豊かな老後を送るためにも、受け取れる年金額を少しでも増やしたい! そんな希望をかなえるべく、50代からでもできる「年金の増やし方」を、ファイナンシャルプランナー・塚越菜々子さんに教えてもらいました。

年金の増やし方。50代からできること

年金の増やし方としては、「繰り下げ受給がおすすめ」と塚越さん。ほかにもあるのでいろいろ紹介します!

●「任意加入」で未納期間をカバー

【おすすめ度】★★☆

【対象となる人・おすすめの人】
・国民年金を払っていない期間がある
・学生時代、年金納付の猶予を受けた

国民年金は20〜60歳までの40年間保険料を納付すると満額受給できますが、未納があるとその分減ってしまうことに。でも大丈夫! 60〜65歳の間に国民年金に「任意加入」し、保険料を納めることで未納期間を埋めることができます。ただし国民年金の繰り上げ支給を受けていない、厚生年金保険・共済組合等に加入していないことなどが条件。申し込みは年金事務所か市町村役場窓口へ。なお、支払額は未納時ではなく、現在の額となります。

●「厚生年金がもらえる働き方」にチェンジ

【おすすめ度】★★☆

【対象となる人・おすすめの人】
・扶養内で働いている人
・就職、転職を検討している専業主婦やフリーランス

国民年金に加えて厚生年金を受け取れる働き方にすると、将来の受給額がぐっと上がります。じつは2022年10月から厚生年金の加入条件が大幅緩和。従業員数101人以上の勤め先で、(1)週の所定労働時間が20時間以上(2)月額賃金が8・8万円以上(3)2か月超の雇用見込み(4)学生ではない、の4条件を満たせば加入できます。2024年10月からは、従業員数51人以上とさらに緩和。保険料を負担することになりますが、半分は企業が負担します。

現在の職場が対象なら加入条件を満たす働き方に変更を。再就職や転職時も加入条件に当てはまる仕事を選んで。

●「付加年金」に加入する

【おすすめ度】★★★

【対象となる人・おすすめの人】
・自営業、フリーランス

第1号被保険者が国民年金に上乗せできるのが、「付加年金」。国民年金保険料に月々400円上乗せして払うと、将来の年金に「200円×付加年金保険料の納付月数」(年額)が上乗せされます。たとえ付加年金を支払ったのが1年でも、2年間国民年金を受け取れば、元が取れる計算に。ただし、物価変動には対応していません。

●「繰り下げ受給」する

【おすすめ度】★★★
【対象となる人・おすすめの人】
・ほぼ全員!

人生100年時代、皆さんにおすすめできるのが年金の「繰り下げ受給」。受給開始は原則65歳からですが、繰り下げることで1か月あたり0・7%受給額が増加し、70歳受給開始なら142%のアップに(国民年金)。最長で75歳まで繰り下げることができます。

厚生年金加入者(第2号被保険者)の場合は、国民年金のみ、または厚生年金のみを繰り下げることも可能。ただし、厚生年金を繰り下げると付随する加給年金も受け取れなくなるので対象者は注意して。

繰り下げるには、受給開始までの生活費を用意する必要が。早い段階から「いつ年金を受け取るのか」を計画しましょう。なお、逆に「繰り上げ」ると月0・4%受給額が減少します。

受給開始時期別年金額の推移

図は65歳で受給を開始した際に受け取れる年金額を基に、繰り上げ・繰り下げを行った場合の受給額の差を表したもの。

老齢基礎年金を満額受給した場合。1円未満は四捨五入

●年下の妻はこれもチェック!「加給年金」

厚生年金に20年以上加入する夫が65歳時点のとき、妻(年収850万円未満で厚生年金に20年以上加入していない)が65歳未満、または子が18歳未満であれば給付されます(諸条件あり)。

今から予習!年金の申請方法

意外と知られていないのが年金は申請しないと受給がスタートしないこと。手順を予習しておきましょう。

●年金をもらうための手続き

▼年金受給開始年齢を迎える誕生日の約3か月前

年金請求書とリーフレットが送られてくる

繰り下げたい人は(返送せず)そのまま保管を

リーフレットに従い、必要書類をそろえ、年金請求書に必要事項を記入する

▼年金受給開始したい年齢を迎えたら

年金請求書を提出する

▼年金請求書を提出してから約1〜2か月後

決定通知書と年金証書が送られてくる

▼年金証書の到着から約1〜2か月後

年金の振り込みがスタート

年金生活がスタートするのは、もう少し先の話かもしれませんが、そのときに備えて、今のうちからできることをチェックしておきましょう。

 

『これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代〜70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。