Appleは以前からMR(複合現実)ヘッドセットの開発を進めており、2023年6月6日から開催される予定の年次開発者会議「WWDC 2023」で発表する予定だと考えられています。しかし、1台3000ドル(約40万円)とも目される高価な端末で顧客の購買欲を満たすのは至難の業。この端末に顧客の注目を集める方法として、Appleはさまざまな戦略を考案していると伝えられています。

Apple VR Headset to Run iPad, Sports Apps and Eye Scanning Feature at WWDC 2023 - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-04-18/apple-vr-ar-headset-apps-sports-tv-fitness-gaming-wellness-ipad-features



Bloombergが取材した関係者によると、AppleはMRヘッドセット「Reality Pro(仮称)」を顧客にとって親しみやすいものにするため、「iPadアプリ」を統合するという作業に注力しているとのこと。

これにより、ゲーム、フィットネスなどの既存のiPad向けサービスや、Safari、カレンダー、連絡先、株式、メール、地図、メッセージ、音楽、天気などのさまざまなアプリがMRヘッドセットを介して使えるようになるそうです。また、FaceTimeでの会話中に相手の3Dモデルを映し出したり、スポーツをVR空間で観戦したりすることも目指されているとのことです。



こうした基本的なアプリに加え、電子書籍アプリのApple Booksもヘッドセット向けに最適化され、顧客が仮想現実世界で読書をすることができるようになるとも伝えられています。また、ヘッドセットを操作して見えている風景の写真を撮る機能や、グラフィック及びサウンドで瞑想(めいそう)をサポートするアプリも用意されているとのこと。

もう一つの目玉となりそうなのが、Appleがヘッドセット向けに開発している「Fitness+」というサービスで、これを使うとVRでインストラクターを見ながら運動できるようになるとのことです。さらにもう一つ、ホワイトボードを複数人で共有して作業するアプリ「Freeform」のヘッドセット向けバージョンも開発中とのことで、複合現実の中でユーザー同士が一緒に作業できるようになるそうです。



こうした取り組みを現実のものとするため、Appleはデベロッパーと協力し、既存のソフトウェアを複合現実向けにアップグレードできるよう支援してきました。Bloombergによると、ヘッドセットに含む機能のうちゲーム分野にAppleが注力する姿勢は、これまでゲームカテゴリーをそれほど重視していなかったAppleの方針とは一転したものであり、ゲームもヘッドセットの魅力の中心となるだろうと予測できるとのこと。

ただ、実用性への疑問、実績のない市場への不安などから、社内では開発に疑問の声が上がっているとの話も伝えられています。

発売間近のAppleのMRヘッドセットについて社員から疑問の声が上がる - GIGAZINE