大晦日ということで2022年を振り返って少し暗い気持ちになりつつ、明るく楽しい巨大な「個」の光に照らされる2023年を祈念するの巻。
ありがとう2022年、こんにちは2023年!
今年も何とか大晦日を迎えることができました。身体の健康、心の元気、今はまだそれなりに残っているのかなという感覚。年を重ねるごとにじょじょに衰えていく傾向は否めませんが、経験値を活かしてベテランにしかできない生き方を模索していきたいもの。直感で言うならば「サボる勇気」とでも言いましょうか。頑張らなくても何とかなるんじゃないかなーという淡い未来への期待を抱いて生きていきたいなと思っております。これまでずーっと何とかなってきましたからね。
さて、2022年は個人的にもビッグイベントに沸く一年でした。2月、厳戒コロナ禍態勢のなかで行なわれた北京五輪。11月、こちらもまたピリピリムードのなかで行なわれたサッカーワールドカップ・カタール大会。その合間には羽生結弦氏がプロに転向し、プロのアスリートとしてのフィギュアスケートを展開するという新たな「プロ」スポーツの誕生に立ち会いました。プロ野球では三冠王と完全試合、高校野球では白河の関を陸路越え、大谷翔平さんが元気、ボクシング井上尚弥さんの4団体統一……思い浮かぶ出来事のいずれもが素晴らしい結果と楽しみとを感じられるもので、年々衰えていく気力と体力にも一発強いムチを振るってくれるかのようでした。勇気、元気、大いにいただきました。
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- 笹川スポーツ財団(SSF) (@ssf_pr) December 13, 2022
結果発表‼️🥁
「あなたが選ぶ!2022年 スポーツ重大ニュース&活躍したアスリート」🏆🇯🇵
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スポーツ重大ニュース
🎖️第1位🎖️
「#羽生結弦 のプロ転向」
活躍したアスリート
🎖️第1位🎖️
「ロサンゼルス・エンジェルスの #大谷翔平」
おめでとうございます!👏👏👏https://t.co/Gqovj9f2Dh
そんななかネガティブな面で避けて通れないのがロシアによるウクライナ侵攻でした。これによりその後の国際スポーツ大会からは「ロシア一派」が排除され、そのことはごく自然に当たり前のこととして受け入れられ、ふたつの分断した世界のなかでスポーツが行なわれるようになりました。それ自体はこちら側の世界の民意なのだろうと思うのですが、いよいよ本格的に世界はもうひと悶着始める前段階に来たのだなと薄暗い気持ちになるような思いです。
綺麗事かもしれませんが、スポーツは政治を超えた先にあるもの、文化芸術と同じ領域のなかにあるものだと思いたい(※そこも含めて全部がキャンセルされているわけだが)。そして、文化芸術のなかでも「実際に対面して、対戦する必要がある」という特別な性質を持つものとして、人々を結びつけ、引き合わせ、互いの理解と敬意を醸成していく、平和のための特別なチカラをもつ活動であると思いたいし、そうであるだろうと確信しています。
ロシア一派を懲らしめてやろうという気持ちはありつつも、完全に別世界のものとしないための「心の外交ルート」としてスポーツという門戸は開きつづけていてほしいと思います。デアゴスティーニのペースで週刊ミサイルをお届けてしてくれる北朝鮮に対してでさえも、そのルートは開けてあるわけで、それを閉じてしまえば本当に別世界の知らないヤバイやつらということになってしまいます。そうなれば、何をやっても互いに痛みを感じない、さらなる悲劇にもつながっていくだろうと。
「ロシアのやったことは許せない、しかしロシアにも素晴らしいものがある」という心の位置づけはあり得ると思いますし、その素晴らしいものたちの存在が「世界とつながっていることを止めてはいけない」という気持ちに向こう側の人もさせるのではないかと期待するのです。文化芸術やスポーツも政治と無縁ではいられませんが、政治ではない領域を残しておくことが、政治では解決しない何かをつなぎとめる術となるだろうと僕は思うのです。
