報道特集です。ここからは報道部の近江記者とお伝えします。

近江さん:「よろしくお願いします。さて、登校中の小学生6人が死亡した鹿沼市のクレーン事故からきょうで12年です。まずは事故の様子を当時の映像で振り返ります。

この事故は2011年4月18日の午前7時45分ごろに鹿沼市樅山町の国道で発生しました。

集団登校をしていた児童の列に暴走したクレーン車が突っ込み、児童のうち6人がはねられ、全員の死亡が確認されました。

6人をはねたあとクレーン車は、民家の垣根と作業小屋を一部を壊して止まりました。

当時の映像からも事故の悲惨さをうかがい知ることができます。

クレーン車を運転していた当時26歳の男にはてんかんの持病があり、この事故をきっかけに運転に支障をきたす持病の虚偽申告に罰則を設けるなど道交法が改正されました。」

近江さん:「ここで大切になってくるのは通学中の子どもたちをどう守っていくかです。クレーン事故から12年となった18日、警察は県内で一斉に通学路での交通安全指導を行いました。」

近江さん:「県警察本部では4月10日から19日までを、新入学児童を対象にした交通安全活動の強化期間としています。18日は県内で一斉に交通安全指導が行われ23の小学校の通学路で警察や市や町の関係者などが児童生徒や乗用車などに交通安全を呼びかけました。クレーン事故の現場からほど近い鹿沼市内の交差点でも午前7時から呼びかけ活動が行われました。

活動に参加していた鹿沼市の佐藤信市長は、毎年この日は通学路に立ち子どもたちの安全を見守っているといいます。

事故が起きた12年前は現在の小学6年生が生まれた年ですからほとんどの児童が生まれていません。

佐藤市長は毎年この活動に参加する理由についてこう話しています。」

鹿沼市 佐藤信市長:「子どもさんはよくわからないかもしれない。12年前だから。風化しちゃうから、やっぱりこういう形で思い出しながら継承をね。注意を怠ることなくということなんでしょうね」

警察によりますと2018年から2022年までの5年間で、歩いて登下校しているときに交通事故にあい、けがをした小学生は県内で52人でした。2023年は3月末までで2人で、2022年の同じ時期に比べて3人少なくなっています。

警察ではこれからもドライバーに安全運転を心がけるよう呼びかけていく方針です。

鹿沼警察署 渡邊正祐署長:「通学路スクールゾーンでは子どもたちが優先です。子どもたちの近くを通行する際は、よく見る、減速する、止まるの3つのS、3S運動を実践し、安全運転に努めてください」

近江さん:「一方、国も子どもたちの登下校時の安全を守ろうと取り組みを行っています。」

近江さん:「2021年千葉県八街市で小学生の列にトラックが突っ込んだ事故を受け、国が全国の通学路で緊急点検を行った結果、およそ7万6000の危険個所が判明しました。県内では危険個所とされた1、321カ所のうち、およそ79%にあたる1、038カ所で、ガードレールの設置や、ボランティアによる見守り、ルートの変更などの安全対策が完了しています。」

近江さん:「一方、壬生町では、警察と連携した新たな取り組みが始まっています。」

近江さん:「壬生町北小林にある新興住宅地虹の杜ニュータウンの出入口の道路です。自動車のスピードを物理的に制限するハンプと呼ばれる段差が設置されています。

ハンプを設計した壬生町建設課 梅山愛梨さん:「2m上がって2m平面で2m下がる。高さは10cm。ガタンとなることで速度抑制を目的としています。安全に歩いていただければと思います」

時速30キロ以下の速度制限と物理的なデバイスの組み合わせで安全対策を図る「ゾーン30プラス」は、県内では壬生町と警察、そして虹の杜自治会により、3月24日から初めてスタートしました。

この区域は近くにある南犬飼中学校や安塚小学校、壬生北小学校の学区になっています。

また住宅地には子育て世代が多く、ドライバーに運転をより気をつけてもらおうと速度制限に加えてハンプを設置しました。

虹の森自治会の神山さんは以前のこの場所の道路状況についてこう話します。

虹の杜自治会 神山さん:「危なかったです。獨協さんがあるので出入りする車が多いし、住宅側に出入りする人たちの車も結構多い。住んでる人プラス宅急便関係とか結構出入りしているので、やっぱり親御さんたちはすごく心配してました。できて良かったです。」

近くの南犬養中学校の生徒はどう感じているのでしょうか。

生徒は:

「人の命もかかってるし自分の命もかかってるからそういう工夫をしてくれるのはありがたい」

「車が飛び出しそうになって急ブレーキ踏んだりは見たことある。飛び出しとかがなくなると思うんで良いと思います」

「急にボコっとするとびっくりするけどそれで事故の防止になったりで人の命を守れるならたくさんの場所に設置してほしい」

南犬養中学校では3月、当時3年生の生徒が自転車で通学中に乗用車と接触する事故に巻き込まれたばかりでした。

南犬養中学校 福原亨教頭:「昨年度命にかかわる事故が5件ほどあった。命はひとつしかないので生徒の大切な命を守れるような形ができるというのは大変うれしいこと。子どもたちのためにぜひ安全運転をしてほしい」

虹の杜自治会の神山さんによりますと、この地域に住んでいるのはおよそ130世帯450人ほどで、子どもたちはこのうち80人程度だといいます。

子どもたちを守り成長を見守ることこそが地域の役目と話します。

虹の杜自治会神山さん:「大きくなるのを見守ってあげるのがそこに住む人たちの役目。となりの人はいいやじゃなくて、この地域、どこにいっても日本の国を背負って立つ子どもなんだと思って大事にしないといけない」

近江:「18日で鹿沼のクレーン事故から12年。国や県はもちろんですがそして地域で子どもたちを交通事故から守る取り組みが求められます。」

報道特集でした。