自作ディスプレイベースで雰囲気アップ!「アジトのポルコ」&「サボイアS.21F」の完成!【達人のプラモ術<アジトのポルコ>】

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【達人のプラモ術】
ファインモールド
紅の豚 アジトのポルコ
04/04

ポルコ・ロッソの愛機「サボイアS.21F」飛行艇の製作も今回がファイナル! 先に製作した主役『アジトのポルコ』と組み合わせて、紅の豚ワールドの完成!ではあるのですが…お気に入りの映画なんだからこだわりを見せたい! と言うワケで、『アジトのポルコ』とサボイアを引きたてる、劇中シーンをイメージした、ちょっと飾りたくなるディスプレイベースを自作してみました。(全4回の4回目/1回目、2回目、3回目)

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」でもレビューを配信中。

 

■サボイアS.21F 飛行艇の仕上げ

前回、機体とエンジンをそれぞれ完成させたサボイアですが、主翼と胴体を合体、主翼にはエンジンを乗せて、キャノピーや主翼端のフロートといったパーツを取り付けていきます。

組み上げた機体を見ると、劇中のフィオのセリフではないですが、綺麗な飛行艇だなぁと見惚れてしまします。1920年代のシュナイダーレーサーが開催されていた時代を背景に、イタリア海軍向けに1機だけ製作された機体という設定で、木製モノコックにパラソル翼、そして主翼上に配されたエンジン、オープンコクピットというレイアウトには、説得力のあるリアイリティを感じさせてもくれます。

ところでサボイアのオープンコクピット、最高速度が時速300キロ前後だったこの時代では当たり前でした。ライバルのカーチスもオープンコクピットでしたよね。

▲主翼のフロート裏側部分はデカールが付属しているが、曲面でデカールが貼りにくいこともあって作例は塗装で再現している

▲フロートを主翼に取り付け

▲オープンコクピットに取り付けたキャノピー。貫通している筒状のパーツは望遠鏡式照準器

▲艇体に主翼とエンジンを取り付けると一気に飛行艇らしくなる

▲サボイアS.21Fは、設計者のフィオが乗り込むために胴体前部に小さな風防が増設されている。それにしても飛行中は頭の上にラジエイターがあり、目の前でプロペラが回っているワケで、かなり怖いのではないだろうか

▲機体内部はフィオが乗り込むために一丁降ろされた機銃も再現。足元には座席代わりにしていたバッグも再現されている

▲インストでは指示されていないのだが、設定画を見ると主翼フロート内側には貼り線が貼られている。そこで作例では0.3ミリ真ちゅう線で張り線を自作している

時は流れて現実世界の1937年。イタリア空軍には、シュナイダー杯で他国の設計者と高速水上機の設計を競ったマリオ・カストルディ技師が設計したMC.200サエッタという戦闘機がありました。各国の戦闘機はすでに時速500キロを超える速度が当たり前の時代、当然ながらMC.200サエッタも高速性能を追求して、空力的にも優れた水滴型の密閉式風防を装備しておりました。しかしパイロットから「密閉式風防だと視界が遮られる」「風を感じられない」と文句を言われて、後期型はあえて時代に逆行した開放式のキャノピーに設計変更しているんですね。風防で視界が遮られるって言い分は分からなくもないですが、時速500キロを超える速度で風が感じられないって…まぁいかにもイタリアらしい逸話です。

▲パイロットの「風が感じられない」というわがままから空力的に不利な解放式のキャノピーに先祖返りさせられたMC.200サエッタ。性能的には悪くなく、最高速度512Km/h、1100機以上生産された

 

■キット付属のドーリー(台車)を製作

飛行艇は陸上機と違って脚を装備していません、サボイアもしかりです。とはいうものの、整備や保管にためは地上に引き上げなくちゃいけません。そこで使われていたのが専用のドーリー(台車)でした。

キットにリアルな専用ドーリーが付属しており、完成した機体を展示する際にスタンドとして使用できるようになっています。こうしたセンスの良い小物がモデルを引きたててくれるので、リアルに塗装して仕上げてやりましょう。

<Before>組み上げた状態

<after>木をイメージして塗装した状態

▲完成した機体を付属のドーリー(台車)に乗せた状態。こうしてみると換装されたエンジンが意外に大きいということが分かる

 

■オリジナルの展示ベースを作る

今回の主役は『アジトのポルコ』です。雰囲気のあるヴィネットなので単体展示でも全然OKで、サボイアも付属のドーリーに乗せて並べてもいのですが、ちょっと収まりが悪いかなという感じです。

一緒に展示するならば見栄えを良くしたい。ということで、専用の展示ベースを自作してみました。

劇中のシーンをそのままに再現したジオラマを製作しても良いのですが、それはまた大変な作業になるので、今回は劇中のシーンをイメージしたシンプルな展示ベース、オープニングのアジトのシーンをイメージして製作してみました。

ベースに使用したのは市販の額縁(A4サイズ。ガラスではなくアクリルが使われているシンプルな木製フレーム。価格は3000円前後)です。これに青のイラストボードをアクリル板の下にはめ込んで海を再現。砂浜はイラストボードにテクスチャーペイント(砂ライトサンド)を塗布して再現しています。

ここに完成させたポルコのヴィネットとサボイアをおけば雰囲気アリアリの展示ベースの完成です。

▲カットしたイラストボードにテクスチャーペイントの「砂ライトサンド」を塗布。乾燥後に波打ち際はエアブラシを使ってホワイトで塗装している

▲タミヤが発売している情景テクスチャーペイント。使用したのは「砂ライトサンド」。ペースト状で、塗布するだけでOK。乾くとザラザラした表面になり、砂の質感をリアルに表現できる。今回はイラストボードの上に塗布してポルコアジトの砂浜を再現。価格880円

▲A4サイズの額縁に青のイラストボード挟み込んで海を再現。アクリル板の上からテクスチャーペイントを塗布したイラストボードを貼り付けて砂浜を再現。シンプルだがオープニングシーンをイメージしたベースの完成だ

▲アジトのポルコとサボイア飛行艇を完成したベースに配した状態

 

■アジトのポルコ完成!

▲使用しないデカールを使ってフレームに『PorcoRosso』のロゴを入れてみた

 

■楽しみ方は自由

今回は紅の豚『アジトのポルコ』をテーマに、ポルコのヴィネットにサボイア飛行艇組み合わせたことで、より紅の豚の世界観を楽しめる作品になりました。これもまたプラモデルならではの楽しみ方のひとつだと思います。自由な発想でぜひ紅の豚『アジトのポルコ』の製作にチャレンジしてみてください。

さて、次回は何を作りましようか?

 

■せっかくなのでマダム・ジーナも作ってみました

1/48サボイアS.21Fのキットには10センチほどの立ちポーズ(ホテル アドリアーノで歌うシーンのドレス姿)のマダム・ジーナのフィギュアが付属しています。今回の作品とはシーンが違うので組み合わせてはいませんが、せっかくなので色を塗って仕上げてみました。

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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