ドネア選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

写真拡大

プロボクシングの4階級制覇ノニト・ドネア(フィリピン、40)が2023年6月14日にインスタグラムのストーリーを更新し、7月15日に米ネバダ州ラスベガスでWBC世界バンタム級王座決定戦に出場することを報告した。同王座は井上尚弥(大橋、30)が返上したもので、世界同級4位アレキサンドロ・サンティアゴ(メキシコ、27)と王座を争う。

一番の不安点は井上戦から試合をしていないこと

ドネアは22年6月に井上と3団体王座統一戦(WBA・WBC・IBF)を行い2回TKO負けした。約1年ぶりの再起戦が世界タイトル戦となる。過去、2度にわたって井上と拳を交えた40歳のドネア。果たして王座返り咲きはなるのか。J-CASTニュースは、TMKジムの金平桂一郎会長(57)に分析してもらった。

ドネアの地元フィリピンメディアによると、対戦相手のサンティアゴは27勝(14KO)3敗5分の戦績を誇る。18年9月にIBF世界スーパーフライ級王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン、31)に挑戦して1−1で引き分けた。一方のドネアは42勝(29KO)7敗。

金平会長は今回の王座決定戦について「敵は相手ではなくドネア選手の衰えだと思います」とし、「サンティアゴ選手の実績をみると、ドネア選手の脅威となるようなものはありません。ドネア選手が40歳になって一番の不安点は井上戦から試合をしていないということです」と指摘した。

ドネアは井上と2度対戦し、19年11月の初戦は判定負け。22年6月の2戦目は井上の強烈なパンチを被弾し2回TKO負けを喫した。金平会長は、2戦目の内容を振り返りながらドネアが負ったダメージの深さを不安視した。

「相当ダメージがある負け方をした」

「2戦目は井上選手に狙いすまされていたと感じます。それぐらいドネアのスピードが落ちていた。第一印象としてはスピードの低下。今までのドネアはスピードがすごかった。初戦は井上選手が戸惑うほどのスピード、迫力がありました。ところが2戦目はスピードが落ちて踏み込みが若干遅くなっていたと感じました」

さらに「相当ダメージがある負け方をしたので、正直その後どうなっているのかという不安はあります。井上戦後、テストマッチをやらずに直接世界戦なので。しばらく休んだことによってどれくらい回復したのか。通常であれば今回は負けるような相手ではないと思いますし、陣営としては行けると踏んでいるのでしょう」と語った。

年齢的な衰えを危惧する一方で、精神面では充実していると指摘した。

金平氏は「スムーズに世界戦が決まったので精神的には充実感があると思います。普通であればランキングが落ちる可能性があったわけですから。選手、チームが望む世界戦がスムーズにできるのだから充実していないわけにはない。余計なストレスはないでしょう。ただ、あれだけのダメージを負って再起戦がいきなり世界戦というのはリスキーな部分があると思います」との見解を示した。