もやし=栄養ないは間違い!ほうれん草の10倍以上の「モリブデン」が貧血に効果的

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「もやし」は、安くてどんな料理にも合うとても便利な食材。ただ、栄養素はほとんどないと思っている人も少なくないでしょう。実際のところ、もやしには本当に栄養がないのでしょうか?名水美人ファクトリー株式会社(大分県竹田市)が、もやしの持つ栄養成分などについての"意外な事実"を発表しました。

「もやし」は鉄分補給を促してくれる



サンケイリビング新聞社が2019年に行った調査によると、消費者のもやしに対するイメージは、「コスパがいい」「時短調理に役立つ」「手軽に使いやすい」などが大半を占め、「栄養がある」という印象を持つ人は非常に少ないという状況が明らかになりました。




※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」と文部科学省「食品成分データベース」を参考に、緑豆もやし1パック(200g)で30〜49歳女性の1日摂取量の推奨量に対する充足率を算出

しかし、もやしには、厚生労働省が定めた推奨摂取量の4日分以上の「モリブデン」をはじめ、必須ミネラルである「銅」や「葉酸」「ビタミンC」など、鉄補給と造血作用を促す働きのある栄養素が豊富に含まれています。

具体的には、「モリブデン」は鉄の利用効率を高めて貧血を予防し、「銅」は鉄から血液中の赤血球を作るのを助ける働きがあります。「葉酸」は血液中の赤血球を作る役割を担い、「ビタミンC」は鉄の吸収率を高めてくれます。モリブデンの含有量を他の野菜と比較すると、ほうれん草やかぼちゃが40%であるのに比べ、もやしは440%。厚生労働省が定める目安の4日分が1パックでとれる計算になっています。

実は日本人の5割以上、特に子どもの約9割が、慢性的な鉄不足となっています(icoi調べ)。鉄分は、吸収率のいい『ヘム鉄』でも約30%と低く、鉄分の吸収力を上げるためには、もやしのように相性のいい食材を合わせたレシピが大切となります。例えば、鉄分補給レシピの代名詞でもあるレバニラ炒めには、もやしを入れることでより高い効果を得られるようになるでしょう。

「モリブデン」がもたらす効果とは…


もやしに多く含まれる「モリブデン」が、どういった働きをして、どんな効果をもたらしてくれるのか。東京都千代田区にある辻クリニック院長の辻直樹先生に詳しく解説してもらいました。

――鉄分摂取のポイントについて教えてください

鉄分などミネラルは体内で生成できないため、食物から摂取する必要があります。豊かな自然界で育った野菜や肉・魚などからしっかり摂取することができれば、大変理想的です。

また、ミネラルは相互作用しているため、バランス良く摂取することが大切です。それぞれの栄養・健康課題に応じて、必要なミネラルを補うことができる食材を適切に選択して摂取することが求められます。

――モリブデンはどのような働きをするものなのですか?

モリブデンは主に肝臓や腎臓に存在しています。血液内で鉄が不足したときに、肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助け、造血作用を促します。

――ということは、もやしは貧血予防に効果があるのでしょうか?

鉄を含む食材と一緒にもやしを摂取することで、効果的に鉄分を吸収でき、鉄欠乏性貧血を予防する効果が期待できます。

――ほかにもモリブデンに何か効果はありますか?

モリブデンは酵素(オキシダーゼ)の構成成分で、プリン体を尿酸に変換するために必須となります。もやしなどの常備野菜を活用した毎日の食生活改善が未病対策につながります。

実は「もやし」は、日本人に不足しがちな鉄分の吸収を助けてくれる栄養素が豊富に含まれている食材だということが分かりました。手に取りやすく、調理しやすいのも嬉しいところ。もやしを使った食事を積極的に摂るように意識したいですね。

画像提供:Adobe Stock

(TEXT:山田周平)