「ストロング系チューハイ」が体に悪い理由3選! ストロング系チューハイがやばい理由を医師が解説

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7~9%のアルコール度数で手軽に酔えるので、ストロング系チューハイを好んで飲む人もいるのではないでしょうか。しかし、「ストロング系チューハイはやばい、体に悪い」と一度は聞いた事がある人も多いと思います。そこで、ストロング系チューハイは本当に体に悪いのか、「SUGAR LLC」の佐藤先生に回答してもらいました。

ストロング系チューハイの危険性①過量のアルコール摂取による健康障害

編集部

ズバリ、ストロング系チューハイは体に悪いお酒なのでしょうか?

佐藤先生

結論として、ストロング系チューハイは体に悪いお酒の可能性が高いですね。医師によっては、ストロング系チューハイは体に悪いどころか依存性の高い危険な薬物並みにやばいお酒であると主張する人もいます。

編集部

なぜ、ストロング系チューハイは体に悪いのでしょうか?

佐藤先生

ストロング系チューハイが体に悪い理由の一つは、ストロングなだけに「アルコール度数が高いこと」が挙げられます。具体的には、ストロング系チューハイはアルコール度数が7~9%と高くなっています。そのため、1日の適量とされるアルコール量を簡単に超えてしまう危険性があります。

編集部

では、アルコール度数7~9%のストロング系チューハイを飲むと、実際にどのくらいのアルコール量を摂取することになるのでしょうか?

佐藤先生

1缶500mlのストロング系チューハイを飲むと、7%アルコールの場合には純アルコールで28g、9%アルコールの場合には純アルコール36gを摂取する計算です(※)。日本では節度ある適度な飲酒量としては、純アルコール量で男性は20g、女性は10gとされているので、500mlのストロング系チューハイを1缶飲むと、男性は1日の限度の1.4~1.8倍、女性は1日の限度の2.8~3.6倍ものアルコールを一度に摂取してしまいます(1)。そのため、お酒の飲み過ぎにより肝機能障害はもちろん、さまざまながんや生活習慣病のリスクが高くなります(2)。

(※)純アルコール量(g)=お酒の量(ml) × アルコール度数/100 ×0.8(アルコールの比重)として計算

ストロング系チューハイの危険性②アルコール依存症になりやすいかもしれない

編集部

ストロング系チューハイのアルコール度数の高さが危険なことはわかりました。しかし、ウイスキーや日本酒などさらにアルコール度数が高いお酒もある中で、ストロング系チューハイはより体に悪いお酒なのでしょうか?

佐藤先生

ほかのお酒と比較して、ストロング系チューハイがより危険なお酒かどうかについては、現時点では研究結果が多くないのではっきりとはわかりません。しかし、ほかのお酒と比べてストロング系チューハイは一般的に飲み切るサイズの1缶350~500mlの時点で1日の節度ある適度な飲酒量を超えてしまうため、単純に多量のアルコールを一度に摂取できてしまう容易さという点では、ほかのお酒より体に悪いかもしれません。

編集部

では、アルコール依存症のリスクという視点では、ストロング系チューハイはほかのお酒よりも危険性が高いのでしょうか?

佐藤先生

ほかのお酒と比較して、ストロング系チューハイを飲むとアルコール依存症になりやすいかどうかについてもはっきりとはわかっていません。しかし、あくまで可能性ですが、ストロング系チューハイを飲む人の多くは、お酒自体を楽しむ目的よりも手軽に酔っ払う目的で飲む人が多いかもしれません。例えば、仕事や家庭のストレスを解消したい、夜眠れないからお酒を飲んで寝たい、イヤなことを忘れるために手っ取り早く酔うために飲みたいなどですね。要するに、お酒を楽しむというよりもお酒の力で色々なことから楽になりたいという欲求でストロング系チューハイを飲んでいるケースです。このような場合には、お酒の良くない力にどんどんと引き込まれて、物質依存症の一つである「アルコール依存症」になりやすい可能性があります(3、4)。

編集部

では、ストレスや嫌なことから逃げる目的で手っ取り早く酔うためにストロング系チューハイを飲むのはやめたほうがいいでしょうか?

佐藤先生

はい、ストレスや辛いことから一時的に楽になりたいと思って、手っ取り早く酔うためにストロング系チューハイを常用することはやめたほうがいいでしょう。もちろん、ストレスや嫌なことから逃げることは恥ではなく、時には人生に役立ちます。しかし、お酒に逃げてしまうとアルコール依存症になって人生がよりつらいものになってしまうかもしれません。そのため、逃げるなら趣味や筋トレに没頭したり、気軽に話せる人に相談したりするなどして、くれぐれもお酒に頼らないように気をつけてください。

ストロング系チューハイの危険性③7~9%アルコールと人工甘味料による肝機能障害

編集部

アルコール依存症以外として、ストロング系チューハイを飲む事による肝臓への影響はどうなのでしょうか?

佐藤先生

残念ながら、ストロング系チューハイの肝臓への影響についてもはっきりとはわかっていません。しかし、アルコール度数が高いのに加えて、ストロング系チューハイに含まれる成分によって肝機能に悪影響がある可能性が指摘されています。

編集部

ストロング系チューハイに含まれる成分の中でも肝機能に悪い影響があるのはどのような成分なのでしょうか?

佐藤先生

はい。あくまで検証の必要がある仮説のレベルですが、7~9%のアルコールに加えて、ストロング系チューハイの成分として大量に含まれている人工甘味料が肝臓への負担を倍増させているのではないかと疑われています。ただし、直近の研究結果では人工甘味料による肝機能障害は否定的とされているため、大量の人工甘味料の摂取により肝臓にダメージが生じるか否かについての相関関係や因果関係についてはさらなる研究が必要です(6)。

編集部

最後に、改めて結論としてストロング系チューハイを飲むのはおすすめできますか?

佐藤先生

いいえ、これまでご説明したように、少しでも不健康のリスクを下げて、健康寿命を長くしたいという人にはストロング系チューハイはおすすめできません。ストロング系チューハイの風味や味が好きで飲まれている場合には1缶ではなく半分の量に控えるなどして、ストレスから解放されるなどのために手っ取り早く酔うために飲んでいる人はストロング系チューハイには手を出さないことがおすすめです。ぜひ一度、どのような目的でお酒を飲んでいるのか自分自身に問いかけてみてください。その上で、お酒自体を楽しむ愛飲家ならいいですが、違う場合にはストロング系チューハイなどのお酒との付き合い方を見直してみてください。

参考文献:

(1)厚生労働省「健康日本21(アルコール)」

(2)e-ヘルスネット「アルコールによる健康障害」

(3)e-ヘルスネット「アルコールとうつ、自殺」

(4)e-ヘルスネット「アルコール依存症」

(5)Palmisano M. Epigenetic mechanisms of alcoholism and stress-related disorders. Alcohol. 2017 May;60:7-18.

(6)Golzan SA. Association between non-nutritive sweetener consumption and liver enzyme levels in adults: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Nutr Rev. 2023 Jan 9:nuac107.

編集部まとめ

ストロング系チューハイは体に悪いお酒です。アルコール度数が7~9%と高く、1缶350ml~500mlの量だけでも1日の適度な飲酒量の目安を上回る純アルコール摂取量です。そのため、ストレス発散やイヤな事を忘れる目的で手っ取り早く酔うためにストロング系チューハイに手を出すと、アルコール依存症になるリスクが高いかもしれません。また、アルコールに加えて、大量に含まれる人工甘味料が肝機能障害を引き起こすかもしれないので、少しでも不健康になるリスクを下げたい人はストロング系チューハイを控えることがおすすめです。

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