外務省のサイトなど見ますと、国連加盟国数が193、日本が国として承認している国の数が195とあり、東京五輪に参加した国と地域は205(および難民選手団)ということで、スポーツの「つながり」の規模というのは政治に劣るものではなく、むしろ上回るものでさえあります。スポーツが実利として大してチカラを持たない遊びであるからこそ、勝ったから負けたからで何も起きないただの楽しみであるからこそ、できることがある。担える役割がある。そういうチカラを示せなかった2022年を思いつつ、2023年、2024年において何とかそれを示していきたい、そんなことを思う年の瀬です。
The International Olympic Committee is exploring ways to loosen its bans on athletes from Russia and Belarus, which would allow them to participate in the 2024 Paris Summer Olympics, most likely as independent competitors.https://t.co/8mtFwQtyvu
- The Washington Post (@washingtonpost) December 12, 2022
その意味では、今後の世界スポーツというのは国とかチームとかを超越した、巨大な「個」というものがより一層大事になっていくのかなと思います。どこそこの代表だからとか、どこそこの大会に出場しているからとかではなく、どこの代表であってもこの選手は素晴らしい、どこで行なわれたものであってもこのプレーは素晴らしい、そうやって世界中の人が引きつけられるような巨大な「個」を中心にまわっていくようであれば、政治や主義主張とはひとつ距離を置いたなかでの「つながり」というものを築いていけるのかなと思います。インターネットとSNSがそういう新しい形を世界中で加速させていく助けになると思います。
先日のワールドカップ、決勝戦での雰囲気はアルゼンチン応援というよりも「メッシさんがいるほうを応援」というものでした。僕もとにかくメッシさんに勝ってほしいと入れ込みました。僕はアルゼンチン代表を特別好きなわけではなく、どちらかと言えばあまりいい印象を持っていませんでしたし、案の定表彰式等々ではいろいろやらかしていましたが、「メッシさんがいるほう」であるならばそんな些末なことは吹っ飛んでいました。そういう気持ちが世界中から向けられたことが、あの紙一重の勝負を制する後押しにもなり、大きな喜びの輪の下支えにもなったのかなと思います。「アルゼンチンはあまり好かんが、メッシは応援したい」はきっと成立していた。
愛される巨大な「個」。
国家や思想を超越する巨大な「個」。
そういったものに魅了されることで、「●●はスポーツ選手である以前に■■人だ」という捉え方よりも大きな「●●は■■人である以前に自分と同じ人間だ」という捉え方が、自然に浮かび上がってくるようになるのかなと思います。「地域密着」とは真逆の方向性…言うなれば「地域超越」みたいなスタイル、それを実現してくれる巨大な「個」がいろいろな競技で生まれていくような、そんな未来であったらいいなと思います。
そんなことを2023年に向けて思いつつ、毎年恒例の2022年に僕をもっとも楽しませてくれた選手に贈るMVP賞についての発表です。もはや今年に限らずずっとそうなんじゃないかという気もしますが、北京五輪での挑戦とプロ化という新たな挑戦で激動の一年を生み出し、巨大な「個」としてさらなる活躍が期待される羽生結弦氏に贈りたいと思います。贔屓にならないよう、なるべく変えるようにはしているのですが、今年はもう忙しさも楽しさも感動もワクワクも圧倒的でした。来年は確実にこれを超えていくだろうと思いますので、そろそろ殿堂入りと羽生結弦賞の創設(※羽生氏のような挑戦心に満ちた巨大な個に贈る賞)を検討しないと賞レースにならなくなるかもしれないですね!
↓この頃はまだROCとかあったなぁ…と遠い過去のように思います!
遠い過去なのか、始まったばかりの未来なのか!
それを見届ける2023年、2024年になりそうです!
2023年は明るい気持ちで過ごせる楽しいことだけの一年になりますように!
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