意外と知らない「ねんきん定期便」の正しい見方。「見込み額は手取り額ではない」ことに注意
老後のお金について、知りたいことNo.1の「年金」。いつからいくらもらえるのかをきちんと把握して、将来の備えを考えていきましょう。そこで今回は、毎年届く「ねんきん定期便」の見方を、ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんに教えてもらいました。
「ねんきん定期便」を見て、将来の見込み額を確認
毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」のハガキ。直近1年間の納付状況のほか、これまでの年金加入期間などが見られます。
「いくらもらえるか」は、50歳以上の場合、ここに記載されている「見込額」を確認することがスタート。
ただし、表記されているのはあくまでも支給される額。社会保険料などが引かれたあと、手元に残る額を試算してみましょう。
●まずは「ねんきん定期便」の2か所をチェック!
【チェック(1)】受給資格期間:「120」以上になっているかをチェック!
まず(1)の「受給資格期間」を見て、国民年金の受給条件である10年、つまり「120」か月以上になっているかをチェック。満たさない場合は年金事務所に相談して払いもれの対策などを。
【チェック(2)】見込額(年額):金額をチェック!(50歳以上のハガキにのみ記載あり)
次に(2)の「見込額」を確認。50歳以上だと、現在の状態が今後60歳まで続いた場合にもらえる年金の見込額(年額)が記載されています。
●「見込額=手取り額」ではない点に注意
年金から社会保険料や税金が天引きされます
年金を受給開始すると、それまで給与から引かれたり、自分で払い込みしていた保険料や税金が、年金から天引きされます。
「介護保険料」は、65歳以上で年金受給額が年18万円以上であれば年金からの天引きに。
「国民健康保険料」も同条件で、75歳以降は後期高齢者医療制度の保険料にきり替わって天引きされます。
また、年金は所得と見なされるため、「所得税、住民税」の課税対象。まとめると、10〜15%は引かれる計算になります。
<結論!>見込額×0.85=だいたいの手取り額
この額で老後プランを立てるのがポイントです!
年金についてもっと詳しく知りたい!
50歳未満でねんきん定期便に見込額の記載がない人は、「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」を活用すると試算ができます。今後、転職や早期退職を予定していて、もっと複雑なシミュレーションをしたい場合も役立ちます。
●昔の状況もさかのぼって見られる「ねんきんネット」
全期間の納付記録の確認や年金見込額の試算ができます
50歳未満でも年金見込額の試算ができます。ねんきん定期便のハガキを紛失してしまった人にも便利。登録方法は2とおりで、「スマホアプリとマイナンバーカード」を使う方法と「ウェブサイトで基礎年金番号」を使うやり方。
ねんきん定期便記載の「お客様のアクセスキー」があるとさらにスムーズです。
●試算をグラフで見られる「公的年金シミュレーター」
転職した場合や受給開始年齢など条件を変えて試算できます
生年月日、何歳までどんな働き方をするか、何歳から年金を受給するかなど、働き方や受給開始年齢を入力すると、それに合わせて年金見込額をグラフで表示。定年後に給与が下がる場合の試算もできます。
詳しい個人情報なしでも入力できますが、ねんきん定期便記載の二次元コードを読み取ると、より実際に近い結果がわかります。
・公的年金シミュレーター
これから先の暮らし方を考えていくうえで、年金がいくらもらえるのか? は、大事なポイント。まずはしっかり把握して、老後資金を備えていきましょう。
『これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代〜70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。