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相次ぐ値上げで貯蓄ができなかった…という人も多いであろう今年。来年こそしっかり貯めるため、年内に家計の決算を! お金の流れが見えると、節約ポイントがぐんとわかりやすくなるのです。

「“今年もお金が貯まらなかった”と嘆いているだけでは何も変わりません。けれど、決算シートでこの一年のお金の出入りを振り返れば、’23年は貯蓄体質に生まれ変わることができますよ」

そう語るのはファイナンシャルプランナーで「生活設計塾クルー」取締役の深田晶恵さん。
“決算”と聞くと「家計簿をつけていないから無理」と感じる人もいるかもしれない。しかし、深田さんが考案した「家計決算シート」なら、家計簿をつけていない人でも決算できる! 用意するのは通帳とクレジットカードの明細書だけ。

書き方はこちらの見本を参考にして。

「お金の出どころとして、『銀行口座引き落とし』や『クレジットカード払い』は通帳やカードの請求明細でいくら使ったかを把握することが可能です。家計簿をつけていないとわからないのは『お財布』からの支出だけ。こちらはATMなどで引き出した額を1カ月分集計すればよし。何に使ったか気にする必要はありません。毎月の変動があっても、平均的な金額をお財布支出(基本生活費(2))としてまとめましょう。

また、『毎月の支出』のほかに、固定資産税や交際費、旅行のような支出を『年数回の支出』として分けることもポイントです」

この決算シートの目的は、お金のざっくりした動きを年単位でとらえること。千円〜1万円単位で記入し、端数は無視しよう。

自由項目には、見える化したい出費を記載。特に「使いすぎかもしれない」と感じる支出は、外食費、通信費など項目を独立させることでムダが際立つという。

■毎月赤字がある家庭は貯金しづらい

シートを書き込んだらチェックしたいのは次のような項目だ。

「まずは、毎月の赤字があるかどうか。貯蓄できない家庭は月々2万〜3万円ほどの赤字をボーナスで補塡しているケースが多く、ボーナスの半分近くが赤字補塡として消滅……。その結果、たちまち貯蓄計画が崩れてしまいます」

いちばん右の列の「年間合計」を見ると、その項目の出費の大きさを知ることができる。

「たとえば保険や共済の掛金は、ひとつひとつだと大したことがなくても、家族全員でまとめると大きな出費になっていることも。大きいと感じる出費は、支出をカットして貯蓄に回せないか検討するのが肝心です。

年数回の支出が毎月の収支を圧迫していないか、ボーナスで賄えているかも確認しましょう」

また、ぜひ見比べてほしいのが「収支B-A」ではじき出された計算上の年間貯蓄額とその下の「実際に今年貯まった額」。

「実際の貯蓄額のほうが少ない場合は、無意識の無駄遣いである使途不明金があるということ。

理論上貯められるはずの金額を目標貯蓄額として設定し、毎月固定で貯蓄する額とボーナスで貯蓄する額を逆算。先取りして貯めるようにすれば、このような無駄遣いはカットできます」

現状を見渡せば、確実に無駄が見つかる。

「“ここから毎月2万円減らそう”と項目ごとに縮小して月々やりくりしたり、固定費で大きく削れるところを探せば、日々の節約に追われることなく楽に貯蓄額をアップすることが可能です。

毎月赤字を出さずに月1万〜2万円でも貯金をして、さらにボーナスの半分を貯めることができれば、専業主婦世帯なら最低年間60万円、共働き世帯なら年100万円は貯められますよ」

使ってしまったお金を書き出すのは悲しい作業だが……。

「決算シートに書き込みながら自分の無駄遣いに落ち込んだり、恐怖を感じたりすることもあるでしょう。でも、このつらい体験をしなければ、お金が貯まる人に変われないのです」

決算シートを書き込んで、’23年こそは「貯まる人」に変身!