日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。「結婚直後からだまされた! という感じでした」と語るのは、20歳年上の夫と社内結婚の末、寿退社した主婦のひかるさん(仮名・45歳)。結婚直後の20代の頃に若い男性と不倫関係になり、自宅と相手の部屋を行き来していた当時の二重生活を振り返っていただきました。

私と夫の間に、もう愛はなくなっていたけれど…

20代の頃、社内結婚した20歳年上のイケオジの夫。結婚後に、女性とは最後までできないEDだったことが判明しました。

そんなとき、私を癒してくれたのは同じシャンパン好きが集まるコミュニティーで知り合った商社マンの男性Aさん。20代でレスの生活を強いられていた私が、Aさんにのめりこんでいくまでに、時間はかかりませんでした。

●ほとんど家に帰らない日々。レス夫に別れをきり出した

出会ってから3か月くらいだったと思います。掃除も、洗濯も、お料理も、お風呂も、行為も…。私はAさんの部屋でほとんどの時間を過ごすようになっていました。たまに服や日用品など、使い慣れたものを取りに家に帰ろうとすると、Aさんが切なそうに「帰したくないな…」と言うのです。

私もずっとAさんと一緒にいたいと感じて、ついに夫と離婚する決心をしました。
結婚式に来てくれた親や親族、友人や会社の同僚たちの顔が思い浮かびましたが、自分の人生は一度きり。後悔したくはありません。しっかり考えたのち、家で鉢合わせた夫に「あのさ、彼氏ができたから、もう私と別れてほしいです」と告げました。
けれどそのとき、夫が発した第一声は「冗談だ!」でした。

●話し合いのテーブルから名実ともに逃走する夫

私が「冗談じゃないよ、あなたと違って、ちゃんと行為ができる男性の部屋で暮らしてるの」と言うと「実家かどっか帰ってたんでしょ。いいよ、別に」とそれだけ言って、部屋を出て行ってしまったのです。

言い方が悪かったのかなと思って、夫の部屋の扉をあけて「今度離婚届持ってくるから、サインしてよね」というとまた「冗談だ!」と叫ぶだけ叫んで、今度は家から出て行ってしまいました。そう、夫は性行為だけでなく、話し合いもできない男だったのです。妻である私が、こんな家出同然の状況が3か月も続いているのに、全部を「冗談だ!」ですませようとしてきたのです。

少し時間をおいてから、もっと深刻な顔で話し合いをと思ったのですが、「冗談だ! ぜんぜんおもしろくない」と子どものようにダダをこねられてしまいました。なかなか離婚へ進展させられず、もどかしい時間が流れていきました。

●不倫相手からプロポーズされた

夫に離婚をきり出してからしばらく経ち、不倫相手のAさんからプロポーズをされました。いつもよりもワンランク上のフレンチのお店でデートすると言われたので、なにかあるかも…と予感はしていたのですが、デザートをサーブしてきた店員さんに「お連れ様から大切なお話があるようですよ」と言われて、お皿にフランス語で書かれた「結婚してください」という文字が目に飛び込んできました。花束と指輪も用意してくれていたAさん。

「今すぐにできないのはわかっている。でも気持ちを伝えておきたくて。結婚してほしい。時間かかってもずっと待っているから」

私は胸がいっぱいになりました。Aさんと知り合ってからのこれまでの時間、私もこうなったらいいなと思っていたからです。けれど、私の夫はまだ離婚に応じる気配はなく…。苦しい状況を素直に打ち明けました。

すると「うん。話してくれてありがとう。僕は、大丈夫だよ。まだ決定じゃないんだけど、近々、B国へ赴任することになりそうで…。僕が先にひとりで行って、向こうの生活の設営が整ったら、ひかるさんを呼べることになると思う。話し合いに時間がかかったとしても、僕の気持ちは変わらないし、気長に待っているから」とAさん。

さっきまでの高揚した気持ちが一気に凍りつきました。

●100年の恋も冷めるほどの衝撃だった転勤

「B国って? それ、決定なの?」と聞くと「うん、言ってなかったっけ?」と急にすっとぼけた表情。

一度も聞いていません。そして、B国はない! じつは子どもの頃、数年ですが、父親の仕事の関係で向こうに住んだことがありました。そのときの経験が過酷すぎて今もトラウマになっているほど。私にとって二度と住みたくない国・第一位がB国なのです。絶対聞き逃していたはずがありません。

私はまだ夫と籍が入ったままの状態で偉そうに言える立場じゃないけれど、そんな大事なこともっと早く言ってよ…と落胆。どうやら私はいちばん大事なことを最後に言う男性とばかり結ばれてしまう星のもとに生まれてしまったようです。

のちに、同じシャンパン好きのコミュニティー仲間から聞いたのですが、Aさんは会社側に「今つき合っている女性に結婚の申し入れをして調整しているところだから、もう少しだけ時間をほしい」とB国赴任を先延ばしにする交渉を入れていたそう。

けれど、この話をされてから、私の方が「やっぱり家庭に戻りたい」と身を引く形でお別れすることになりました。風の噂で、AさんはすぐにB国へ赴任されたと知りました。

●レスの夫との生活にすんなり戻れたワケ

ずっと私がよそで不倫をしていたのに、元の生活にすんなり戻れたのは夫の「冗談だ!」がいい意味で機能したように思います。私は何度も「本当だから、別れてほしい」と言ったのですが、結局AさんのB国赴任がきっかけであっけなく破局。

都合がいいのは重々承知なのですが、私も「冗談だったことにしよう」と思って生きていくことに。このとき私は27歳。夫は47歳になっていました。

次回は、第一子は30歳になる前に産みたい! と宣言し、EDの夫と不妊治療に取り組んだお話をしたいと思います。