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●EUで導入される超過利潤税

 EUでは、利益が急増している再生可能エネルギー業者や石油・石炭・ガスのエネルギー企業が得た超過利潤に課税する、超過利潤税を導入する動きが広がりつつある。

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 9月30日に行われた欧州連合(EU)エネルギー相会合では、エネルギー価格高騰への対策案で合意しており、その一環で電力消費量の削減を法的に義務付けることと共に、超過利潤税も盛り込まれていた。

 ドイツ政府は、9月1日以降に超過利潤税を徴収し、2023年6月末まで適用される予定だが、延長の可能性もある。イタリア政府も2023年6月半ばまで一時的な超過利潤税の納税を義務付ける計画がある。

 エネルギー価格の高騰に終わりが見えず、本格的な冬の季節となり、電力不足は避けられない。超過利潤税が電力不足解消の切り札になり得るのか?

●超過利潤税とは?

 超過利潤税は、元々2度の石油ショックを経験した米国で、1980年に超過利潤法として創設された。税収は所得税の減税分、低所得層への補助、エネルギー投資補助などに使われている。

 イタリアではドラギ前政権で、2021年3月にエネルギー企業の税引き前利益の余剰分に課す制度が導入されていた。今回の案は、イタリアでは法人所得の10%を上回る部分に50%相当の税率、ドイツはメガワット当たり130ユーロの利益に90%課税される計画である、という報道もある。

 いずれもインフレに苦しむ企業や家計を支援するための財源として利用されると見られる。

●効果は?日本でも導入されるのか?

 フランスのマクロン大統領は、EU全体で課税すべきとの意見を述べており、儲け過ぎとの批判のある業者に対し課税することは、公平との意見がある。  一方で、IMF(国際通貨基金)のビトール・ガスパール財政局長は場当たり的と批判したと、ロイター通信で報じられた。

 再生可能エネルギー業者にも厳しく課税されることで、化石燃料依存から脱出できないという批判の声もある。日本では今のところ導入の話はないが、出てきても不思議ではない。

 ただし課税の仕方が各国違うことや、石油価格などの化石燃料は変動しやすいこと、自然エネルギービジネスに綻びが見え始めていることなどから、効果のある税かは疑問がある。