3歳馬の「マイル王」を決めるGINHKマイルC(東京・芝1600m)が5月7日に行なわれる。

 春のGIシリーズのなかでも、とりわけ波乱の多い一戦だ。3連単では過去10年で10万円超えの配当が7度もあり、そのうち2013年と2022年は100万円を超える高額配当が飛び出している。

 こうした歴史を踏まえると、穴狙いに徹したほうがよさそうだ。それに、今年は絶対的な本命が不在。波乱ムードは一段と増している。ということで、過去の結果を参考にして、今年のレースで台頭しそうな穴馬候補を探し出してみたい。

 まず狙ってみたいのは、前哨戦の2着馬である。なにしろ、直近5年の結果を見ると、GIIIファルコンS(中京・芝1400m)、GIIニュージーランドトロフィー(中山・芝1600m)、GIIIアーリントンC(阪神・芝1600m)といった前哨戦の2着馬が毎年馬券圏内(3着以内)に絡んでいるからだ。

 たとえば、2018年に6番人気で勝利を飾ったケイアイノーテック(ニュージーランドT2着)、2019年に7番人気で3着に入ったカテドラル(アーリントンC2着)、2020年に9番人気で金星を挙げたラウダシオン(ファルコンS2着)、同年に6番人気で3着と健闘したギルデッドミラー(アーリントンC2着)、2021年に1番人気で3着となったグレナディアガーズ(ファルコンS2着)、2022年に3番人気で2着と好走したマテンロウオリオン(ニュージーランドT2着)らがそうだ。

 これらの多くが人気薄、というのも魅力のひとつ。ならば、今年も前哨戦2着馬を狙わない手はないだろう。

 当てはまるのは、ファルコンS(3月18日)2着のカルロヴェローチェ(牡3歳)、ニュージーランドT(4月8日)2着のウンブライル(牝3歳)、アーリントンC(4月15日)2着のセッション(牡3歳)である。

 ちなみに、過去例で挙げた馬の戦績を見てみると、それ以前にオープンや重賞での勝ち星があるか、あるいは2着となった前哨戦の前に出たレースを勝っていた。そうした要素を加味すると、カルロヴェローチェとウンブライルにより食指が動く。


NHKマイルCでの一発が期待されるウンブライル

 前者は2走前に1勝クラスの白梅賞(1月28日/中京・芝1600m)を勝ってファルコンSで2着となっており、後者はそれ以前にオープン特別のもみじS(10月16日/阪神・芝1400m)を勝っている。ここ数年継続している法則からして、これらへの期待は増すばかりだ。

 次に着目したいのは、安田隆行厩舎に所属するロードカナロア産駒の出走馬だ。というのも、過去5年の結果を見ると、この組み合わせの馬が2度も馬券に絡んでいるからである。

 その2頭とは、2019年に14番人気で2着に突っ込んできたケイデンスコールと、2022年に4番人気で勝利したダノンスコーピオン。そして今年もまた、安田厩舎からロードカナロア産駒が1頭出走する。

 ダノンタッチダウン(牡3歳)である。

 同馬は、昨年のGI朝日杯フューチュリティS(12月18日/阪神・芝1600m)で2着に入るなど、底力は十分にある。ただし、同レース以来、およそ4カ月ぶりに臨んだ前走のGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)では18着としんがり負け。今回は人気落ち必至の状況だ。

 しかしながら、もともとマイル適性の高い血統。距離延長で挑んだ前走は度外視してもいいかもしれない。となると、ここで巻き返す可能性は大いにある。2019年のケイデンスコール同様、人気薄での一発があっても不思議ではない。

 最後に、このレースと相性のいいジョッキーにも目を向けてみたい。直近5年の結果を見ると、ミルコ・デムーロ騎手が2勝、2着1回と好成績を残している。

 とすれば、今回彼とコンビを組むクルゼイロドスル(牡3歳)が面白い。

 前走は、リステッド競走のジュニアC(1月5日/中山・芝1600m)に出走。逃げて4馬身差の圧勝劇を披露した。その勝ちっぷりからして、ここでも通用するはずだ。

 また、相性のいいジョッキーという点で、さらに人気薄を狙うなら、横山典弘騎手騎乗のモリアーナ(牝3歳)か。実は過去10年の結果で見ると、横山典弘騎手が2勝、2着1回、3着1回と、最も多く馬券に絡んでいるのだ。

 一方、モリアーナもGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日/阪神・芝1600m)では12着と惨敗を喫しているものの、続くGIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)では勝ち馬とタイム差なしの3着と好走。前走のニュージーランドTでも、勝ち馬にコンマ3秒差の4着と奮闘している。

 それ以前にも、オープン特別のコスモス賞(8月13日/札幌・芝1800m)を勝利しており、能力的にはこのメンバーに入ってもひけをとらない。舞台相性のいい名手の手腕によって、アッと驚く激走を果たしてもおかしくない。

 実力伯仲のNHKマイルC。例年以上の混戦模様とあって、今年も高配当への期待は高まるばかりだ。そのお膳立てをする馬が、ここに挙げた穴馬候補のなかにいるかもしれない。