豊田スタジアムに13機のロボットが集結 愛知県サービスロボット社会実装推進事業「ARX」開催レポート(前編)「サービスロボット実証実験」編

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愛知県は2022年12月17日(土)に、豊田スタジアムにおいて「サービスロボット社会実装推進事業」(ARX:AICHI ROBOT TRANSFORMATION)を開催し、「サービスロボット実証実験」にはサービスロボット5機が、「サービスロボットプロモーション」には8機が参加した。当日、豊田スタジアムでは「NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」の「トヨタヴェルブリッツ対静岡ブルーレヴス」の試合が行われ、観戦に訪れた来場者に向けてロボットたちが披露された。

写真提供:Incubion Inc.
●「AICHI ROBOT TRANSFORMATION」(ARX)とは
「AICHI ROBOT TRANSFORMATION」(ARX)は、サービスロボットを社会に実装するための課題やマッチングを行う推進事業だ。コロナ禍以降の「新しい生活様式」により高まったサービスロボットへの期待を一過性のものとせず、生活の様々なシーンでロボットとの協働により、社会を変革(トランスフォーメーション)させるため、様々な施設でのロボット活用の実証実験や導入事例を、ものづくり王国・愛知から発信する。今年(2022年度)も、豊田スタジアム、イオンモール常滑、アーバンネット名古屋ネクスタビル、藤田医科大学病院など、様々な場所で様々なユースケースを想定して実施される。

●豊田スタジアムでサービスロボットによる「実証実験」と「プロモーション」を実施
「サービスロボット実証実験」:
は、実用化が期待できる具体的なサービス用途を念頭に、ロボットの性能評価や想定するサービスモデルを検証する目的で、実環境下でロボットを動かしてデータ収集・観察・分析を行うもの。
「サービスロボットプロモーション」:
は、展示やデモンストレーション等を通じて、現地の市民・スタッフがロボットと触れあう機会を設け、ロボットおよびロボットが提供するサービスの認知度・理解度の向上を目指す。

【豊田スタジアムに参加したロボットと企業】:
サービスロボット実証実験:
iBones アイ・ボーンズ 豊橋技術科学大学 ICD-LABサイネージロボット THK株式会社フロア案内ロボット「Sign-Mover」 THK株式会社GUIDERBOT G2 KEENON Robotics株式会社CLINABO(クリナボ) 日本信号株式会社
サービスロボットプロモーション:
DINERBOT T5 KEENON Robotics株式会社SWEEPER111/SCRUBBER 50、VACCUM 40 クリーンスタジオ株式会社SOL 新明工業株式会社Kebbi Air 名古屋国際工科専門職大学COBOTTA クレーププロジェクト&サーブロボット 愛知工業大学AIT・UV-C エアステリライザーRT「ステリボット」 愛知工業大学
●「iBones」手指の消毒支援(豊橋技術科学大学 ICD-LAB)
豊田スタジアムの1階メインゲート前では、ひと目を引くデザインの「iBones」(アイボーンズ)が手指の消毒支援作業を担当した。「iBones」は、センサーで来場してきた人を検知し、ゆっくりと近付いて、人間が手を出すと消毒液を噴射した。

メインゲートで来場者を迎え、手指の消毒支援作業を行う「iBones」(写真提供:Incubion Inc.)「iBones」のデザインは、人間からの能動的な働きかけを誘発する、「弱いロボット」をコンセプトにしたもの。競技会場という公共空間に設置した場合に、人と弱いロボットの間でどのような相互作用が生まれるのか、興味深いテーマで実証実験が行われた。来場者の多くが存在を好意的に受け止め、消毒のために人が手を出しやすい位置にロボットが居ない場合でも、ロボットに向かって消毒液をもらいに来る動きが見られる場面もあった。
■動画「iBones」手指の消毒支援(豊橋技術科学大学 ICD-LAB):

●サイネージロボット(THK 株式会社)
豊田スタジアムのメインゲートでは、昨年と同様「サイネージロボット」も来場者を出迎えた。このロボットは自律動作または遠隔操作によって移動することができ、来場者の近くで停止し、来場者の性別や年齢などの属性を顔認証技術で判断して、それに合わせた情報を大型のディスプレイで発信することができる。今回は、属性に効果的と予想される選手の公式映像やグッズ情報などの広告/情報を放映し、多くの人が注目していた。また、実証実験としては、今後の有効活用に繋げるために視聴者数や滞留時間のデータ収集なども行なった。

移動して顔認識しながら広告や情報を配信する「サイネージロボット」(写真提供:Incubion Inc.)
●選手と交流できるフロア案内ロボット「Sign-Mover」(THK 株式会社)
THKはメインゲートで移動できるフロア案内ロボットも稼働させた。試合前や試合後にロッカールームやピッチにいる選手達と、会場入口のロボットをオンラインで繋ぎ 、画面を通じて来場者と双方向の交流を行なった。感染対策のため直接ファンと選手が触れあう機会が持てない中、試合会場で選手とファンが遠隔ながらも交流する機会を創った。体験した観客たちは、手を振ったり声を掛けたり、選手との今を共有している感覚が、高い満足度に繋がった様子。たくさんの笑顔が見られた。

遠隔ながら、会場で選手達と交流できる、かけがえのない体験を提供(写真提供:Incubion Inc.)■動画:

●座席まで案内「GUIDERBOT G2 Label」(KEENON Robotics 株式会社)
スタジアムのノースサイドでは、可愛いデザインのロボット「GUIDERBOT G2 Label」が、来場者とコミュニケーションでおもてなししながら、座席まで案内するサービスを検証した。来場者が席番号を入力すると、天井に貼ったマーカーをもとに、近くの通路に誘導するしくみ。また、モニターでは動画や静止画コンテンツを配信した。モニターを持ち上げているユニークなデザインで、子どもや家族連れに人気があった。

ユニークで可愛いロボットが家族連れの注目を集めた
●清掃ロボット「CLINABO」(クリナボ) (日本信号株式会社)
「CLINABO」は自律移動型の無人清掃ロボット(湿式/乾式に対応)。スタジアムのような超大規模施設での広範囲な清掃の可能性を、マップ作成、ティーチング&トレース機能、および設備等の障害物に対する対処性能などを探る実証実験が行われた。実証実験は、観客のいない日程・時間に実施し、試合開催日はデモンストレーションとして立入制限区域を設けて、試運転しながら清掃ロボットのお披露目が行われた。

普段は人のいない時間に活躍している清掃ロボットもお披露目後編「サービスロボットプロモーション」編へつづく。
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