激戦のNHKマイルCはハイペース必至 穴党記者はその展開に合ったタイプの違う2頭に白羽の矢
春のGIシリーズは今週から東京競馬場に舞台を移して、5週連続で開催される。その皮切りとなるのは、3歳マイルの頂点を決するGINHKマイルC(5月7日/東京・芝1600m)だ。
過去10年の結果を振り返ると、1番人気は2勝、2着1回、3着1回と信頼度は低い。一方で、伏兵の台頭は頻繁に見られ、3連単では高配当が続出している。10万円を超える配当が7度もあって、そのうち2013年と2022年は100万円超え。「荒れる」GIの代表格と言っていいだろう。
しかも、今年は2歳時に実績を残してきた面々が3歳になって不発。これといって抜けた存在が見当たらず、例年以上の波乱ムードにある。それについては、スポーツ報知の坂本達洋記者も同意してこう語る。
「混戦模様で人気が割れていたGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)同様、このNHKマイルCも絶対的な本命がいないのが面白いところです。
デビュー3連勝でGI朝日杯フューチュリティS(12月18日/阪神・芝1600m)を制したドルチェモア(牡3歳)が、前走のGIIニュージーランドトロフィー(4月8日/中山・芝1600m)で7着と完敗。押し出されるように逃げる形になったことや、休み明けの分も影響したと思いますが、『はたして、今回もどうか?』というのが大方の評価で、前走と違って断然の存在になることはありません。
同じく朝日杯FSで僅差の2着だったダノンタッチダウン(牡3歳)も、前走の皐月賞で18着と大敗。道悪もあって、力を出せなかった印象ですが、どこまで巻き返せるのか。
ここにトライアルを勝ち上がってきた組が加わって、人気はかなり割れると思います。馬券的な妙味はもちろん、穴党の出番は大いにあるのではないでしょうか」
まさしく大混戦のNHKマイルC。実力が拮抗した馬たちの争いになるとあって、レースの行方を左右するのは「展開面」と坂本記者は言う。
「今年はスピード自慢が集結していることもありますが、過去の傾向から考えても、ハイペースになる可能性が高いでしょう。そうなると、走破時計は当然速くなりますが、上がりはそれなりにかかります。過去10年の結果を見ても、おおよそ前半3ハロンより後半3ハロンのほうが遅くなっています。結果、純粋なヨーイドンの瞬発力勝負にはなりにくく、決め手があるタイプでも長く脚が使える馬のほうが好走している印象があります」
そこで、坂本記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。
「1頭目は、モリアーナ(牝3歳)です。GI桜花賞は賞金が足りずに除外。その代わりに参戦した前走のニュージーランドTでは4着でした。
外目の7枠14番から発走し、道中は流れに乗ってレースを進めていました。勝負どころの3〜4コーナーで一気に4番手まで押し上げて、そのまま脚を伸ばして勝ち馬からコンマ3秒差。小回りの中山コースとあって、外、外を回らされたロスが響いた感があり、地力は示した内容だったと思います。
2走前のGIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)では、好位で運んだ2頭が上位を占めたなか、末脚に徹して3着。負けて強しの競馬でした。やはり自分のリズムでいけて、じっくりと構えられる東京コースのほうが向いており、条件的にも今回のほうが好転すると思われます」
GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日/阪神・芝1600m)では、2番人気に支持された素質馬。状態を含めて、さまざまな要素がかみ合えば、上位進出は可能だろう。
「状態自体はよさそうで、1週前の追い切りでは美浦のWコースで僚馬を追走する形から、抑えきれないほどの抜群の手応えを見せて、およそ1馬身先着。キレ味よく、ラスト1ハロンでは楽々と11秒3の時計をマークしました。
実に気合い乗りのよさが伝わってくる動きを披露。鞍上にはベテランの横山典弘騎手を迎え、名手との新たなコンビで、いかにも一発ありそうな雰囲気が伝わってきます」
坂本記者が注目するもう1頭は、オールパルフェ(牡3歳)だ。
NHKマイルCでの大駆けが期待されるオールパルフェ
「GIIデイリー杯2歳S(11月12日/阪神・芝1600m)の覇者で実績十分ですが、ここ2走で掲示板を外している分、人気落ちは必至。配当的に妙味ある1頭と言えます。
前走のGIIスプリングS(3月19日/中山・芝1800m)で7着と凡走したのは、マイルからの距離延長というよりも、道悪が堪えたようです。管理する和田雄二厩舎の攻め専である原田亮助手に聞いても、『(スプリングSは)道悪が響いたのが大きいと思います。右回りでも左回りでも走れていますが、追い切りの感じでは左回りのほうが走りはいい感じがしますからね。(今回が)楽しみです』と言っていました。
鞍上の大野拓弥騎手も、前走時の追い切りのあとに『良馬場でやりたい』と話していましたから、スピードを生かせる馬場のほうが合うタイプ。モリアーナとは逆に、激しい先行争いをうまくさばいて、そのまま残り目のある存在を探すなら、穴っぽい同馬が狙い目になると思います」
今年も高配当が飛び出す気配がプンプンする3歳馬によるマイルGI。ここに挙げた2頭がゴール前の混戦から抜け出してきてもおかしくない。