差はあるものの、2022〜2023年に登場したブラビアにこのゲームメニューを対応させています。

 

ゲームメニューの機能は、表示画面のサイズを変更できる「画面サイズ調整」、FPSなどで的を狙いやすくする「クロスヘア/クロスヘアタイプ」、画面を明るくしてゲーム内の暗所を見やすくする「ブラックイコライザー」、映像の乱れを低減する「残像低減」の4つ。このうち画面サイズ調整はまだ非対応で、今後のソフトウェアアップデートで利用可能になる予定です。

↑ブラビアのリモコン操作で、画面下部に表示されるゲームメニューの設定を変更できます

 

それぞれの機能を利用できるシリーズは下記のとおり。

画面サイズ調整 クロスヘア/クロスヘアタイプ ブラックイコライザー 残像低減 4K有機ELテレビ A95K、A90K、A80K、A80L A95K、A90K、A80K、A80L A80L A95K、A90K、A80K、A80L 4K液晶テレビ X95L、X90L、X85L、X80L、X75WL、X95K、X90K、X85K、X80K、X80WK X95L、X90L、X85L、X80L、X75WL、X95K、X90K、X85K、X80K、X80WK X95L、X90L、X85L、X80L、X75WL X95L、X90L、X85L、X80L、X75WL、X95K、X90K、X85K、X80K、X80WK

 

体験会ではブラックイコライザーをメインに試用しました。

 

ぱっと見の明るさがわかる液晶、息をのむ映像美を楽しめる有機EL

体験会に用意されたブラビアは、4K液晶の最上位であるX95Lと4K有機ELのA95K。また試用ゲームタイトルは『FINAL FANTASY XVI』(FF16)です。スクウェア・エニックスはブラビアのうち、4K有機ELのA95K/A80L、4K液晶のX95L、X90L、X90Kシリーズを「公認画質」に定めています。FF16を楽しむうえで、最適な画質を有しているというお墨付きを与えているわけです。

↑85V型のX95L
↑77V型のA95K

 

公認するだけあって、どちらのブラビアも文句なしの画質でした。以下、体験した編集長・山田のコメントを交えながらレポートしていきます。

 

X95Lを見たときに、すぐにわかるのは明るさです。薄暗いレンガ造りの中を進むシーンでは、薄暗さを表現しつつも見えづらくなることはなく、ゲームプレイに支障をきたさない明るさを保っています。このあたりは、miniLEDバックライトによる恩恵を受けているものと感じられます。

↑X95Lで見たときの、城の中を移動している最中の画面。明かりが少ないため本来であればもっと暗く、見えにくいはずですが、全体的に明るく表示されているので、画面の奥の方まで見通せます

 

一方のA95Kは、夜の漆黒の闇と、そこで揺らめく炎や魔法のまばゆい輝きを体感できます。その両方を同時に表現し切るパフォーマンスを備えているので、特にストーリーを展開するムービーシーンは、まさに息をのむ映像美として画面に没入できます。

↑A95Kで見たときの、夜の屋外のムービーシーン。炎で明るく照らされた場所と、建物周辺の影や月明かりによるレンガの色表現が見事に描き分けられています

 

↑A95Kで見たときの、夜の屋外で戦闘しているシーン。写真だと見えにくいかもしれませんが、左奥の松明の間に木製の扉があり、そのあたりが黒く潰れることなく表現されているのが特徴的です

 

編集長・山田のレポ

4K液晶→4K有機ELの順番で矢継ぎ早に視聴したのだが、最初、液晶だと気づかなかったぐらい高コントラスト。あとで有機ELの画面を観てようやく、「さっきのって液晶でした?」となったのは驚き。

 

また、新製品のブラビアの多くのモデルがFF16公認画質ということで、ゲームをするときの画質は圧巻。古いレンガや木の経年劣化した感じ、鎧の鈍い金属の質感、人物の髪1本1本にわたる微細な表現などが余すことなく描かれていると感じた。

 

画面全体の明るさを持ち上げるブラックイコライザー

続いて、ブラックイコライザーをオンにしたときのゲーム画面を視聴してみました。

 

先に述べたように、液晶テレビのX95Lはそもそも画面が明るく、体験会中、ゲーム画面で暗くて見えにくいシーンはありません。それでもブラックイコライザーをオンにすると、画面の明るさが持ち上がることがはっきりとわかりました。

 

ブラックイコライザーは、画面の暗い場所を明るくするものではなく、画面全体を明るくします。そのため、明かりのない暗所では視認性が上がり、特に効果を感じられます。ただ、気になる点でいうとノイズです。これはテレビによるものなのか、ゲームによるものなのかははっきりしませんが、暗いところが明るくなると画面のノイズが目立つ場面がありました。ですので、ゲームの映像を楽しみたいときは、あえて暗いままにしておくなど、要所で切り替えて使うのがよさそうです。

 

【ブラックイコライザーが効いた画面をまとめてチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

 

クリエイター向けながら、ゲーム用途で注目集まるモニターヘッドホン

体験会では、5月に発売されたクリエイター向けのモニターヘッドホン「MDR-MV1」も用意されていました。発売後、立体的な空間表現による音の定位のよさが、「敵の足音がわかりやすそう」「音の方向性がわかる」などの理由からゲーム用途で注目を集めているそうです。また、長時間使用にも適した装着性も、長い時間ゲームを楽しむ人にとってはうれしいところ。実際にゲーム用に購入する人もいるといいます。

↑MDR-MV1は主に、音響エンジニアやクリエイターが音楽制作する際に活躍するヘッドホン

 

そこで、普段からゲームを楽しむ山田が体験してみました。

 

編集長・山田のレポ

体験してみてわかったのは、音を「演出」するのではなく「情報」として捉えるのに適したヘッドホンだということ。ゲーマーからの草の根で評価が広がっていっていると聞いたが、それも納得できる、素直でシンプルな音が聞こえてくる。ひとつひとつの音が独立して聞こえてくるため、たとえばシューターゲームで銃声の位置なども把握できそうに感じた。

 

ソニーだとゲーミングブラントとして、INZONEのヘッドホンもあるが、こちらは「しっかり演出が施された、わかりやすい音」。音の鳴りがさすがで、たとえばレーシングゲームのエンジン音やエキゾースト音が耳いっぱい、頭いっぱいに広がり、高揚感が断然アップする。どちらを選ぶべきかはゲームジャンルや、どのように作品を楽しみたいかによるだろう。

 

画質や音質で、普段接しているコンテンツの印象が変わるのはよくあること。普段何気なく遊んでいるゲームでも、ブラビアで楽しむか別で楽しむかで体験としては変わってくるでしょう。とはいえ、ゲームを楽しむのに高価なブラビアは……、と踏みとどまる人も多いはず。そうした人の背中を押す機能が、今回のゲーミング機能といえそうです。

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

 

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